恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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176部分:第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその十三
第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその十三
「黄忠さんはこれからどうされるんですか?」
「これからですか」
「はい、どうされますか?」
こう黄忠に問うのである。
「これから」
「とりあえず郷里に戻ろうと思ってますが」
「そうですか」
「よかったらなんですが」
今度は馬岱が言ってきた。
「私達と一緒に旅をしませんか?」
「一緒に」
「はい、よかったら」
「そうね。郷里でも特にすることはないし」
それは否定するのだった。
「それじゃあ」
「ああ、宜しくな」
馬超が微笑んで応えた。
「それじゃあな」
「あとね」
黄忠が加わったところでだ。今度は舞が言ってきた。
「シャオちゃん、いいかしら」
「どうしたの?」
「お姉さんが来てるわよ」
こう言ってきたのである。
「ここにね」
「えっ、権姉様が!?」
「そうよ。ほら、ここに」
そうして来たのはである。
「小蓮さまあ、駄目ですよお」
のんびりとした声でだ。エメラルドグリーンの長いやや癖が見られる髪に青い垂れ目のおっとりとした顔立ちの美女が出て来た。にこりと笑っていて優しそうな顔だ。小さい眼鏡が印象的である。
赤く袖の広い、臍も脚も丸出しの服である。しかも胸もかなり露わになっていてその胸がかなり巨大である。襟や胸、肩の部分は白でありブーツも同じ色だ。
その美女が来てだ、孫尚香に対して言ってきたのだ。
「家出なんかしたら」
「あっ、穏」
「はい、私ですう」
「御前真名小蓮っていうんだな」
馬超がこう孫尚香に声をかけた。
「そうだったのか」
「しかし。凄い服の人ですね」
「この人がお姉さんですか」
ナコルルと香澄がその彼女を見て言う。
「孫権さんですか」
「そうなんですね」
「違うわよ」
「違いますよお」
だがそれは二人同時に否定された。
「この娘は穏っていうの。陸遜っていうのよ」
「はい、陸遜といいます」
自分からも言ってきたのだった。
「宜しく御願いしますね」
「孫権殿ではないとすると」
「影武者か?」
「実は小蓮様をお探しする仕事を仰せつかっていまして」
「それで私達がここに来ました」
髪がかなり長い少女もいた。見事な黒髪である。
小柄で胸も小さい。半袖のダークパープルの服からは素足が露わになっている。太目の眉に切り揃えられた前髪が初々しさを見せる。黒く大きな目ににこやかで素朴な笑顔を見せている。
「穏さんがこうしたら小蓮様は絶対に出て来られると仰いまして」
「貴殿は?」
「周泰といいます」
関羽に応えて名乗ってきた。見れば背中には刀を背負っている。
「宜しく御願いしますね」
「こちらこそな」
「それで小蓮様あ」
また陸遜が孫尚香に言ってきた。
「帰りますよお」
「帰るって?」
「ですから揚州に」
そこにだというのである。
「帰りましょう」
「姉様達が仰ってるの?」
「はい、そうなんですう」
「私達も心配で」
「心配なんかいらないのに」
こまっしゃくれた態度で返す孫尚香だった。
「別に」
「いえ、そういう訳にはいきませんから」
「一緒に帰りましょう」
二人は優しかった。
「孫策様も孫権様も心配されてますよ」
「他の方々も」
「皆が心配してるの」
それを聞くとだった。孫尚香も悲しい顔になった。そうしてだった。
「わかったわ」
「では揚州に帰るのだな」
「ええ、建業にね」
こう趙雲にも答えたのだった。
「今からね」
「家出はこれで終わりなのだ」
張飛が笑って言う。
「では行くのだ」
「何かすぐに帰ることになったわね」
「はい、それじゃあ」
陸遜が応えてだった。こうして一行は今度は揚州に入るのだった。そこでも新たな出会いと騒動があるのだった。
第十五話 完
2010・5・21
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