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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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13部分:第一話 関羽二人の少女と会うのことその十三


第一話 関羽二人の少女と会うのことその十三

「私と一緒に。それでだ」
「そうですね。確かに」
 ナコルルも彼女のその言葉に頷いた。
「関羽さんはこの世界の方ですしお詳しいですし」
「では共に行くか」
「はい、御願いします」
「それなら鈴々も一緒なのだ」
 ここで張飛も言ってきた。
「鈴々も二人と一緒に行くのだ」
「一緒にか」
「私達と」
「そうなのだ。これでどうなのだ?」
「わかった、それならだ」
「御一緒に」
「それで関羽」 
 同行が認められてすぐに関羽に対して声をかけた。
「真名は何なのだ?」
「真名!?」
「そうなのだ。一緒に行くのなら親しい間柄なのだ」
「そうだな。共に行くのならな」
「そして姉妹になるのだ」
 自分からいきなり言ってきた。
「だから真名で呼び合うのだ」
「おい、姉妹か」
「ナコルルもどうなのだ?」
 しかもナコルルも誘ってきた。
「一緒に。どうなのだ?」
「私はもう妹がいますけれどいいですか?」
「いいのだ。遠慮することはないのだ」
 彼女にも明るく言う。
「さあ、どうするのだ?」
「そうだな。これからずっと行くのならな」
「それで御願いします」
 二人は微笑んで張飛の言葉に頷いた。これで決まりだった。
「ではだ。私の真名はだ」
「何というのだ?」
「愛紗だ」
 微笑みはそのままだった。
「愛紗と呼んでくれ」
「わかったのだ」
「私はナコルルです。他の世界の人間なので真名はありません」
「それでは何と呼べばいいのだ?」
「ナコルルと。そのままで御願いします」
 こう言うのであった。
「それで」
「わかったのだ。ではそう呼ぶのだ」
「はい、それで御願いします」
「では鈴々」
 関羽も彼女の真名を呼んだ。
「行くか」
「そうするのだ」
 こうして三人はまた旅立ちはじめた。そして山道を行くところでだ。不意に関羽が張飛に対して言ってきたのである。
「どうした?暗いな」
「そうなのだ?」
「そうだ、暗いぞ」
 横にいる彼女に対しての言葉だ。
「迎えに来てくれなくて辛いか?」
「別にそれはないのだ」
 こう言いはするが俯いている。それが証になってしまっていた。
「そんなことはないのだ」
「見ろ」
 その彼女への言葉だ。
「上を見上げろ」
「上!?」
「そうだ。上だ」
 こう言うのである。
「上を見上げろ。今だ」
「何かわからないけれどわかったのだ」
 関羽がどうしてこう言うのかわからなかった。しかしであった。
 その言葉に従い上を見上げた。すると。
「親分、行ってらっしゃい!」
「また会おうね!」
「元気でね!」
「皆・・・・・・」
 皆いてそのうえで手を振っている。張飛はその皆の姿を見てだ。
 目が滲んできた。だがここでまた関羽が言ってきた。
「人は別れの時の顔はずっと覚えているぞ」
「ずっと!?」
「そうだ。だから笑顔でいることだ」
 そうしろというのだ。
「笑顔で今は別れるのだ。再会の時までな」
「わかったのだ」
 関羽のその言葉に頷いた。
「それじゃあそうするのだ」
「では行きましょう」
 ナコルルはもう笑顔になっていた。清らかな淀みなぞ全くない笑顔である。
「これから」
「そうするのだ。行くのだ」
 張飛も笑顔になった。そのうえでかつての子分達に思いきり手を振り別れの挨拶とした。三人の少女達の旅と運命はここにはじまるのだった。
 今時代は大きく動こうとしていた。様々な少女、美女、剣豪、猛者達がこの世界に集っていた。そしてそれは大きな運命のうねりの中に集うものであった。


第一話   完


           2010・3・19
 
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