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新説煙草と悪魔

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第一章

                 新説煙草と悪魔
 悪魔達は南蛮船に鼠に化けて日本に入り込んだ、そしてだった。
 日本に入ると今度はこの国の人間に化けた、外見は普通の町人になった。そしてその格好になってからだ。
 夫役のガギエルがだ、妻役のマミエルに話した。二人共外見はごく普通のこの国の夫婦だ。
「よし、これからな」
「この国においてもな」
「そうだ、煙草を流行らすぞ」
「煙草はいい」
 実にとだ、マミエルは言った。
「あれだけ身体に悪いものはない」
「しかも癖になる」
「人の身体がどんどん悪くなる」
「あれをこの国でも流行らせてだ」
 そしてというのだ。
「この国の人間達をどんどん不健康にしてやろう」
「この国の人間達もな」
「そうしていってやろう」
「我等の努力で」
 二人で誓い合う、そしてだった。
 彼等は大坂に入ってそこで煙草屋をはじめた、しかも丁寧に煙管まで売った。煙草は目新しさもあってだった。
 飛ぶ様に売れた、ガギエルもマミエルも笑顔で話した。
「いや、いい感じだ」
「ああ、売れてるな」
「煙草はいい感じに広まっている」
「そしてだ」
 買ったその煙草を吸ってというのだ。
「この国の人間達は不健康になる」
「煙草をどんどん吸ってな」
「癖になるから止められない」
「一旦吸ったらな」
「吸えば吸う程不健康になる」
「寿命も縮まる」
「こんないいものはない」
 彼等悪魔にとってというのだ。
「酒よりもいいぞ」
「欧州は実際不健康になった」
「明にも広めた」
「そして次はこの国だ」
「この国全土に煙草を広める」
「それは簡単に行けそうだな」
 悪魔達は笑って話を続けた。
「この大坂はこの国を治める豊臣家の拠点だ」
「国中から人が来ている」
「なら煙草がどんどん買われる」
「そして吸われる」
「国中に煙草が広まるぞ」
「あっという間にな」 
 こう話してだ、そのうえでだった。  
 煙草をさらに売っていった、煙草は彼等の思惑通り勢いよく広まっていた。だがここでだった。城からだ。
 ある侍が来てだ、二人に言って来たのだった。
「この店のものだが」
「はい、煙草ですね」
「煙管もありますが」
「売ってくれるか、何でもだ」
 侍は二人にさらに言った。
「この店のものを口にするといいらしいな」
「ええ、いいですよ」
「心が晴れますよ」
 煙草の実態を内緒にしてだ、二人は侍に笑顔で応えた。 
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