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ドリトル先生と悩める画家

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第三幕その四

「どうも苦しんでいるね」
「そんな描き方だね、確かに」
「格闘していても押されてる?」
「絵にね」
「そんな風だね」
「表情も険しいね」
 どうにもとです、先生はまた言いました。
「見たところ」
「やっぱりスランプなのかな」
「だからああした苦しさなのかな」
「そうなってるのかな」
「そうなのかしら」
「ううん、スランプはね」
 先生は難しいお顔のまま皆にお話していきます。
「芸術家には付きものでね」
「よくそう言われてるね」
「どうしても避けられないって」
「才能があればある程スランプに陥る」
「それで苦しむって」
「そうだね、僕は芸術家でないけれどね」
 それでもと言う先生でした。
「論文を書いたり講義をしていても調子が悪いって時があるからね」
「先生もなんだ」
「そうした時があるんだ」
「先生にしても」
「そうなんだ、本当にね」
 そこはというのです、先生も。
「だからわかるかな、ただ僕は芸術家じゃないから」
「それでなんだ」
「スランプかっていうと」
「また違うんだ」
「誰でもスランプはあると思うけれど」
 それでもというのです。
「僕はスランプの経験はないかな、あっても気付いていなかったのかもね」
「そうなんだ、先生は」
「先生はそうなの」
「調子が出ない」
「そうした風なんだ」
「うん、ただ芸術家の人のスランプは特別でね」
 だからこそというのです。
「誰もが抜け出ることに苦労してきているね」
「そう聞いてるけれどね」
「だからあの人も?」
「今スランプで」
「苦労している?」
「そうなの?」
「そうかもね、表情を見ていたらね」
 どうにもというのです。
「そんな感じだね」
「とても必死だけれどね」
「苦しんでいる感じがするわね」
「負けていそうな」
「そんなので」
「そういうのを見ていたらね」
 思うとです、また言った先生でした。
「スランプだとね」
「何かスランプっていうと」
「本当に苦しいっていうけれど」
「もう苦しくて仕方のない」
「そんなのらしいけれど」
「スランプはどうして抜け出られるのかしら」
「それはわからないんだ」
 スランプから抜け出る方法はというのです。
「その人その時それぞれでね」
「そうなんだ」
「それはわからないんだ」
「じゃあ急に出られる時もあれば」
「中々出られない時もあるのね」
「だからスランプは苦しいんだ」
 何時どうして抜け出られるかわからないものであるからです。 
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