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制服が邪魔をする

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第五章

「誤解しないでね。そんなのじゃないから」
「わかったよ。けれどね」
「けれどって?」
「私服も似合うね。制服も」
「えっ、制服って」
「似合ってるよ、普段から」
 制服が似合ってると言われて驚く彼にこうも言ってきた。
「それで可愛いから気になったんだしね、俺も」
「制服って。私制服は」
「制服は?」
「嫌いだから。窮屈だし」
「窮屈って。全然そうじゃないじゃない」
「何かそう思うのよ」
 私は口を尖らせて彼に言い返した。
「締め付けられてるみたいで」
「全然。そんなのないよ」
「ないって?」
「そう。全然ないから」
 笑顔で私に行ってくる。
「本当にね」
「お世辞もそこまでいくと」
「お世辞じゃないから。っていうかさ」
「っていうか?」
「制服とかって締め付けたりするものじゃないから」
 彼は私に笑顔で言ってくる。
「今着てる私服と同じで着こなすものじゃない」
「そうなの?」
「そうよ。着こなすものじゃない」
「そう考えてるの」
 私はこれまでとは全く違う世界を見せられた。目を丸くさせて述べた。
「制服って」
「そうそう。だって俺君の制服姿に一目惚れしたんだよ」
「そこまで言うと言い過ぎよ」
「言い過ぎじゃないよ。全然違うから」
 また言う彼だった。私に対して。
「似合ってるし。可愛いから」
「可愛いの、そんなに」
「俺にさ。もっと制服姿も見せて欲しいし」
 それにだった。
「それで今もね」
「今って。今の服も?」
「見たいよ。どっちもね」
「あのね、私制服なんて嫌いなんだけれど」
「だから凄く似合ってるから」
「似合ってるって何度も言うけれど」
 私にとっては心外でまた言った。
「じゃあ私が月曜にいつもの制服姿で来てもそれ言える?」
「言えるよ、絶対にね」
「言ったわね。本心からなのね」
「言えるよ、今だってね」
「そうなのね」
「月曜も楽しみにしているからね」
 彼はにこりとして私に言ってくる。そして何時の間にか。 
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