提督していない提督による騒がしい日常
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過去編、人ハ残酷ナリ
前書き
はい、今回はぼのちゃんこと曙目線です
並大抵ならぬクソ野郎がこれから登場するのでご注意を
自分でも書いてて胸糞悪かったです
もうこんなクソ野郎書きたかねぇ!!
横須賀襲撃からはや1週間
私は横須賀へと訪れた
横須賀の鎮守府は見るも無残な光景で
設備はもちろん私達駆逐が育てていた花は花壇ごと吹き飛ばされていた
しかし今日横須賀へと訪れたのはこの光景を見るためではない
提督の安否を確認しにきたのだ
今日訪れたのはたった私達4人で
他の艦娘達はあの日、逃げきれなかった者から他の鎮守府に引き取られた者までいた
今いるのは私、曙と吹雪、霞と陽炎
幸い、ここは本部に近く、本部にも無線が届く
提督に教えてもらった本部用周波数を使い、無線を繋ぐ
「横須賀鎮守府所属、駆逐艦 曙です」
『横須賀所属...か』
聞く限り残念そうな声が聞こえる
「久保提督は...『戦死した』」
「え...?」
他の3人も無線を繋げている為、聞こえていて言葉を失う
『あの日、おそらく君達を逃がした後だ』
『君達を逃がした後、 逃げようとせずに1人で他の提督に遺言を残したようだ』
「嘘...よ」
『嘘ではない、これは事実なんだ、わかってくれ』
「嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘ようそうそうそうそうそウソウソウソウソウソウソ...」
「やめて曙ちゃん!!」
吹雪の声で私は我に返った
途端、涙が溢れる
他の3人からも啜り泣く声が聞こえる
『...横須賀に新しく提督を着任させる、君達にはサポートをやって貰いたい、頼めるかな?』
私は3人の意見を求めた
「私はやるよ」
「「やるわよ」」
3人の同意を得て私は承諾した
この決断が...あのような事を巻き起こすなんてオモッテモイナカッタ...
さらに1週間が経ち、鎮守府は最低限の機能を備え、復旧した
それに合わせ、私達は艦娘寮に行き、荷物を整理した
指定された時刻、朝の10時になったので外へ出て、提督を待つ
すこし経って提督らしき人影が見えた
そして私達の前に立たずに素通りした
私達はそれを疑問に思いながら付いていく
そして新しい提督は執務室の椅子に我が物顔で腰掛ける
そして私達に物凄い嫌悪感を含めた目線を向けながら自己紹介を始めた
「今日からこのボロい場所に着任した船切だ」
それに続けて私達も自己紹介をした
ボロい場所という言葉に反論しかけたが言い返せないような有様であることは間違いなかった
ここからあのような地獄が待っているとも知らず...
「さて、お前らには南方に行ってもらう」
「南西諸島ですか?」
「南方だ」
私達は絶句した
元の第一艦隊でも攻略に時間がかかったあの海域を駆逐4人で抜けられる訳が無い
「提督、残念だけどそれは無理そうね」
意を決して陽炎が言う
「俺が行けと言ったら行け」
提督は有無を言わさぬ声音で命令する
私たちはそれに従った
従ってひたすら出撃、遠征...とほとんど休憩無しで出ていっていた
最初のころは「これも最初の内だけ」と言い聞かせていたが、とあることがきっかけで耐えることができなくなっていく
そんなこんなで1年続けた
もちろん疲労は溜まり、今にも倒れそうなくらいだったが
「敵の本隊に攻撃をしかける」
と提督は言う
私達は言い返す気力もなくただただ従った
その日の出撃、無茶な本隊突撃で
陽炎が沈んだ
原因は疲れと艤装の不調
疲れが溜まっていたせいでメンテナンスが疎かになっていた
いい鎮守府に住み着く妖精もここにはいない
「陽炎ちゃぁぁぁぁぁぁあん!!」
吹雪が泣き崩れる
私達残り2人は感情を押さえ込み、できるだけ冷静な判断をしようとする
「あんたもここで沈む気!?はやく逃げるわよ!!」
「まずは提督に無線を...「無駄よ」」
「あいつは私たちを戦果の為の駒としか思っていない」
私たちは吹雪を連れて鎮守府に戻った
「なぜ1人足りない」そう聞かれた
陽炎は...沈みました
そう簡潔に手短に話した
すると提督は...
「ふぅん」とだけ...
私達残された3人は報告を済ませるとすぐに寮へと帰ろうとする
だがそんな時間も無かった
「どこへいくんだ?これから遠征だぞ」
「いい加減にして!!」
私は抑えていた鬱憤を晴らすかの如く声を荒らげる
「あ?なんだ?口答えか?」
提督は歩みを止めてこちらに向かってくる
「私達は限界なのよ!!すこしくらい休ませてよ!!」
「てめぇらなんぞにやる時間はねぇ!!」
提督は私の腹を思いっきり蹴り飛ばす
「っ!!かはっ...げほっげほっ...」
体格の差もあり、軽く蹴り飛ばされ、壁に叩きつけられる
私の髪を掴み顔を近づけて提督はこう言い放つ
道具は使い潰されるもんだ...と
そして私達は部屋から追い出される
「曙、無茶はしたらダメ」
霞に言い聞かされる
そしてまた1年...
次は吹雪が倒れた
疲労困憊で病院に運ばれた
「結局残ったのは私達2人ね...」
霞は疲れきった顔をしていても喋りかけてくれる
だけど、私はそれに簡単な返事しか返せなかった
若干意識が朦朧としている
「こんな体で遠征に出撃までやるのね」
私はそう霞に苦笑いしながら言った
「こんなのじゃいつまで経っても人なんてこないよね」
この2年で新人0だ
はっきり言って、異常
この鎮守府は人数が少ない上に無茶な出撃を繰り返している
私も霞も完全に摩耗していた
出撃の度にひたすら逃げて、逃げて
生き残るためにひたすら逃げた
いっそ死んでしまったほうが楽なのかと考えた
だが死というのは非常に怖いもので
死のうとする気持ちだけはでなかった
いつか現れてくれるだろう、光を信じて...
遠征で資材を集め、出撃に無駄な量を使う
時には大破状態で進撃命令がでて、命令無視で殴られたこともあったっけ
そんななか、すべてを払わんとする光が現れた
いつもの提督の無茶な出撃、もう慣れた
だが、今日のは1段と酷かった
「もう1度敵の本陣にしかける」
またしても敵の本陣、それに駆逐2隻、ろくに修復もしていない
「提督!!せめて修復を!!」
「うるせぇ!!」
霞が蹴り飛ばされる
蹴り飛ばされた霞は地面に体を擦りながらようやく止まる
霞を見ると頭から流血していた
「霞!!大丈夫!?」
「いたた...大丈夫よ」
痛がる霞とそれを心配している私に向かい、次の言葉が言い渡される
「はやく行ってこい、つかえねぇやつは捨てていけ」
...私の頭の中でなにかが切れる音がした
踵を返し、鎮守府へと戻っていく提督に殺意が湧いた
提督に完全な殺意を覚えるのは初めてだった
私は艤装の砲身を向ける
撃て!!撃てよ私!!それで全てが終わるのに...!!
手が震えて意識が動転して砲撃ができない
すると後ろから白い服装に白の手袋をした手が私の手を支える
そして声が聞こえた
「撃て、俺が許可しよう、君の罪は私が受けよう」
なんだろう、この声、安心する
「いやぁぁぁぉぁぁぁぁあ!!」
ドォン!!
提督は背中からとてつもない衝撃を受けて体に風穴が空いた
そしてこちらを振り返ってなにかを言おうとしたのか口を動かして
死んだ
「よくやった、それでいい」
私はその人の声に聞き覚えがあった
そしてなぜか安心する暖かさがあった
「この様子だとだいぶ遅れたようだ、すまなかった」
「君達はよく頑張ったよ、ここを支えてくれてありがとうな」
休むといい、そう言ってその人は立ち上がる
「後の処理は任せてくれ、なんとかする」
私はどこかで見た事のある顔を見ながら名前を聞いた
「あぁすまない、紹介が遅れたな」
霞を介抱してからその人は自己紹介を始める
「俺の名前は久保、久保彰人だ」
「今日からここの提督に着任した、よろしく頼む」
私は名前を聞いた途端、涙が流れた
「ほら、君達は休め、今はゆっくりと後日に話は聞くから」
私達は言葉に甘え、寮へ戻った
時刻はまだ昼だったが次に起きた時は次の日の夜6時だった
起きると、机には軽食が用意されていて、置き手紙まであった
『よく眠れたか?辛くない範疇でいいから気が向いたら教えてくれ、それと言っておくことがある』
『俺は父さんの夢を継いだ、ゆっくりとでいいから鎮守府を戻すのに力を貸してくれ』
私と霞は軽食を食べてから提督の執務室へと向かった
後書き
泣いちゃう曙、初期の提督ですね
吹雪は沈んでないですからそのうち復帰することでしょう
ちなみにクソ野郎1匹殺りましたがその後は特に何もありません
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