Blue Rose
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最終話 薔薇は咲いてその九
「そのままよ」
「あれっ、そうなのか」
「というか龍馬このことは知らなかったの」
「ああ、ちょっとな」
「変わってないの」
優花はあらためて話した。
「苗字はね」
「健吾さんがか」
「そう、お義兄さんの苗字が変わったの」
彼の方がというのだ。
「そうなったの」
「そうだったんだな」
「だって姉さんは長女でしょ」
「ああ、お家をな」
「そういうことだから」
あえて多くは言わなかった、優花も。
「何だかんだで」
「そういう話残ってるよな」
「お家の話はね」
「俺のところもな」
龍馬もこう言った。
「俺が一番上だろ」
「だからよね」
「継ぐのは俺か」
「そうなるわね」
「普通のサラリーマンの家だけれどな」
自分の家のことをだ、龍馬は考える顔で述べた、
「それでも名前位はか」
「継がないと、みたいね」
「歌舞伎の家みたいだな」
梨園はそうしたことには非常に厳しい、名前は代々襲名していくものであり江戸時代からそれが残っているのだ。
「それこそ」
「それは極端だけれど」
「それでもか」
「家はね」
「あるんだな」
「それで姉さんが長女で義兄さんは次男だったから」
「お義兄さんが入ったんだな」
「そうなったの」
優子の夫婦の事情をだ、優花は龍馬に話した。
「それで私はね」
「そういうことがないからか」
「結婚したら多分苗字変わるわ」
「そうなるか」
「ええ、多分だけれど」
「奥さんになればか」
「そうなるわ。けれど結婚は」
このことについてだ、優花は思うのだった。さらに深く。
「まだね」
「想像出来ないか」
「ちょっとね」
「まあそうだよな。けれどな」
「将来はね」
「俺も御前もな」
「するかも知れないから」
現実としてだ。
「考えていくわ」
「そうだな、じゃあ今度はな」
「植物園でね」
「会おうな」
「それじゃあね」
こうした話をだ、優花は龍馬と卒業してから話した。そしてだった。
優花は就職してからも勤務先が実家に近い、電車で二十分位で行ける場所なのでだ。優子にこう言った。
「お家からね」
「通うのね」
「そうするわ、暫くは」
「同じ神戸市内だしね」
「そうするわ」
自宅にいる時に話した。義兄は今は入浴中だ。
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