ONEPIECE 空の王者が海を征す
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
空の王者、サルと会う
アラバスタを出航して既に数日が経過していた、誘拐されたビビの影響もあってか海軍の追手も無くのんびりとした船旅を送るメリー号。本日も良い陽気となっている天気の下を元気を進む麦わらの船、新しく仲間になったロビンもある程度は馴染み始めているのか甲板で椅子に座りながら本を読んでいる。ビビはレウスと何やら船首付近の甲板で話し合っている。
「そうなんだよ、だから新しく武器を作って貰おうかってウソップに相談してるんだよ」
「でも武器なんか無くても十分にレウスさん強いですよ?」
「ありがとう、でもこれでも元々は棒術が得意なんだよ。それに守りたい仲間が居るからね」
「それって私ですかそれとも……?」
「フフフッ想像にお任せするよ」
頭をポンポンと優しく撫でて見張り台へと向かうレウスを追いかけるように教えてくださいよ~と後に続いていくビビをマスト近くで見てしまったナミは何処かもやもやとする不愉快な気分になりながら記録指針を確認しながら進路を確かめる、偉大なる航路を航海する上で重要な立場を預かってる身としての責任を果たしながら船は順調に進んで行く、がそんな時であった。快晴であった空から何かがぱらぱらと降ってきた。
「雨……じゃないな?」
「霰か?」
「違うな、何かが降って―――」
『ええっ!!?』
降ってきた何かに釣られるように空へと視線を向けて見た時、全員が呆気に取られ驚愕した。降ってきたのは雨でも霰でもなかった、降ってきているのは木片。そしてメリー号の何倍をある巨大ガレオン船が海へと落下してきていた。ガレオン船はメリー号の近くの海面へと叩き付けられるかのように落下し巨大な波を生み出しながら着水した。それによって生まれた流れに飲まれるように大きく揺られるメリー号、レウスは大きく揺れる船の上で竜頭をマストに噛み付かせるようにして身体を固定しながらビビを抱きながらマストへとしがみ付く。
「しっかり船にしがみ付け!!投げ出されるぞぉ!!」
「うぉぉぉっ…!!?ビビちゃんしっかり掴まってろ!!」
「はっはい!!」
「まだ何か降ってくるぞぉ!?」
「いやああああああ骸骨ゥ!!?」
「馬鹿投げないでよこっちにぃ!!?」
激しく荒れる波が収まった頃、周囲にはガレオン船やその破片や様々なものが浮かんでいた。余りにも唐突にやってきた異常に驚きながらも改めて空を見上げて見るが何かあるようには全く見えない。通常の海の常識が全く通用しない偉大なる航路ではこのような事も起きるのかともう一体何が常識なのか解らなくなって来そうな気分だ、そんな時ナミが悲鳴染みた声を上げた。
「如何しよう記録指針が壊れちゃった!上を向いたまま動かない!?」
この海での航路で最も大切ともいえる記録指針が壊れたと慌てるナミ、実際記録指針の故障は致命的な問題。方角、天候、気流、海流、あらゆる常識が通用しないこの海では記録指針が導く進路こそが信用出来る唯一の道標だと言うのにそれが壊れたということはまともな航海が出来なくなったと言う事に等しい。だがそれは違うとロビンがナミを嗜めた。
「より強い磁力によって記録が書き換えられたのよ航海士さん」
「ええっ!?より、強い磁力に……?」
「上に向いた記録指針を見ると、空島に記録を奪われたと言う事になるわね」
『空島ァ!?』
ロビンの発言に皆が仰天した、ナミは記録指針が壊れてのは無いかというがロビンはそれを疑うべきでは無くまずは頭の中の常識を疑い記録指針は絶対に信じなければならないと告げる。
「空に浮いているのよ、海が。そしてそこに島があるのよ」
「空に海が浮いてて島があるのか!?」
「よし直ぐ行こうぜ船長!」
「おう決まってるだろウソップ!!」
「「野郎共、上舵いっぱいだぁぁ!!」」
「どうやればその舵は出来んだよ」
と真っ当なツッコミをサンジが入れると二人は暫し顔を見合わせた後レウスへと顔を向けた。
「……おいまさか俺が船抱えて飛んで行けって言うのか」
「「おう!!!」」
「出来るかぁ!!!一体どんだけ高さにあるのかも解らない所になんぞ行けるかぁ!!」
と拒否されると二人はションボリしつつも浮かんでいるボロボロなガレオン船へと視線を向けるとキラキラと目を輝かせて探検してくる!とその船へと乗り込んでいってしまった。ロビンは船へと降ってきた棺桶をあけそこにあった骸骨を復元し情報を引き出した。
骸骨から得られた情報は骸骨となった人間は200年前に病に倒れた30代前半男の物、歯が確り残っている事からそれはサウスブルーの一部地域にてタールが塗りこまれる風習があるからと断定。そこから情報を繋ぎ合わせ船は208年前に出航した探検隊の船だと言う事が発覚した。最低でも200年余り、その船は空を彷徨っていた事が明らかとなった。
「凄い骨ってそんなに解っちゃうんだ……ミス・オ-ルサンデーじゃなくてロビン?」
「骨は喋る事は無いけど情報は持っているのよ、栄養状態や当時の状況も読み取れるの。探検隊の船なら情報や記録もあるはずだけど」
「確かに、でも船は沈んで……ってあんた達何やってんのよぉぉ!!!?」
振ってきた船の方へと目をやって見るとそこにあった筈の船は塔に海底へと沈んで行ったのか既に船の一部しか浮かんでおらず、しかも船へと探検に行ったルフィとウソップが溺れ掛けている光景だった。大急ぎでレウスが二人を引き上げ甲板へと連れて帰った。
「おい、皆ァ!!やったぞ、凄いもん手に入れたぞ!!これを見ろ!!」
ずぶ濡れになりながらもポケットに入れていた何かをルフィは皆に見えるように広げた、そこにあったのは<SKYPIEA〉と名が書かれまるで雲のような描かれた海の上に浮かんでいる島の地図であった。名前からも、地図の見た目からも読み取れるかのようにそれは空島の地図だと思えるような一品だった。
「スカイピア……ってレウスさんこの地図ってまさか本当に……!?」
「こりゃルフィマジでお手柄か?」
「待ちなさいよ、落ち着きなさいよ。あくまで可能性が高まっただけよ、偽物の地図なんて世の中幾らでもあるんだから」
「ナ、ナミさんちょちょっと……」
現実的な意見を述べるナミだがビビは思わずもう少し言い方を考えてと伝えながら後ろを見るように促す、そこには空島はあるから行けると喜び勇んでいたルフィウソップチョッパーが絶望に打ちひしがれているような表情で落ち込んでいた。大慌てでそれを訂正しあるのだろうが行き方が解らないと言い換えた。
「行き方が解んないって言ってんのよ!!」
「レウスに連れて行って貰えばいいじゃねえか!!」
「だから場所が解らないって言ってんでしょうが!!」
「航海士だろ何とかしろよ!!」
「何とかなるもんとならないもんがあんの世の中!!」
「知るか!空に行くんだぁ!!」
平行線な船長と航海士の言い合いはナミの怒りの一撃によってルフィが物理的に黙らされた。だが現状として必要となってくるのは情報、これ一択である。巨大なガレオン船が行けたのだからこの船とて行く方法はきっとあるとナミは言うがまずはあの船にある筈の情報なんとしても引き出す必要がある。
「だけどナミちゃん、船は既に沈んでるんだぜ?」
「沈んだんならサルベージよ!!」
「マジか……!?」
沈没船の引き揚げ作業を指し示すサルベージ、だがあれだけ巨大な船をメリー号でサルベージを行うのは不可能。なのでウソップ特製の樽型潜水服を纏ったルフィ、ゾロ、サンジの三名を海底へと派遣し情報のみをサルベージする事となった。
「ルフィさん達気を付けてね……?」
「ビビちゅわん俺の事を心配してくれるんだね~♡その言葉だけでもう千人力だよ~ん♡」
「よぉ~し降ろしていいぞ~」
「ったく面倒だな」
ホースと繋がった潜水服を纏った三人が海へと降ろされて行く、潜水服には問題ないのかどんどん不覚へと三人は潜って行くがビビはどうにも不安そうに海面を見下ろしている。が直ぐにあの三人ならきっと大丈夫、と信じる姿勢へと変わった。そんな三人が海へと潜って行く中遠くからこちらへと迫ってくる学期と笛の音が聞こえてきた。周囲を見回して見ると船首にサルがついたガレオン船にも負けず劣らずの巨大な船が此方へと迫って来ていた。
「全体~とまれっ!!」
『アイアイサ~園長!!』
笛の音と共に響く男の声、それに合わせて静止する船はメリー号を見下ろすかのよう。そして姿を表したのはサルのような風貌をした大男であった。
「引き上げ準備~!!沈んだ船はこの俺、サルベージ王マシラ様のモンだウキッキー!」
『ウキッキー!!』
「なんかまたキャラ濃いのが来たなおい」
船員もなんだか何処かサルっぽい、というか船も船首にサルがある上にバナナのような物まで船に付けられている。サルによるサルの為の船にしか見えなくなってきた、しかしその船の船長らしきマシラがメリー号を見るとその船員であるレウス達に鋭い視線を向けてくる。
「おいお前らここで何をしている?ここはおれの縄張りだ、この辺りに沈んだ船は全て俺の物だ!」
「サルベージするみたいねあの人達」
「ならこれってチャンスじゃない……?レウス、交渉お願い出来る?」
「おう」
「ゴチャゴチャ言ってんじゃね~!俺の質問に答えろ!」
名乗りからしてサルベージを専門している連中だと判断したロビンとナミはこのまま彼らにサルベージをやらせれば順調に情報を引き出せるのではないかと思いつく、此処は上手い事話を付けられれば良い展開に出来るのではないかとナミは考えレウスに交渉を任せる。
「すまない、ここは貴方の縄張りなのか?」
「おうその通りだ!」
「申し訳無い。我々は先程降って来た船のせいでパニックを起こしてしまって一時的に船を止めていたんだ、それで貴方達はかなりサルベージ技術を持っているとお見受けする。私達はサルベージと言う物に縁が無い、出来れば見学をさせて貰えないだろうか?」
「おおっ良く解るじゃねえかウキッキー♪良いだろう良いだろうそんなに見たければ俺達の見事なサルベージを見せてやろうじゃねえか、良いだろう好きなだけ見学して行け♪」
上手い事相手を乗せる事に成功したレウスは話を取り付ける事に成功した、だがこの時レウス達は失念していた。潜りに行かせたルフィ達が何もせずにいる訳が無いということを。
ページ上へ戻る