虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 -求めたのは力では無く-
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Act6 鬼神の如し
前書き
つまり士郎が無双します。
キリトの活躍が好きな人は、すいませんがもう暫くの間無いかもです。
今現在、グランドクエスト攻略に挑戦している者達がいました。
スプリガンのキリトに、シルフのリーファ。
それと、突破口を開くために自爆魔法で多くのガーディアンを道ずれに先ほど死んだシルフのレコンの3人でした。
リーファはその行動に悲しみましたが、キリトはそのチャンスを無駄にしまいと、レコンの作った穴を目指します。
しかし――――。
「ガッ!?」
「お兄ちゃん!?」
レコンの作った穴を埋めまいと、ガーディアン達が密集して塊り、自分達を壁としてキリトの突撃を遮りました。
「ガッ、グッ、ガハッ!」
さらにキリトが態勢を整える間もなく、追撃の攻撃に体を幾つもの剣に貫かれ、まるで捨てられたゴミの様に蹴り飛ばされて、静かに落下して行きます。
「無理だよ・・・無理だよ、こんなの・・・・・・」
リーファは涙ぐみ、弱音を吐きながらすぐさまキリトの回復に当たります。
ですが彼女が弱音を吐くのも致し方なき事。
自らを顧みずに放ったレコンの自爆魔法で空いた穴も、今はもう完全に塞がれているからです。
その上自分達はボロボロ、これで弱音を吐くなと言う方が難しい事なのかもしれません。
そしてさらなるダメ押しとばかりに、キリトにヒールを掛けている最中のリーファの近くに来たガーディアン達が、罪人を処刑するかのように剣を振り上げて、振り下ろす体勢となります。
これに今のリーファが出来る事は睨み付ける事ぐらいしか出来ません。
それでも心中では最早これまでと諦めかけた時、下の方から怒気が込められた津波のような声が彼女の耳に届きました。
「何!?」
「アレは・・・シルフ部隊?」
キリトの言葉通り、大扉から入って来て飛び上がって来たのは連隊を組んだ幾人ものシルフ部隊です。しかもリーファは兎も角キリトは初見ですが、彼らは全員エンシェントウェポン級の装備を付けての登場です。
さらに巨大なモンスター特有の咆哮と共に飛来してくるのは、ケットシー領の切り札の二つの内の一つの竜騎士隊です。
その両陣営のグランドクエスト攻略部隊のほぼ全員が、2人のいる空域まで上がってきた時、もう2人と一体の影も昇ってきました。
サクヤと飛竜に跨ったアリシャ・ルーです。
「すまない。遅くなった」
「装備を揃えたりとかで遅くなっちゃったんだ~」
2人はその様に謝罪してくるが、リーファからしてみれば、こうして駆けつけてくれただけで感動モノでした。
けれどそこで同盟軍全員から怒気が放たれている事に気が付きました。
「えっと・・・皆なんか怒ってない?」
「それは追々説明するさ」
「今は目の前の敵に集中しよう~。――――竜騎士隊、ブレス攻撃用意!」
「同じく、シルフ隊、エクストラアタック用意!」
両領主の2人は、自分達が引き連れて来た舞台に砲撃の用意をさせます。
いきなり放たせないのは、今まさに同盟軍目掛けて突っ込んできているガーディアンの軍勢をギリギリまで引きつけるためです。
しかしガーディアン達は何も、密集して自分たちそのものを壁としているのと、同盟軍目掛けて突っ込んで来ているのだけでは無い筈です。無い筈なのに、いつの間にか、自分たちの付近は勿論、後方と言うより下の空域にいた筈のガーディアン達が一体たりとも居なくなっていることに気付きました。
(全部上に撤退したわけじゃないし、皆もまだ一発も砲撃してないのに何で・・・?)
しかしリーファの疑問が解ける前に、アリシャの号令が響き渡ります。
「ファイアブレス、ってぇ――――――――――ッ!!」
直後全ての飛龍の口から、紅蓮の劫火を解き放ち、向かってきたガーディアン達を悉く消滅させていきます。
ですが全てではありません。ファイアブレスを躱したのと、後方から新たな突撃してくるガーディアン達が第二撃を放たせまいと、ドラグーン隊に特攻を掛けてきました。
しかしそれをさせないのがシルフ隊です。
「フェンリルストーム、放てッ!!」
サクヤの号令直後、シルフ隊の剣先から深緑の稲妻がビームの様に放たれて、突進してくる残りの全てのガーディアン達を殲滅しました。
リーファとキリトはその派手な攻撃に目を奪われて気付いていないようですが、さらに撃ち漏らしたのは何所からともなく放たれる弓矢によって、一体一体正確に頭蓋と心臓部分を射抜かれて、消えて行きました。
そうして同盟軍に滅ぼされたガーディアン達の数が僅かでは無かったのを意味する様に、無限とも思えた守護騎士の壁に、穴とまでは行かなくとも、一目で判るくらいの窪みが出来ていました。
このチャンスを逃すまいと思ったのは全員です。
「「総員、突撃ッ!!」」
アリシャとサクヤの鞭うつかの様な鋭い声に、キリトを先頭に同盟軍全員が守護騎士の壁を突破せんと突撃を開始するのでした。
ーInterludeー
「うぉおおおおおおっ!」
「はぁああっ!」
キリトとリーファを含む同盟軍は守護騎士の壁を突破しようと、自分達を遮り邪魔してくるガーディアン達を各個撃破していました。
そこでキリトよりかは幾分か冷静なリーファがある事に気付きました。
不満な事では無いのですが、突撃を開始して乱戦状態に陥ってるにも拘らず、リーファが見ている限り、同盟軍の誰もガーディアン達の攻撃を一撃も貰っていない事に気付いたのです。
(シルフ隊は兎も角、攻撃力は高いけど的になりやすい位大きい飛龍まで如何して・・・?)
しかしその疑問は、たまたま見ていた一体の飛龍の真横に居たガーディアンで、直に解けたのです。
飛龍に跨るドラグーン目掛けて、剣を振り降ろそうとするガーディアンの心臓部分と頭蓋部分の両方が、ほぼ同時に弓矢が突き刺さって消えて行ったのです。
(弓矢!?)
いつの間にか弓矢が突き刺さっていたので何所から来たかまでは見えませんでしたが、弓矢の刺さり方から予想出来る方へ眼を向けると、サラマンダーらしきプレイヤーを一人見つけました。
「あの人は・・・?」
「言ったでしょう?今度はうちの最終兵器も連れて来るって」
「アリシャ・・・・・あっ!まさかあの人が!?」
「そ、髪が赤いからよくサラマンダーに間違えられやすいし、此処からじゃ見えにくいかも知れないけど、猫耳も尻尾もちゃんとついてる、私達ケットシーの最終兵器――――《鬼神》ネームレスよ」
アリシャが説明している最中も、彼女からネームレスと呼ばれた弓兵は精密さと高速の連射により、同盟軍の狙撃による後方支援を完璧に熟しています。
敵味方の隙間を縫って、優先度の高いガーディアンを次々に確実に屠って行きます。
時には同盟軍の最前線で剣を振るっている、キリトの援護射撃もしていました。
「す、すごい!」
「でしょ?」
「ネームレスがいるから私たちは大丈夫だ。リーファはキリト君の援護に向かってくれ」
「うん!」
サクヤの言葉に甘えてキリトの下へ向かうリーファ。
「お兄ちゃん!」
「スグか!後ろを頼む!」
「任せて!」
兄のキリトに背中を任せられたリーファは、自分の目の前から迫って来るガーディアンを切り伏せます。
キリトの死角をリーファが、リーファの死角をキリトが補い合う様な連携を見せる2人の動きは、まるで踊っている様です。
しかし調子が良すぎたのか、同盟軍の射程圏外まで上がって来た2人が見たのは自分達を覆う様に遠くから狙い定めている弓を番えている守護騎士たちの姿です。
一度目にキリト単独で挑戦した時に殺された戦術です。
如何やら一定以上の高さまで昇ると発動されるのでしょう。
「お兄ちゃん!」
「俺の傍から離れるなよ!」
とは言ったものの、キリトはこの事態に何も対策を思い浮かんでいません。
あの時気付いたのは数本の矢を受けてからでしたが、それでもとても捌き切れないと判断してゴリ押しの特攻に賭けたのです。それも失敗に終わりましたが。
その2人の窮地を離れた空域の乱戦の中でサクヤが気付きます。
「アレは不味いッ!?」
「ヤバッッ!?」
「俺に任せろ」
2人の窮地に気付いて声を荒げた両領主の横を通り過ぎ、耳元にそんな言葉を残して急上昇する1人のプレイヤーがいました。
そう、ネームレスです。
ネームレスは、なんとかキリトとリーファを庇う様に2人の上に辿り着きましたが、既に守護騎士たちが番えていた矢は解き放たれて、すぐ側まで迫っていました。
「ネームレスさん!?」
「アリシャから話は聞いていたか。此処は任せろ」
「まさか俺達の盾に!?」
ですがネームレスはキリトの叫びに答えることなく、2人の盾となり矢を全身に受けて行く――――なんて事にはなりませんでした。
ケットシーは俊敏性が一番の長所の為、基本的には得物が大きすぎると戦いにくくなります。
それでクローか、ダガーか、手甲などになります。
そしてネームレスが自分で用意した近接専門の得物は、陰陽紋様が入った黒と白の手甲です。
これで弓矢の雨を如何するかと言えば――――。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ!!」
360℃、全方位から来る矢の雨を悉く弾き飛ばして行きます。
しかも弾き飛ばすだけでなく、二射も三射も撃たせないように、弓で撃ち放ってきた守護騎士達に全て返すように串刺しにしていきます。
その光景の凄まじさたるや、下の乱戦空域にて見れる余裕がある者は、誰も彼もが見入ってしまっている様です。
であれば、間近で見ているキリトとリーファの感動は、その比では無いだろう。
「す、すごい・・・」
「ああ・・・・・・」
(これほどの技を持つ人はアインクラッドにも居なかったぞ。なのに、この人は一体・・・)
2人がネームレスの凄まじい技に見惚れている間に、最後の矢を最後の射手の守護騎士目掛けて弾き返して串刺しにした所で、下から彼に心酔している数人のケットシー達が戦闘の真っ最中ながらも賛辞を送ります。
「流石は教官!」
「一生ついて行きます教官!」
「愛してます教官!」
「結婚してください教官!」
「教官になら抱かれてもいい(←男)」
「「「「え゛」」」」
いろいろ下から賛辞と言うか変なカミングアウトをする5人からの言葉に、ネームレスは深い溜息をつきます。
如何やら何時もの事の様で、近くで守ってもらっていたキリトとリーファは哀れみの視線を向け、アリシャは苦笑していました。
ですが、一難去ってまた一難。今度は天蓋に敷き詰められているかの様な守護騎士達の壁に六つの大きな穴が開き、その大きな穴から巨大な守護騎士が六体も出現したのです。
「なんだありゃ!?」
「あんな巨大な奴が出るなんて聞いてないぞ!」
乱戦空域にて、守護騎士達の数もだいぶ減らした所で、上を見上げていた者たちが口々に言いながら驚きます。
その大きさは、ヨツンヘイムにてキリト達が遭遇した或いは見た像クラゲ型邪神やヒト型邪神の二回り以上です。少なくともドラグーン隊の飛龍よりは遥かに大きいと言えるでしょう。
「シルフ隊、残存の敵を殲滅せよ!」
「ドラグーン隊、急上昇し、特大巨人騎士(仮の呼称)を一体ずつ確実に撃滅せよ!」
『『了解!』』
想定外の敵に対応するため、両領主の指示の下、同盟軍全員は各々の役割を真っ当するために動き出しました。
近くの守護騎士達を小回りの利くシルフ隊に任せ、今回の攻略戦で一番火力の高い飛龍にデカブツをぶつけるのは当然と言えるでしょう。
「まずは二時の方向の特大巨人騎士に向けて、ファイアブレス一点集中!ってぇ――――――――!!」
アリシャの指揮通り、ドラグーン隊の一点集中砲火を浴びる一体の特大巨人騎士。
ですがビクともせずに、ダメージを与えられた様子はありません。少なくとも外見上は。
「攻撃が効かない!?」
「怯まないで!下が殲滅できればシルフ隊も加わる。それまで何としても持ち堪えるのよ!」
『りょ、了解!』
ですがそれは目標である敵の大きさが一体ならではの戦術です。
複数いる場合では対応しきれません。
もう一体の方は、リーファの魔法の援護でキリトが剣技を浴びせていますが、あまり効果が見受けられません。
(如何する!?)
六体もの特大巨人騎士に、如何にして対応するか判断しかねていると、突然轟音が響き渡ります。
音の方を見れば、別の特大巨人騎士が、自ら持っていた巨大な剣で、人間で言う喉元辺りに突き刺さり壁に串刺しにされていました。
こんな事が出来るのは、この場において1人しか思い当たりません。
串刺しにされた特大巨人騎士から少し離れた位置で飛んでおり、それでも一番近くに居たネームレスです。
如何にして倒せたのか想像もつきませんでしたが、矢張りこいつは化け物だと、アリシャは再認識しました。
「まず一体」
ネームレスのそんな言葉と同時にダメージ許容量を超えた巨人は、剣と共に爆炎となり消滅しました。
しかし当人は視認もせずに次に向かいます。
次の奴は、仲間をいとも容易く倒したことによって危険と判断したのか、ネームレスに自ら近づいて剣を振り上げます。
ですがそれが狙いだとでも言う様に、巨人が掴んでいる剣の柄の底を思い切り蹴り上げて、無理矢理手放させました。
そして先と同じように、徹甲作用の投擲時の腕の動かし方を全身で表現して、宙に浮いた剣の柄の底をタイミングよく思い切り蹴り飛ばして、一体目と同じ個所を壁に縫い付ける様に串刺しにします。
『『ウォオオオオオオオッッ!!』』
早くも二体目を倒すネームレスに、診ていた者達は驚きと歓喜のどよめきを起こします。
ネームレスのステータスは低くはありませんが、それ程お高いと言う訳ではありません。
少なくとも飛龍の火力に比べれば、筋力は低いでしょう。
それでは、ドラグーン隊の集中砲火を浴びても大した効果を与えられない敵に対処するには如何すればいいかと考えた所、敵の武器を利用すればいいだけ――――と言う考えに思い至っただけの事です。
後はこのゲームの設定の甘さをついたのもいいのでしょう。
ネームレスから言わせれば、巨人の剣を握る力が甘いと言えるとの事です。
まあ、常識的に考えれば、自分より巨大な剣を利用するなど考える方がおかしので、非常識なのはネームレスの方なのです。
まあ、それは兎も角、二体目も容易く撃破したネームレスは全体を一瞬だけ一度見渡してから、ドラグーン隊とキリト達が相対している以外の二体にまで一気に接近します。
今度は今までとは別に、直に手を出さずに上の方に居た一体の胴を足場にして、サクヤに要請しました。
「サクヤ殿!シルフ隊を壁際に散開させて下さい」
「っ!全員散開!」
『了解!』
サクヤもシルフ隊も何の疑問も持たずに言われた通りの行動しました。
勿論信頼できるからこその行動です。
要請した本人であるネームレスは、彼らの行動の終わりを見る前にその場から勢いよく飛び立ち、真下に居た巨人の背中に叩き落すように思い切りけり落とします。
巨人はその威力により、ダメージなどは喰らいはしませんでしたが、衝撃の凄まじさに耐えかねて勢いよく落下して行きます。
その途中でシルフ隊が追い詰めていた守護騎士達を全て巻き込み、なおも落下して行きます。
さらには、消滅した守護騎士の代わりに生み出された新たに出現した守護騎士達が、サクヤ達目掛けて中央に集まって上昇していた所に、ほぼ全員落下してきた巨人に巻き込まれ、そのまま一番下の床に叩き付けられ、巨人と床の間に潰されて消滅して行きました。
ただし、巨人のみは大したダメージを負わずに立ち上がろうとしたところで、落下中に手放した剣をネームレスによって遅れて叩き落とされて、脳天を貫く様に頭から串刺しとなり消滅しました。
「おお!まとめて・・・」
「アリシャ殿の言葉通り、あの方、矢張り人外だな」
口には出しませんが、サクヤも兵たちの言葉に同意します。勿論褒め言葉として。
そんな賞賛の当人は、いつの間にかキリト達が相手取っていた巨人を、最初の二体同様の末路に追い込んでいました。
「キリト、と言ったな。まず最初に君だけでも、あの密集している守護騎士達の先に遅らせる」
「それはありがたいですが、どうやって?」
「アイツを――――使うッ!!」
ネームレスは壁を勢いよく蹴って、トップスピードのまま、壁となっている守護騎士達の近くで防衛を優先する事を選択した特大巨人騎士の顔面を殴りつけます。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
無論ダメージなど負わない特大巨人騎士でしたが、衝撃の勢いに押されて頭を起点として、宙で逆上がりの様に回転します。
畳掛ける様に剣を掴んでいない方の手の人差指を掴み上げて、巴投げで勢いよく守護騎士の壁目掛けて投げます。
「セイっ!」
最初に顔に受けた衝撃に加えて今の巴投げの勢いで、巨人は守護騎士の壁に大きな窪みが出来る程食い込みました。
ですがさらにネームレスは、押し込むように弓矢の連射をを浴びせます。
勿論弓矢程度の衝撃では、あの巨人からすれば蚊に刺された程度でしかないでしょう。
だからネームレスは利用しているのです。自分を屠るために向かってきている守護騎士達を。
ネームレスは自分目掛けて飛んでくる守護騎士達を、全部射抜いては巨人に当たる様に角度やタイミングをコントロールして、消滅時の爆風を巨人に当てているのです。
ですが巨人も為されるがままではありません。
何とか態勢だけでも戻しつつ、ネームレスに剣を投擲しました。
ですがネームレスにとってそれは好都合、自分に向かってくる剣の腹に幾つか当てて、速度と衝撃を緩和させることに成功し、柄の先を掴み取り、振り回す事で自身に向かってくる守護騎士達を切り裂いて行きます。
「突っ込め!」
「ッ!!」
ネームレスの呼び声にキリトは即座に反応して、巨人めかけて特攻を敢行します。
ネームレスをも抜き去り巨人目掛けて飛んでいる途中、真横をネームレスが振り回していた巨人の剣が追い抜いて、目の前に迫っていた守護騎士達を貫き屠って行き、そして――――。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
剣は巨人を貫き、その勢いでさらに進んでから周囲の多くの守護騎士達を巻き込んで爆散しました。
その為、やっと守護騎士達の壁の向こう側がはっきりと見える位の大穴が開き、飛び込むようにキリトは飛行速度を速めます。
それを守護騎士達は、又もや自分達が壁となってキリトを遮ろうとするも、ネームレスの放つ弓矢による高速の連続射撃で多くが屠られて行きます。
「じゃっ、まだ―――――ッ!!」
後は射線上で射殺すこと敵わなかった数体の守護騎士を切り伏せて、遂に―――――
『『ウォオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』』
「よしっ!」
「やった!」
「お兄ちゃん!」
キリトが守護騎士達の壁を突破して、同盟軍全員の士気は最高潮。
「2人共、これから如何するの?」
キリトを突破させるのが現状で唯一リーファの望みだったので、同盟軍のほぼ全員と違い彼女は今すぐログアウトしてもいい位でした。
ですが同盟軍全体は違います。
「如何するも何も――――」
「決まっている――――」
『『我らも後に続くぞ―――――ッ!!』』
未だに興奮以上に怒りが収まっていない同盟軍は、最高潮の士気を維持したまま天蓋に向けて翼を羽ばたかせるのでした。
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