恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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106部分:第十話 張飛、また馬超と会うのことその五
第十話 張飛、また馬超と会うのことその五
「東か北にな」
「曹操さんか袁紹さんのところだね」
「話を聞くとな」
ドンファンはここで腕を組んで述べた。
「袁紹さんの方が面白そうだな」
「面白そうなんだ」
「曹操さんの方も捨て難いけれどな」
「兄さんってグラマーな人好きだったね」
「あの人小柄だしな。左右にいる赤い人と青い人はいいんだがな」
「曹操さんのところにはシャルロットさんがいるし」
何故か彼女のことを聞いているジェイフンだった。
「あの人厳しいよ」
「ああ、怒られるのも嫌だから袁紹さんだ」
物凄い理由だった。
「あそこもあそこで問題ありそうだがな」
「とりあえず食べないといけないしね」
「ああ、北に行こうぜ」
「そうだね」
「少なくとも西は絶対に嫌だからな」
それは言うのだった。
「親父とジョンさんの二十四時間修行と強制労働地獄なんてよ」
「けれどチャンさんやチョイさんもずっと大変だね」
「あの人達何年ああやってるんだ?」
「さあ。僕達が子供の頃からだけれど」
その頃から地獄を味わっているのである。
「多分というか絶対一生あのままだろうね」
「悲劇だな、あの人達にとってはよ」
「北朝鮮に送られた方がましだって二人共泣きながら言っていたし」
その飢餓地獄の方がというのだ。
「壮絶なのは見てもわかるしね」
「ああ、じゃあ今から行こうぜ」
「うん、北にね」
こうしてこの兄弟は袁紹のところに向かうのだった。彼等もまたこの世界に来ていたのだ。だがそれがどうしてなのかはまだ二人にはわかっていなかった。
大食い競争は張飛と少女の一騎打ちになっていた。張飛は苦しみながらも尚も食べていた。
「くっ、こいつ・・・・・・」
その女の子を見ながら呟いた。
「まさに化け物なのだ」
何と張飛以上の食欲で食べていた。両手を縦横無尽に繰り出しだ。
「しかし鈴々も負けないのだ」
こう言ってであった。
「意地でも・・・・・・むっ!?」
ここで少女を見た。見れば動きが止まっている。
「遂にあいつも限界みたいなのだ。それなら!」
一気に攻勢に出た。そうしてだった。
己の皿のそれを食べ尽くす。これで勝ったと思った。
だが少女は己の皿の上の饅頭を流し込んでだ。そして言うのだった。
「おかわり!」
「何だって!?」
「今おかわりって言ったけれど」
丁度会場を後にしようとするドンファンとジェイフンが唖然となっていた。
「あの女の子何だ!?」
「あそこまで食べるなんて」
それで唖然となるのだった。
「この世界もとんでもないのが一杯いるな」
「本当にね」
「グリフォンマスクさんとどっこいどっこいか?」
「勝てるかも」
また新しい名前が出ていた。二人はそのまま袁紹の方に向かった。
戦いは終わった。優勝はその少女だった。
張飛と馬超は敗れた。だが満足はしていた。
「負けたのは残念なのだ」
「それでもな。たっぷり食ったし賞金も貰えたしな」
「まずはよかったのだ」
二人はこう話をして道を歩いている。
「それで馬超にそっちは」
「馬岱だよ」
馬岱はあらためて張飛に対して名乗ったのだった。
「蒲公英って呼んでくれていいからね」
「わかったのだ。なら蒲公英」
「うん、鈴々」
馬岱もまた張飛の真名を呼んでみせた。
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