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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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137部分:第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその十


第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその十

「そりゃーーーーーーーーーーーっ!!」
「そりゃーーーーーーーーーーっ」
 そのまま小川に放り込まれた。そうしてだった。
「すぐに取り返して来なさい!」
 川の中の娘に対しての言葉だった。
「いいわね、すぐに!」
「すぐに」
 川の中から頭を出して母に応える。とりあえず泳げるらしい。
「行くの?」
「それまで帰ってはなりません!」
 こうも言うのだった。
「わかりましたね」
「わかったわ」
 それに素直に応える劉備だった。
「じゃあ今から行って来ます」
「そもそも貴女は」
「うん」
 川から出ながら母のことばに応える。
「一応皇族なのですよ。それに教育も受けていて」
 母の言葉は溜息交じりであった。
「仕官しようと思えばできるのです」
「仕官のことね」
「それが何ですか。蓆や草靴を作って商いをしていて」
「だって買ってくれる人の笑顔が見たいから」
「それもいいけれどもっと人様の役に立つことをしなさい」
 こう娘に言うのである。
「わかりましたね。それも探してきなさい」
「けれど私戦いとかは」
 劉備はここで困った顔になる。
「嫌いだし」
「戦いはしなければならない時があります」
「そういうのあるの?」
「貴女は今人の笑顔が見たいと言いましたね」
 強い目で娘を見ながらの言葉だった。
「確かに」
「そうだけれど」
「その人の笑顔の為に戦わなければならない時があるのです」
「そうなんだ」
「そうです。やがてわかるでしょう」
 娘に対する言葉だった。まさにだ。
「貴女もまた」
「平和の為に戦う?」
「それもあるでしょう。若しくは」
「若しくは?」
「この世を乱しよからぬことを企てる者達を討つ為に戦う時もあるでしょう」
「この世を」
「その時は戦うのです」
 劉備の目を、娘の目を見据え続けている。
「わかりましたね」
「わかりました」
 劉備はまだ少しわかっていない様子だったがそれでも応えた。
「それじゃあそれも見つけるわ」
「では行きなさい」
 また娘に告げた。
「これから。貴女の道を」
「うん、それじゃあ」
「剣のことも忘れないように」
 このことも言い忘れなかった。
「わかりましたね」
「はい、わかりました」
「素直なのはいいけれど」
 娘のその美徳は溜息と共に認めた。
 
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