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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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100部分:第九話 陳宮、呂布と会うのことその十


第九話 陳宮、呂布と会うのことその十

「まさかこんなところで」
「何で呂布将軍のところに」
「御前達は陳宮を疑った」
 その呂布の言葉である。
「そして追い出した。けれど」
「けれど?」
「何だっていうんだ」
「恋は陳宮を疑わない」 
 こう言うのだった。
「絶対に」
「疑った!?それじゃあ」
「あの水車小屋のことは」
「陳宮はそんなことしない」
 呂布はまた言った。
「そう、絶対に」
「何でそんなことがわかるんだ」
「どうしてなんだよ」
「恋にはわかる」
 呂布の凄まじいまでの直感故である。それでわかったのだ。
「だから」
「くっ、こいつはな」
「確かにあの時」
「燃やしたんだよ」
「御前達は見ていない」
 村人達の疑いの目はあっさりと否定した。
「見ていないのに何が言える」
「あんたもそうじゃないか」
「そうだ、見ていないだろ」
「それでどうしてそう言えるんだ」
「恋は陳宮、ねねを見た」
 愛称で呼んでさえしてみせたのだ。
「ねねを。だから言える」
「将軍・・・・・・」
「ねねはそんなことしない。絶対に」
 あくまでこう言う呂布だった。
「何があっても」
「うう・・・・・・」
「何故そこまで言えるんだ」
「こんな孤児を」
「何処でも生まれたかもわからないような奴なのによ」
「生まれも育ちも関係ない」
 呂布はここでも言い切った。はっきりとだ。
「ねねはねね。恋の絶対の親友」
「友達!?このねねが」
「そう、ねねは友達」
 はっきりと言った。陳宮殿に対して。
「これからも宜しく」
「将軍・・・・・・」
「恋でいい」
「は、はい」
「行こう」
 そしてまた告げた。
「この村から。恋達の場所に」
「わかりました!」
 最早陳宮にとってはこの村なぞどうでもよかった。明るい笑顔で呂布と共に二人の場所に向かうのだった。今彼女は呂布と共に彼女の人生を歩みはじめたのである。尚幻庵とアースクエイクも呂布に誘われた。そして気付いたらキムとジョンの下に置かれていた。
 辺境だった。異民族と言われる者達の場所だ。今その深い山の中で一匹の異形の存在が蠢いていた。
 緑の嫌らしい肌に異常なまでに膨れ上がった腹、それに反比例して痩せた身体に光のない目、それに禍々しい長い舌と異様な形の右手、巨大な身体を持ったそれは明らかに人間ではなかった。
 そしてその化け物の前に立つのはだ。青く丈の長い服にズボンの男だった。長身で逞しい身体をしている。髪は短く刈りオールバックにしている。上の方は金髪だが左右は黒である。鋭い目をしており顎鬚を生やしている。端整だがまるで剣の様に鋭い。その男が化け物の前にいた。
「おめえ誰だ?」
「名乗る程の者ではありません」
 男は化け物に対して不敵な笑みで返した。
「ただ。貴方は」
「おらがどした?」
「妖怪腐れ外道ですね」
 化け物の名前を知っているようである。
「そうですね」
「おらの名前知ってるのか」
「はい、よく」
 知っていると。鋭い顔を笑みにさせての言葉だった。
 
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