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マイ「艦これ」「みほ2ん」

作者:白飛騨
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第2話<ぽいぽい>

 
前書き
司令は秘書艦から護衛艦として夕立を推薦された。その艦娘は独特の話し方をする駆逐艦だった。 

 
「善は急げっぽい」

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マイ「艦これ」「みほ2ん」
:第2話<ぽいぽい>(改2)
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「夕立?」

私の問いに祥高さんは応える。
「はい。戦闘能力は高いですし何よりも、この子は敵を恐れません。護衛艦としては最適です……ただ」

彼女は話を止めた。

「ただ?」
なんだ? 気になるな。

「彼女は、とても独特の喋り方をするので司令のご親族には少し誤解を招くかも知れません」
「何だ、そんなことか」
私はホッと安心すると同時に、それなら最初からもっと、まともな艦娘にして欲しいなと思った。

 しかし私の思いとは裏腹に彼女さんは続ける。
「でも基本的に夕立は前向きで悪い娘ではありません」

 いや艦娘たちが良い娘ばかりだ……ってのは十分、知ってる。
「そんなに『推し』なのか?」

ニコニコして内線を取る彼女。
「まずは、呼びましょう」

「ちょ、ちょっと!」
有無を言わさず、彼女は夕立を呼び出した。

「結局もう、呼ぶのか?」
「はい、善は急げと申します」
 ……ちょっと違うよな。

(コンコン)
「どうぞ」
祥高さんが返事をする。

(あぁあ、もう来ちゃったぞ)
私は変な汗が出てきて帽子を取った。

 やや長身でスラっとした金髪の少女が入ってきた。
「失礼します……ぽい?」

「ぽいっ?」
 そうか、これが口癖か。

「初めまして司令。私が夕立です……ぽい」
敬礼した彼女は金髪に学生服のような軍服を着ている。

しかもよく見ると、この艦娘は目の色も黒じゃなくて緑色だ。
「もしかして君はハーフか?」

つい聞いてしまった。彼女はニコニコして返事をする。
「ううん、違うっぽい」

バカな質問をした私。思わず苦笑した。帝国海軍の艦娘だから日本人だよ。

 夕立は後ろに腕を組んで祥高さんと私を交互に見ながら言った。
「もう、実家へ行くっぽい?」

「えぇーっと……あれ?」
私は祥高さんを振り返った。

「彼女には、どこまで話が通っているんだ?」
「司令が墓参をする可能性があるので実家まで護衛をして下さいと伝達してあります」
平然と応える彼女。もはや影の作戦参謀だな。

「昨夜のゴタゴタがありますから、さすがの敵も恐らく今日なら攻めて来ないと思われます」

「ええ? そうか?」
しかし、そんな都合の良い解釈が果たして深海棲艦の連中に通用するのか?

 私が(ひる)んでいると祥高さん、なおも畳み掛けてくる。
「幸い司令のご実家は境港市内と伺っております。万が一、敵が来ても直ぐに、ご対応頂けるでしょう。問題はありません」

「そりゃ確かに不可能じゃあないけど」
(何、仕切ってんだよ?)

「善は急げっぽい」
止める間もなく夕立が元気に手を上げた。

「では」
祥高さんも決定したように言う。やれやれ……結局、押し切られたような気がする。

それでも若干、抵抗するように私は質問する。
「だが行くとしても準備が」

「既に軍用車も下に準備されています」
「は?」
……結局、こうなるのか。腹が痛くなってきた。

「今日の運転手は日向さんにお願いしました」
「日向?」
私が素っ頓狂な声を出すと彼女は不思議な表情をした。

「何か問題でもありますか?」
「いや……無い。むしろ適任すぎる」
私は苦笑した。

 そういえば日向が運転する姿なんて初めてだ。もっとも彼女は航空戦艦だから戦闘機も同時多発的に操れる。運転なんて軽いだろう。つくづく艦娘は器用だな。

祥高さんは言う。
「無線担当として寛代ちゃんも同行しますが……宜しいですね?」

「やっぱり」
「は?」

「いや、なんでもない」
私は慌てて取り繕った。

 まあ二人っきりじゃないから仮に境港で幼馴染とかに出会っても問題ないか。日向と夕立もいるから他人が私たち一行を見ても妙な誤解は招かないだろう。

 祥高さんは内線で車庫に連絡を居れた。既に日向と寛代が準備出来ている。手回しが良いな。

「では、ご案内しましょう」
祥高さんが立ち上がる。

「ああ」
私も制帽を持って立ち上がった。半ば強引だが彼女のやっていることに無駄はない。冗談抜きで作戦参謀みたいなものだ。こうなったら大人しく従うしかない。

その時、祥高さんがカギ付きのロッカーを開けて何かを差し出した。
「使い方は、ご存知ですよね」

それはホルスターに入った南部の拳銃だった。
「念のために」

「そうだな」
私は受け取ると上着を脱いでホルスターを装着した。

 車庫に降りると日向と寛代が軍用車の前で敬礼をした。
「日向、運転を担当します」
「寛代……無線」

「ああ」
やや無愛想に返事をした私だったが、この二人は気にしないタイプだな。

 私は後部座席に座った。夕立が同じく後部座席の私の隣に座った。改めて彼女を横から見ると、すごくアカ抜けた娘だ。山陰の田舎じゃ、こういう明るいタイプの女子は絶対に見かけない。オマケに金髪に青い目。外人さんだよ。

 しかもその短いスカート。ちょっと気を付けて欲しい。考えるまでもなく艦娘って何故? ……スカートの丈が軒並み異様に短い娘ばっかりなんだ?

 前から疑問だったが……まあいい。今さら誤解されても困るから基本的に無視だ。仏像のように無関心、無視でいこう!

 そんな私のギコチ無さに気付いた夕立がこっちを見た。
「司令、どうかしたっぽい?」

「いや、何でもない」
意外と人を見ているんだな。さすが護衛艦。

 鳳翔さんが昨日から必死で洗濯してくれたから私の制服もパリッとして、きちっと仕上がっている。これは気分が良い。満点! だな。
「司令、格好良いっぽい」

「そうか?」
 観察力は良いし反応も良いんだが……どうもこの子の台詞は最後に「ぽい」が付くからウソっぽくなるよな。

軽く後ろを振り返った日向が言う。
「司令、発車致します」
「ああ、頼む」

「行ってらっしゃい」
笑顔の鳳翔さんと落ち着き顔の祥高さんが鎮守府玄関で手を振る。

 軍用車は車庫を出てロータリーを回る。
えっと……車庫から直接、通りに出れば良いのに何故、わざわざ鎮守府正面玄関を回って出るのだろうか?

 必然的に暇そうな艦娘たちが出てきて、
『いってらっしゃーい』

……という、大げさな『お見送り』になる。第六駆逐隊の面々や島風が、派手に手を振っている。恥ずかしい。

 まあ艦娘たちも殺風景な鎮守府内では、お祭り騒ぎとか、ちょっとしたイベントくらい欲しいんだろう。そう思えば、これも司令官の義務なのか? 

 つい口走る。
「私を墓参に押し出したのもイベントか?」

「ぽい?」
金髪をなびかせながら夕立が不思議な表情をしている。

「いや何でもない」
せっかく祥高さんがお膳立てしてくれたんだ。あまり疑うのは悪い。

 それにイベントだとしても司令の仕事だと割り切れば意義もあるだろう。そう思うと少し気分が楽になった。いつのまにか腹痛も治まっていた。

 軍用車は鎮守府の敷地を出て幹線道路へ向かう。私は流れる松林を見ながらふと別の考えが湧いてきた。

 敵がもし、どこかから、この状況を観察していたら? 私たちは果たしてどうなるのだろうか?
 なにしろ私の着任から作戦参謀の視察まで早いうちから情報を掴んでいた連中だ。やっぱり私が墓参に出たら……狙われるかな?

 私は改めて襟を……というより胸に手を当てた。そこには祥高さんが出掛けに渡してくれた拳銃が入っていた。物騒だが仕方ない。敵に狙われたこともあるわけだし今も常に敵が見ているという意識は持つべきだな。

 それに日向と寛代……いずれも索敵能力は高そうだ。信頼していこう。

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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
 
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