恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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113部分:第十話 張飛、また馬超と会うのことその十二
第十話 張飛、また馬超と会うのことその十二
「日本っていう国からね」
「っていうとナコルルと同じか」
「同じだけれど時代が違うのよ」
舞はこう話した。
「大体二百年は違うのよ」
「そうなんですよね。まさか時代の違う人達と一緒になるとは思いませんでした」
ナコルルも言う。
「不思議ですよね、これも」
「本当に。私達だけではありませんし」
香澄も加わってきた。一行はまた旅を続けている。洛陽を出てまた新たな道を進んでいた。
「テリーさん達もおられるのですよね」
「そうだな。是非会いたいものだな」
キングも腕を組んで言ってきた。
「懐かしい顔触れが揃っているのならな」
「それでこれから何処に行くの?」
馬岱は一行の行く先を尋ねた。
「洛陽にはもう寄らないんだよね」
「そうだな。南に行くか」
趙雲がここでこう提案してきた。
「南にだ。そこでどうだ」
「南か」
「北も行ったし西も行った」
関羽に応えながらこれまで行った場所も話す。
「今度は南でどうか」
「そうだな。悪くないな」
関羽も趙雲のその言葉に頷いた。
「ではそこに行くか」
「南か。いいな」
「そこもそこで面白いことがありそうだしね」
キングと舞もそれに賛成した。
「では今からそこにな」
「行きましょう」
「ここから南というと」
張飛は話を聞きながらまた述べた。
「荊州なのだ」
「そうだ。どうも今一つ治安がよくないらしいがな」
関羽はそのことを不安に思っていた。
「だがそれでもだ。行って損はないだろうな」
「また出会いがありますね」
香澄はこのことをもう予感していた。
「今度は誰でしょうか」
「感じるのですが」
ここで言ったのはナコルルだった。
「これまで武芸や格闘技に長けた方ばかりでしたが」
「今度は違うのか」
「はい、違うものを持った方と出会うと思います」
「ふむ。一体誰なのかだな」
関羽はナコルルの話を聞きながら考えていた。
「楽しみではあるな」
「では南に向かいましょう」
ナコルルも南と言った。
「これから」
「うむ。行くか」
こうしてだった。一行は南の荊州に向かう。そこでまた新たな出会いがあるのだった。
その頃ある場所ではだ。ある者達が話をしていた。そこは闇の中で話している者達の姿は見えない。だがそれでも話はされていた。
「そうですか。そうした存在も来ていましたか」
「始末しておきました」
一人が答えていた。
「既に」
「始末ですか」
「処理と言ってもいいでしょうか」
実に素っ気無い言葉だった。
「所詮は妖怪です」
「そうですね。妖怪は妖怪です」
話を聞く方の返答も素っ気無いものであった。
「妖怪なぞ。我々の目的を理解できる筈もありません」
「ましてや餓えに敗れ人を捨てた者」
今の言葉には侮蔑がこもっていた。
「その程度の輩なぞ同じ世界にいるだけで邪魔です」
「我々の手駒を害される危険もありますしね」
「だからです。今のうちに始末しておきました」
また始末だと言うのであった。
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