レーヴァティン
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第六話 神殿その十二
「試合で負ければ丸坊主だの無断欠席は即退部だのあれするなこれするなあれしろこれしろってな」
「軍隊の様な規律でだな」
「生徒を締め付ける顧問がな」
「そうした奴のところにはだな」
「幾ら剣術でも行きたくないだろ」
「俺もそうした顧問の話は聞いている」
剣道をしているだけにだ、英雄も知っていた。
「そしてそうした奴に限って自分には甘い」
「生徒は締め付けてな」
「生徒が頭を下げて挨拶をしても横をふんぞり返って通ってうっすと挨拶をするだけだ」
「本当にそうした奴いるな」
「日本の教師の世界の腐敗は極まっている」
英雄はこの現実も指摘した。
「こうした勘違いをしている輩が大手を振って歩いているのだからな」
「自分を何様と思っているってな」
「そんな教師はいてだ」
「剣道で生徒をいたぶってるんだな」
「剣道ではない」
英雄は強い言葉で否定した。
「そうした輩がやっているものはな」
「じゃあ暴力か」
「そうだ、只のな」
そうしたものに過ぎないというのだ。
「竹刀を持っただ」
「俺達が倒してきた連中がやってるのと同じか」
「この世界ではならず者だが」
「あっちの世界じゃ先生様か」
「そうなっている」
「俺達の世界の方が酷いか?」
「この世界では少なくともならず者はならず者だからな」
その人格や品性に相応しい立ち場にいるというのだ。
「おそらく悪質な軍人や傭兵や領主はいるだろうが」
「こうした世界の常か」
「しかし俺達の世界ではだ」
「そうした連中が先生様か」
「そして子供達を教えている」
教えていると言えば間違いになる、自身の感情の赴くまま虐待を加えている。それが放置されているのも日本の教育なのだ。
「どちらが悪いだろうな」
「一概に言えないな、しかしな」
「それでもだな」
「どっちも許しちゃいけねえな」
久志はこれ以上にないまでに眉を顰めさせて言った。
「絶対にな」
「そうだな」
「ああ、放っておいたらな」
「それこそだ」
「やりたい放題やってな」
「多くの善良な人達が迷惑する」
このことはどの世界でも同じだとだ、英雄は看破した。
「成敗するべき輩もいる」
「屑と呼ぶにも値しない奴はどうしようもないか」
「俺達の世界の暴力教師もな」
「それで御前が知ってるその暴力教師はどうしたんだよ」
久志は英雄のその話を聞いて彼に問うた。
「御前がやっつけたのか?」
「いや、悪事が公になってだ」
「それでか」
「懲戒免職になった」
「そうか、それで終わったんだな」
「生徒が虐待されているのを見て俺が通報させた」
そうする様にアドバイスしたというのだ。
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