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提督はBarにいる。

作者:ごません
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山葵の美味さ・3

 さて、リクエストを頂いた事だし作っていこうか、ワサビを使ったパスタ。『え、パスタにワサビ!?』と思う人は多いかも知れんが意外や意外。パスタとワサビは存外相性が良いのだ。まずは和えるだけで簡単に作れる冷製パスタから。

《ワサビの風味香る!なめ茸おろしパスタ》※分量1人前

・パスタ(スパゲティ推奨):100g

・なめ茸:大さじ2強

・大根おろし:大さじ3

・ワサビ(チューブでOK):小さじ1~2※増やしても美味いぞ!

・めんつゆ:大さじ1

・刻み海苔、ネギ、貝割れ等:お好みで

 さて、作っていこう。パスタは好みの固さに予め茹でておき、氷水で〆ておく。

 ボウルにワサビとめんつゆ、なめ茸大さじ1/2、大根おろし大さじ1を加え、混ぜてソースを作る。そこに〆てよく水気を切ったパスタを加えて和える。

 器に盛り付け、残りの大根おろしとなめ茸をトッピング、仕上げに刻み海苔や刻みネギ、貝割れなんかを散らしたら完成。トッピングするのが面倒なら、ソースを作る時に全部混ぜちまってもOKだ。ただし、多少味が薄くなるから注意してくれ。

「さぁ出来たぞ。『ワサビ香る和風冷製パスタ』だ」

「うわぁ、美味しそうです!」

 勿論、親潮の好みに合わせて、ワサビは増し増しにしてある。パスタと具材、ソースをよく混ぜ合わせて絡めて口へ運ぶ。するとめんつゆとなめ茸が和の味を演出しつつ、ワサビのツーンとした刺激が鼻を襲う。それを大根おろしがうまくまとめつつ、自身もワサビとはまた違う辛味をソースに加える。パスタだけでなく、うどんや蕎麦でも美味いぞこいつは。親潮も美味そうにズルズルと啜っている。……パスタを啜るってのがマナー的にどうなのか?ってツッコミはともかく。




 さて、どんどんいこう。お次はマカロニ等のショートパスタを使った、酒の肴になる一品。

《蒸しササミとアボカドのワサビマヨパスタ!》※分量4人前

・マカロニ:50g

・アボカド:1個

・三つ葉:1束

・鶏ササミ:2~3本(100g位)

・レモン汁:少々

・オリーブオイル:少々

・白だし:大さじ1

・マヨネーズ:大さじ2

・ワサビ:大さじ1/2~1

 さて、作っていこう。まずはマカロニ等のショートパスタだが、袋に書いてある時間通りに茹でて水で〆る。ザルに上げて水気を切ったら、オリーブオイルを小量回しかけて絡めておく。今回は蒸したササミを使ったが、むね肉でもモモ肉でも美味しく出来る。調理方法も蒸すだけでなく、茹でた物やグリルした物でも美味しいぞ。ただし、油を引いて焼いた物だと油っこくなるので注意!

 ササミは耐熱容器に入れて軽く酒と塩(分量外)を振り、ラップをしてチンしておく。こうすると臭みを消しつつジューシーに蒸す事が出来るぞ。出来上がった蒸しササミは冷ましておく。

 ボウルにマヨネーズ、白だし、ワサビを入れて混ぜ、ソースを作っておく。

 三つ葉とアボカドは食べやすい大きさにカット。アボカドには変色しないようにレモン汁を少々振りかけておく。今回は野菜をシンプルな物にしたが、他に野菜を追加してもいいし、アレンジはお好みで。

 冷ましたササミも食べやすい大きさに裂いたら、ワサビマヨソースに野菜とササミ、マカロニを加えて和える。味見をして味を整えたら完成だ。

「へいお待ち、『蒸し鶏とアボカドのワサビマヨパスタ』ね」

「これはまた……提督、ワイン下さい」

「あいよ」

 これは主食というより、おかずか酒の肴だもんなぁ。俺はグラスに白ワインを注いでやり、親潮に手渡す。

 親潮はフォークを手に取ると、マカロニと鶏肉、アボカドを一緒に刺して頬張る。咀嚼して、口の中にワサビマヨの味が一杯に広がった所に、白ワイン。こいつがまた堪らんのよな。白ワインでなくとも、ビールとか、ハイボール、ウィスキーなんかもマッチするぜ。





「提督、温かいパスタもお願いできますか?」

 親潮が軽く顔を赤くして注文してきた。この赤いのは照れじゃなく、酔ってやがるな。目付きが素面の時と違うもの明らかに。

「あぁ、ちと待ってな」

 まぁ、明日は非番の予定だった筈だしお祝いだからな。好きなだけ飲ませてやろう。その為にも酒にも合うパスタだな。


《ピリ辛旨し!海老と高菜のワサビクリームパスタ》※分量2人前

・高菜:150g

・海老:8尾

・ニンニク:2片

・鷹の爪:2本

・パスタ:200g

・オリーブオイル:大さじ1.5

・ワサビ(チューブ):2~3cm

・生クリーム:100cc

・牛乳:150cc

・塩:少々

・胡椒:少々


 さぁて、作るぞ。高菜とニンニクはみじん切りにし、鷹の爪はヘタと種を取り除いて輪切りにしておく。親潮に種を入れるか?と尋ねたが、さすがに鷹の爪の種は辛すぎるらしく丁重に断られた。

 海老は背ワタを取り、殻を剥いて片栗粉(分量外)をまぶし、よく揉み洗いしておく。尻尾も取り除いておいた方が、食べる時には食べやすいぞ。

 フライパンにオリーブオイルを引き、ニンニクと鷹の爪を入れて香りを出したら高菜を入れてよ~く炒める。高菜をよく炒める事で高菜独特の風味を出すのが目的だ、しっかりと炒めよう。

 高菜がよく炒まったら海老を加え、色が変わったら生クリームと牛乳を加えて火を弱火にする。かき混ぜながら加熱し、軽く沸騰してきた所で火を一旦止める。パスタを茹でる間にソース全体が馴染んで、まとまった味になるぞ。

 ここで漸くパスタを茹でる。茹で加減はアルデンテ……大体、袋の表示時間より1分短く茹でると丁度いいぞ。

 パスタが茹で上がる直前に、ソースに再点火。ソースが温まってきたらここでワサビを投入。仕上げ寸前に入れる事で、火を通しつつも辛味と風味を飛ばし過ぎないようにするための、このタイミングでの投入だ。

 パスタが茹で上がったらしっかりと湯切りをして、フライパンに入れてソースと絡める。火を通し過ぎると台無しになってしまう為、手早く絡める事。

 塩、胡椒で味を整えたら盛り付け。仕上げに刻み海苔や大葉を散らしても〇。


「ハイよ、ご注文の『海老と高菜のワサビクリームパスタ』だ」

「頂きます!」

 親潮、今度はパスタを啜る事なく、フォークに巻き付けて頬張っている……が、何とも微妙な顔をしている。

「どうした?マズかったか?」

「いえ、とても美味しいんですが……これ、ワサビ必要なんでしょうか?」

 確かに、味のメインは高菜と海老から出た出汁でありワサビは隠し味的に少ししか入っていない。

「ワサビの量的にはそう見えるんだがなぁ……ワサビ抜きで作ると、画竜点睛を欠くというか、な~んか一味足らない味になっちまうんだよ」

 味に締まりが無いというか、何か一味足らなくてモヤッとするのだ。ワサビ抜きで作ると。味の決め手ではなく、欠かす事の出来ない隠し味として料理全体を支えるというのもアリだと思ったんでな。このレシピを作ってみた。




「でも美味しいんですねぇ、ワサビクリームパスタ。初めて食べたのでビックリしました」

「まぁな。クリームパスタの味を引き締めるのにマスタード入れたりするんだが、その代わりに使ってみたら美味かった、って所じゃねぇか?」

「じゃあ、私にも作れますかね?」

「あぁ、割と簡単なレシピもあるぞ。それ覚えておけば具材を変えてアレンジも効くし」

「それ!それを教えて下さい提督!」

「OKOK、作りながら教えてやっから。まずは落ち着け」

 酔っ払うとテンション上がるタイプか?親潮。まぁいい、作ってみせてやろう。


《生クリーム無し!アボカドと牛乳でワサビクリームパスタ》※分量2人前

・アボカド:1個

・玉ねぎ:1/4個

・ハム:6枚

・牛乳:400cc~

・ワサビ:小さじ1~お好みで

・塩、胡椒:適量

・オリーブオイル:小さじ位

・パスタ(お好みの種類を):200g位

 使う野菜の決め手はアボカド。読者諸兄から『またかよ!』とツッコミをもらいそうだが、ワサビと相性が良いんだから仕方無い。それに俺個人が個人的に好きだってのもあるが。アボカドの脂肪分でソースにとろみとクリーミーさを出すのが目的だ。

 アボカドは一口大より少し小さめに切っておき、玉ねぎはスライス。ハムは食べやすい大きさに切る。

 パスタをアルデンテに茹でつつ、ソースを作っていくぞ。フライパンにオリーブオイルを引いて玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通って来たらハムとアボカドを加え、更に炒める。塩、胡椒で味付けをしたら牛乳を加えて軽く煮詰める。

 ソースにとろみが付いて来たら火を止め、ワサビを加えてよく混ぜて溶かす。ワサビの量は好みに合わせて好きな量でいいぞ。ソースが出来たら茹で上げて水気を切っておいたパスタを加えてよく絡め、盛り付け。仕上げにお好みでパセリやブラックペッパーを散らして。

 今回はシンプルな材料のみでやったが、ハムをベーコンやウィンナーに変えたり、ホタテや海老のシーフードにしても良いだろう。それに野菜もブロッコリーやパプリカ、茸類なんかも加えてもダシが出て美味いぜ。


「ほら出来たぞ……ってあら?」

 カウンターを見ると、親潮が突っ伏して寝てやがる。仕事終わりで飲み始めて、焼酎、ビール、ワインでチャンポンしてる。酔い潰れるのも仕方ねぇか。俺は先程作ったパスタのレシピをメモに書き出すと、親潮のポケットに忍ばせ、俺の上着をかけてやる。店としてはカウンターで寝られるのは迷惑なんだが、まぁ今日は勘弁しといてやろう。

「お疲れ様、小さな秘書艦」

 こんな静かな夜も、たまにはいいもんさ。 
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