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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0043話『宴会と加賀の悪酔い』

 
前書き
更新します。 

 

「えー…本日を持ちまして深海棲艦の侵攻が食い止められて仮初めだけど騒がしい毎日が帰ってきます。
そして今回新しく仲間になった者達もいます。
それで―――…」

私が今回の大規模作戦終了の言葉を宴会場のみんなの注目が集まる場所でそう話している時だった。

「提督ー…長いよー。堅っ苦しい挨拶はいいからさ。始めようぜ?」

隼鷹が酒を飲む仕草をして私の言葉を遮ってきた。
そのセリフに仕方がないなと諦める事にした。
そうだな。私もそういう宴会の幹事なんて今まで務めた経験はないからな。
それじゃ最小限の注意だけをして始めるとしようか。

「…わかった。隼鷹の言う通りだな。それじゃ明日に引きずらずに羽目を外し過ぎないように…」

そして私がジュースが入ったコップを掲げて言う。
乾杯、と。
それに呼応して艦娘全員から、

「「「カンパーイ!!」」」

という喜びの声が上がった。
それで早速騒ぎ出す飲兵衛達。
隼鷹を筆頭に「ヒャッハー!! お酒だー!! 無礼講だー!!」と叫んで飲み会を始めてしまっていた。
特に今回活躍した那智が、

「今回ばかりは活躍させてもらったのだから飲ませてもらおう!」
「…今回、那智さんは頑張ったのですからこの早霜、一つ作らせてもらいます」

そう言ってカウンターバーで早霜がバーテンダーの恰好をして慣れた手つきでカクテルを作りだしている。
やっぱり早霜はそっち系が得意だったか。
意外といえば意外だけど別段驚きはない光景だった。

「提督…提督はあまりお酒は得意ではないのは最初の宴会で知っていますのでこちらで一緒にお食事でもどうですか?」
「ありがとう、鳳翔。行かせてもらうよ」

鳳翔に最初に声をかけられて私は赤城とかがあまり酒を嗜まない艦娘の集まりにいこうとしたのだけど、

「鳳翔さん、ずるいよー。しれーもたまには時津風達と付き合ってよー」

そこに時津風が私の腕を引っ張りながら「きてー」と声を上げていた。
それで鳳翔も「あらあら」と言って頬に手を添えていた。

「そうですね。それでは提督、後程また来てくださいね」
「わかった。すまんな鳳翔」
「いえ、それでは」

それで鳳翔は空母が多くいる場所へと戻っていった。

「しれー。こっちきて! 一緒にはぎーの料理を食べよう」
「わかった。それより萩風も一緒に作っていたのか?」
「うん。なんでもお料理クラブ会で作ったんだってー」
「そうか」

時津風とそんな話をしながらも陽炎型が集まっているエリアへと向かわせてもらった。
そこには思った通り陽炎型のグループがいくつかに分かれて話をしている。
そして私が来たことに気づいたのか秋雲がこちらに振り向いて、

「おっ! 提督じゃん。どしたのー?」
「うん。時津風に誘われて来させてもらったよ」
「そっか。それじゃ楽しんでってよ」
「ああ」
「司令。こちらへどうぞ!」

そこに萩風に呼ばれたので隣に座らせてもらう。

「司令。私の作った体にいい料理の数々、堪能していってくださいね!」
「わかった。頂かせてもらうよ」

それで手を付けようとして、野菜ばっかりのメニューだなぁと一回迷う。
私はそんなに野菜を食える方じゃないんだよな。
でも萩風のそんなキラキラとした目で食べて食べてと訴えられたら引けないじゃないか…。
それで勢いよく口に運ぶ。
でも、そこで野菜メニューだというのにあんまり苦くないのを感じて、あれ?と思った。
そこに萩風が、

「ふふっ。司令はお野菜があまり得意ではないというのはすでに把握済みです。
ですので司令の口に合うように味も工夫してみました!」
「確かに美味いな…箸が自然と進むよ」
「気に入ってもらえてよかったです」

萩風はそう言ってにこやかに笑う。
うん。いい子だなぁ。
そこに時津風が私の頭に乗ってきて、

「しれー…はぎーだけじゃなくてあたし達も構ってよう」
「わかったわかった」

それで雪風や時津風、天津風といった精神年齢が少し幼い組とじゃれあったりしていた。
それから浦風が作ったのも食べさせてもらったり陽炎型での中での話題などの話をしたりと楽しませてもらった。
しばらく話し込んでから、

「それじゃ先約の方へ行かせてもらうよ。まだ楽しんでいてくれな」
「「「うん」」」

それで陽炎型のグループから離れて鳳翔の約束を果たそうと空母組のエリアへと向かわせてもらうと、なにやら騒がしい事になっているみたいだ。
あの隼鷹でさえ酔いが少し覚めているのか「どうしようかー…」と言葉を零している。
何事かと思って向かってみると、

「どうしたんだ…?」
「あ、提督。それが…」

鳳翔がなにかを言う前にとある艦娘が私に気づいたのだろう酒が入った瓶を片手に酔いが回っている顔で近寄ってきた。

「…提督」
「加賀、どうした…?」
「…別に気にしてはいないのだけれど。そう、気にしてはいないわ。ええ…」
「えっと…」
「…気にはしていないのよ? でもどうして今回私を使ってくれなかったのですか…?」
「あっ…」

それでこれはまずい絡み方だなと一瞬で悟る。
しかしもう腕を掴まれている為に逃げることは不可能であった。
そのまま流れるままに加賀は赤城がいる場所へと私を移動させて座らされる。

「…あの、加賀さん?」
「…なんですか?」

ギンッ!と鳴りそうな瞳で睨まれてしまい私はそこで黙ってしまう。

「提督…? 加賀さんの事を構ってあげてください。今回一切使われなかったのを加賀さんは悩んでいるようで酒に走ってしまいまして…」
「そうか…」

加賀の隣ですました顔で食事をとっている赤城にそう言われてしまい諦めて加賀の言い分を聞くことにした。

「提督…私はいつか弓道場で約束しました。きっと大規模作戦ではお役に立ちますと…」
「そうだったな…」
「なのに、提督は今回私を使わないで二航戦や赤城さんを使うのならまだしも五航戦の二人や大鳳まで使いましたのに、どうして私は使われなかったのですか…?」

加賀らしくなくえらく饒舌だなぁ、これが酒の魔力か…。

「その、だな。大規模作戦では加賀さんはもしもの温存戦力なんだよ。
だけど今回は最終局面では機動部隊じゃなくて打撃部隊で挑んだからその…」
「…言い訳は結構です。どうせ改二になっていない私なんて…」

それでとうとう私の腕に擦りついて涙を浮かべる始末だ。
加賀さんがキャラ崩壊しているな。

「そんなことは無いぞ。加賀さんは鎮守府の役に立っているよ」
「気休めの嘘はいいです…。カレー洋リランカ島沖以外にはあまり出撃もないのですから…」

十分すぎない…?
港湾棲姫を倒す役目をいつも任せているんだから十分役に立っていると思うが…。
それを同じく思ったのか横から瑞鶴が口を出してくる。

「加賀さん! 黙って聞いていれば十分じゃないですか! 贅沢な悩みですよ!」
「…なによ、五航戦? 文句なら買いますよ?」
「酔っているんだから遠慮がないわね…上等ですよ!」

瑞鶴が加賀と喧嘩をし始めだして私はどうやらお役御免となったらしくなんとか解放されて鳳翔さんのもとへと逃げてきた。

「加賀さんはああなると止まりませんからね。しばらく様子を見ましょうか」
「そうだな…」
「それと提督? 今度の大規模作戦では加賀さんを使ってあげてくださいね?」
「はい。肝に銘じておきます…」

鳳翔さんにそう言われて頷くしかなかった。
それから他所でもなにやら騒ぎが起きていて私がその場所へと向かう事を何度も繰り返していたのであった。
そんな感じで宴会は最後まで大賑わいだった。


………ちなみに加賀さんは翌日にすべて覚えていて羞恥で布団にくるまっていたと言う。


 
 

 
後書き
2017年春イベントが後三時間程度で終わります。
提督の皆さん、お疲れ様でした。
まだ攻略されている方や新艦娘を掘っている方は最後まで諦めずに頑張ってください。

今回は萩風や加賀さんを出してみました。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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