レーヴァティン
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第七話 炎の剣と氷の刃その二
「成程な」
「そうした世界ということだな」
「世界が違うと信仰も違うか」
「そうなる、そもそも北欧神話自体もだ」
英雄はこの神話そのものの話もした、廊下を進みフレイやヘイムダッル、ティールといった神々の像も観ている。
「俺達の世界では信仰としてはだ」
「ああ、もうな」
「ないな」
「そうだよな」
「あくまで小説や漫画の存在となっている」
そしてゲームのだ。
「そうしたものになっている」
「けれどこの世界じゃ信仰されてるな」
「そうだ、そこもだ」
「そもそも違うか」
「そうだな」
「世界が違うと信仰も異なるってな」
しみじみとした口調になってだ、久志は言った。
「あらためてわかったぜ」
「俺もだ、ただだ」
「ただ?」
「気付いていると思うが」
この前置きからだ、英雄は久志にこうも言った。
「この島の信仰は北欧の神々だけではない」
「そういえばこれまでの町や村でな」
久志も言われて頷く。
「ギリシアの神々の神殿とかあったな」
「そうだな」
「キリスト教の教会もな」
「カトリックか正教かプロテスタントまではわからないけれどな」
実は久志はどれも同じキリスト教ではないのかと考えている、それでどうして宗派が違ってそこまでいがみ合ったりしたのかともだ。
「あったな」
「複数の宗教があるな」
「そうだな」
「キリスト教も含めてな」
「あの宗教もこの世界にあるのか」
「そのことは間違いない、教義が気になる」
この世界のキリスト教のそれがというのだ。
「俺としてはな」
「そう言われると俺もだな」
「そうだな」
「どうもな、ではだ」
ここまで話してだ、あらためてだった。英雄は久志に話した。
「刀剣のところまで行くぞ」
「そうするか」
「このままな」
今度は角笛を持ったがっしりとした髭の濃い大男の像を見た、海の神エーギルだ。巨人族であるが神になっている。もっとも北欧の神々は実は巨人だ。
そうした神々の像を見つつ大理石の廊下を進んでだった、二人は遂に神殿のある部屋に着いた。そこは白い巨大な玄室だった。
その玄室の中を見回してだ、久志は言った。見れば部屋の中央に一本の剣が刺さっており横に鞘に収められた刀があり白いキリスト教の司教を思わせる服を着た神官達が囲んでいる。
中央の刀剣達を見てからだ、久志は丁度横にいた神官に聞いた。
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