レーヴァティン
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第六話 神殿その四
「一体」
「使える奴でないと抜けなくてな」
兵士は久志にこのことから話した。
「全てを流し潰す水を出すらしいな」
「そっちは水か」
「氷も使えるって話だぜ」
「炎と氷か」
「火と水かもな」
「そうか、それぞれの力が備わってるんだな」
「それでこの二振りの刀剣の力があるとな」
兵士は久志にさらに話した、馬から降りて兵士と話している彼の横にはやはり馬から降りている英雄がいる。
「海の魔神を倒せるってな」
「ああ、その話だな」
「それで眠っている世界を出せてな」
「世界も救えるってな」
「そうした伝承だぜ」
「それで俺がその刀剣を抜くんだな」
笑ってだ、久志は兵士に話した。
「どっちかを」
「それで世界を救うかい?」
「いいねえ、そうなってやるぜ」
「ははは、その意気だな」
「ああ、じゃあな」
「剣抜けたらな」
兵士は屈託のない笑みでだ、久志にこうも話した。
「二人に酒を奢るぜ」
「飲み放題かい?」
「そうさ、どっちかが抜けたらな」
「二人共抜けたらどうする?」
「その時は最高の店に連れて行ってやるさ」
酒だけでなく、というのだ。
「俺が知ってるな」
「それってどういう店だい?」
「楽しい店さ」
兵士は今度はにやにやとした笑みになっていた、その笑みに言いたいことが実によく出ていた。
「これでわかるよな」
「ああ、そういう店か」
「子供はお断りのな」
「いいねえ、実はな」
「実はかい?」
「俺そうしたことは知らないからな」
「俺もだ」
英雄はこの場ではじめて口を開いた。
「そうした店はな」
「何だよ、そっちの兄ちゃんもかよ」
「興味はあるがな」
「それでもかい」
「そうした経験はない」
「二人共そこそこ顔はいいんだがな」
兵士は久志だけでなく英雄の顔もよく見て言った、それも怪訝な顔で。
「まだかい」
「ああ、どうもな」
「そうした話はまだ縁がない」
「俺は女房にそうした店も行ってな」
そしてとだ、兵士は話した。
「楽しんでるぜ」
「そうなんだな」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「病気には注意しろよ」
兵士は久志に笑ってこのことは忠告した。
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