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最高の妙薬

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第四章

「今から寝るよ」
「それじゃあ僕はアルバイトに行くよ」
「今度はだね」
「君は今日はアルバイトは」
「ないよ、幸いね」
「そして明日はデートだね」
「それまでに何とかなっているかな」
 タスカー、それがというのだ。こうしたことを話してだった。
 イヴァンは彼のベッドに入ってまだ夕方だが寝た、アレクセイはアルバイトに行って夜に帰ってから寝た。イヴァンが彼のベッドで寝ているのを確認して。そして。
 アレクセイは七時に起きた、そして朝食を食べようとすると。 
 イヴァンはすっきりとした顔でキッチンにいた、そのうえで朝食を作っていたがアレクセイに笑顔で言ってきた。
「やあおはよう、君の分も作ってるよ」
「あれっ、タスカーは」
「治ったよ」
 明るい笑顔でだ、イヴァンはアレクセイに答えた。
「完全にね」
「昨日随分だったけれどね」
「いや、昨日とことんまで飲んで寝たね」
「夕方にね」
「それからとことんまで寝たんだ」
「うん、それは僕も見たよ」
「そして起きたのは三時半だったんだ」
 その時間だったというのだ。
「それまで完全に酔い潰れていたけれどね」
「そしてその時間に目覚めて」
「いや、その時流石に凄い二日酔いで」
 ウォッカのせいであることは明らかだ。
「これは駄目だって思ってお風呂に入ったんだよ、さっきまでね」
「三時間位入っていたのかい?」
「熱いお風呂にね」
「ああ、だからなんだ」
「そこですっかりお酒は抜けたよ」
 二日酔いの元凶のそれはというのだ。
「そしてタスカーもね」
「お酒と一緒にだね」
「抜けたよ、まさにね」
「お酒とお風呂が気分転換になったのかな」
「どうやらね」
「徹底的に飲んでそしてとことんまでお酒を抜く」
「お風呂で汗をかいてね」
 二人が住んでいる部屋にある風呂だ、そこで思いきり汗を流したのだ。それも一回熱い湯舟に入ってから冷水のシャワーを浴びてまた湯舟に入るのを繰り返したのだ。
「身体も洗って奇麗になったし」
「成程ね」
「もう塞ぎ込んでいないよ」
「それは何よりだよ」
「やっぱりあれだよ、お酒を飲んで汗をかいたら」
 そうすればというのだ。
「タスカーはなくなるんだよ」
「塞ぎ込むことがなくなるんだね」
「この通りね、それじゃあ今日は」
「今から朝御飯を食べてだね」
「デートに行って来るよ」
 にこりと笑ってだ、アレクセイに話した。
「気分よくね」
「じゃあ楽しんでくるんだよ、ただ僕もね」
「君も?」
「タスカーになったらそうしよう」
 イヴァンの様にというのだ。
「その時は」
「酔い潰れるまで飲んで朝にはお風呂に入る」
「そうするんだね」
「二日酔いになったうえで」
 笑ってこうも言ったのだった。
「そうするよ」
「そうだね、タスカーになったら」
「そうするとしよう、じゃあ朝御飯を食べよう」
「パンと卵を焼いてるよ」
「飲みものは何だい?」
「紅茶だよ」
 ロシアンティーである、ロシア風の淹れ方の紅茶でありジャムを舐めながら飲む。
「それにするよ」
「よし、じゃあね」
「今から一緒に食べよう」 
 イヴァンは明るい笑顔で応えた、そしてアレクセイと共に朝食を食べ後片付けの後でお洒落をしてデートに出た、そこにはもうタスカーは全く残っていなかった。


最高の妙薬   完


                                2016・10・15 
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