恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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122部分:第十一話 孔明、世に出るのことその八
第十一話 孔明、世に出るのことその八
「じゃあ今から」
「悪いな」
「関羽さんおはようございます」
だがここで、だった。孔明がやって来た。そのうえで彼女も挨拶してきたのである。
「お怪我の方はどうですか?」
「ああ、随分楽になった」
その孔明に微笑みを向けての言葉だった。
「どうも済まないな」
「いえ、それではですね」
「ああ、それでは?」
「朝御飯ですけれど」
「鈴々がおぶって連れて行くからいいのだ」
「いえ、これがあります」
こう言って出してきたものは車椅子だった。板と車を合わせて作ったものである。
「これに乗って行けば楽ですよ」
「これは」
関羽もその車椅子を見て思わず目を丸くさせた。その切れ長の目が丸くなっている。
「孔明殿が作られたのか」
「はい、そうです」
「凄いな。発明もできるのか」
孔明のその知力に気付いたのである。
「貴殿は」
「いえ、私はただ」
「いや、これはかなりのものだ」
謙遜する彼女に対しての言葉だ。
「そうか。凄いことだな」
「はあ」
「それでこれを使ってか」
「おトイレにもこれで簡単に行けますよ」
孔明は用足しの話もした。
「ですから何かあったら遠慮なく使って下さいね」
「済まないな、本当に」
「いえいえ。それじゃあ今からいきましょう」
こう言って関羽をその車椅子に乗せてであった。彼女を食堂まで連れていく。一人残された張飛はまた不機嫌な顔になった。またしてもであった。
食事が終わり孔明は外で掃除をはじめた。その時もだった。
「おいおい、あの本ってよ」
「そうだな。論語だな」
趙雲が馬超に対して答えた。二人も彼女を見ているのだ。
「あれはな」
「論語なんて読んでるのかよ」
「貴殿は読んだことがあるか?」
「あたしはああいうの苦手なんだよな」
馬超は苦笑いで応えた。
「兵法書は読んでるけれどな」
「ふむ、やはりな」
「やはりってわかってたのかよ」
「貴殿にはああした本は向かない」
このことを本人にも言った。
「やはり兵法が一番合うな」
「ああ。そういえばあんたはどうなんだ?」
「読むことは読む」
趙雲はこう答えた。
「一応はな」
「そうか。あんた凄いな」
「しかしやはり一番合っているのはだ」
「兵法だっていうんだな」
「そうだ、それに槍だな」
彼女にしても武人だった。明らかに孔明とは違っていた。
関羽も部屋の窓からその孔明を見てだ。こう言うのだった。
「孔明殿は凄いですね」
「あら、そうかしら」
「あの歳であんなにしっかりして」
こう言うのである。その掃除の合間に書を読む彼女を見てだ。
「うちの鈴々とはえらい違いです」
「そうね。娘さんとはね」
「えっ!?」
今の水鏡の言葉には焦って顔を向けた。
「今何と」
「鈴々ちゃんのことだけれど」
「あの、私はまだ」
「随分と早い出産だったのね」
また言う水鏡だった。
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