恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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116部分:第十一話 孔明、世に出るのことその二
第十一話 孔明、世に出るのことその二
「北の方だけで南にはあまり及んでいないそうだな」
「そうなのですか」
「そうらしい。新野はその辺りは治めているそうだがな」
「精々長沙までだろうな」
趙雲もこう見ていた。
「袁術殿が統治しているのは」
「これが曹操殿や袁紹殿なら全土に統治を向けるが」
「だが袁術殿は御二人とは違うからな」
こう関羽に返す趙雲だった。
「元々袁家の嫡流だ」
「ああ、そうだったよな」
馬超は趙雲の今の言葉にあることを思い出した。
「袁紹ってお袋さんがな」
「生まれが低い。だから袁家ではあまり重く見られていなかった」
袁紹の生い立ちである。
「本人もそのことを強く意識していた」
「名門袁家でもなのか」
「名門でも妾腹だ」
趙雲は関羽に対しても答えた。
「本来は今の様に四つの州を治められる方ではないのだ」
「では実力ですか」
「実力はある」
ナコルルにもこう返す。
「少なくとも戦と政に関してはかなりのものだ」
「では優れた方なのですか」
「戦と政にはな」
趙雲はここでその二つに限定した。
「だが。かなりバランスの悪い方だ」
「そういえばあれなんだよな」
馬超がここでまた話した。
「何か妙にお嬢様ぶっていておかしなところがあるんだよな」
「けれど領内はかなり纏まっているのだ」
張飛はこのことを言った。しっかりと見ていたのだ。
「治安もいいし繁栄もしているのだ」
「しかし曹操殿と比べるとだ。いや」
関羽はすぐに自分の言葉を訂正させた。
「曹操殿もあれでな」
「そうですね。妙に肩肘張っているところがありますね」
ナコルルも曹操について述べた。
「お話を聞く限りでは」
「多芸多才な方だがな」
関羽もそれを言う。
「何か無理をしているな。そんな気がする」
「袁紹殿と同じだ」
趙雲は曹操をこう評した。
「曹操殿も名門、それこそこの国ができた頃からの名門曹家の者だ」
「そうだったな。しかし」
「祖父殿が宦官だ」
曹操の問題はこれであった。
「夏侯家から入られたな」
「曹家に夏侯家といえば物凄い名門なのだ」
張飛でさえ知っていることからそのことがよくわかることである。
「袁家よりも凄いのだ?」
「しかし宦官の家だ」
趙雲はこのことを強調して述べた。
「袁紹殿とそうした意味では同じだ」
「では昔はか」
「御二人共幼い頃は孤独だったらしい」
今でこそ飛ぶ鳥を落とす勢いの二人ではあるが。幼い時はそうだったのだった。
「蔑まれてもいた」
「それでかよ。二人共妙なところがあるのは」
馬超はここまで聞いてわかったのだった。
「子供の頃のことかよ」
「それで袁紹殿は政治と戦争のことを必死に学ばれた」
「その劣等感や自分の境遇を脱する為にだな」
「そうだ、そして今に至る」
「曹操殿もか」
「あの方はありとあらゆることにとにかく精を出された」
曹操もそうなのだった。
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