とある世界の物質破壊≪ディストラクション≫
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Past
全ての始まりは。
前書き
湊『今回は俺の話だね〜。』
美琴『そうね、バタバタしてるわよ絶対。』
湊『うん、してるね。それじゃあ、本編に行こうか。』
美琴『えぇ、行くわよ本編へ!』
湊『もちろん俺視点だ!』
火竜との戦い後、俺達は公園のベンチに座った。
既に飾利も合流し火竜も黙って、俺がこれから話す事を聞こうとしていた。
「…………。」
「これから話すのは俺の過去だ。」
俺がゆっくりと話し始めた瞬間、美琴はビクッと動いた。
「まず、美琴に謝らないといけない。」
そう言って美琴が座っている正面に立ち、頭を下げた。
「ちょ……何よいきなり……。」
俺は頭を下げたまま、怒られる覚悟で話した。
「俺は……5年前美琴から距離を置く前に記憶をある人に頼んで美琴の記憶を改竄したんだ……。」
「は?」
美琴だけじゃなかった、黒子も飾利、涙子、この場にいる全員が驚いていた。
それはそうだ、兄が妹の許可なしに勝手に記憶を改竄したのだから。
「……アンタ、それどういう事よ!」
美琴は俺の胸ぐらを掴み、怒鳴った。
「御坂さん、辞めてあげてよぉ〜。」
「あ、アンタ何でここにいるのよ!」
「俺が呼んだんだ、操祈頼む。」
「分かったぞ☆ちょっと湊さん、御坂さんの能力消してくれるぅ?」
俺は美琴の肩に手を置き、能力を封じた。
「ちょ!離しなさいよ!」
「記憶、御坂さんは戻したくないのぉ?」
「アンタねぇ……。」
操祈が鞄からリモコンを取り出し、美琴の頭に向けてボタンを押した。
「っ……!」
「はい、終わりだぞ☆」
「ありがと、操祈。」
操祈に礼を言ってから美琴に向き直った。
「美琴、思い出した…か?」
「………まだよ。」
俺は「そっか。」と言ってから皆に話せるよう向き直った。
「今から話すのは紛れもなく事実だ。俺が経験してきた、誰も知らない話で火竜も知らないはずだよ。」
そうして、俺は話した。
全ての始まりを──────。
「俺の本当の名前は、城崎湊。母さん……美琴の母親である美鈴さんの親友だった城崎夢唯と学園都市の理事会の1人である城崎聖の息子だ。」
「城崎……湊……。」
美琴は自分の記憶を確かめるかのようにつぶやく。
黒子や飾利達は静かに聞いていた。
「俺の力、物質破壊は原石に当たるもので5歳の時に使えるようになったんだ。最初は父さんも母さんも褒めてくれた。父さんは学園都市を創設する立場でもあったから息子が超能力者で、しかも原石だったのが嬉しかったみたいだよ。」
「でも、9歳の時には俺の力も強くなってた。父さんは俺の力を調べるために研究員に頼んでもいたから、強くなっていたのは気づいてたと思う。だからかな、物質破壊はこの世に存在する物質全てを操作できる。そんな俺を化け物と呼び始めた。」
「化け物……そんなのあんまりですよ……!」
飾利が反応した。
黒子や涙子も隣で悔しそうな顔をしている。
「しょうがないよ、この世に存在する物質全てを操作出来るなんて本来なら出来ない事さ。それを可能にしてしまったのが俺。それから父さんは、俺を殺すための研究しかしなかった。多分、その時に火竜の両親も派遣されたんだろう。」
火竜は頷くだけで声は発しない。
「それから1年後、俺はあるきっかけで力が暴走した。それがあの研究所爆破事件、俺が死ぬ日だった。」
「お兄様、そのあるきっかけとはいったい…?」
俺は隣に黙って俺の話聞いている美琴を見てから、ゆっくりと話した。
「そのきっかけは最初から話すと、俺と美琴は母さんを通して知り合った幼馴染みなんだ。でも、その研究所爆破事件の日に美琴が研究所にいた。」
「え、私が?」
「そう。理由は簡単、俺を化け物扱いしなかったのは美琴と美琴の家族、そして母さんだけだった。父さんは、美琴と母さんを消すつもりだった、俺の目の前で。」
「え……。」
その場にいた全員が驚きの声をあげた。
「私…が…?」
「でも、実際には母さんが美琴を守った事で父さんの怒りに触れ母さんは殺され、美琴だけでもと思った時には俺は暴走し気づいた時には病院だった。この時に美琴の記憶を改竄した。」
「そのあと、父さんは行方不明で母さんは他界。研究所は爆破事件として片付けられ、俺は美鈴さんが匿ってくれて終わった。でも、その1年後……俺が11歳の時だ父さんは美琴に手を出した。俺を匿っている御坂家に俺を捨てさせるようするためにね。」
「でも、俺がすぐ側にいたから俺は力を使って戦った。それでも美琴や母さん達が危険な目にあうのは変わらない、俺が一緒にいる限り。だから、12歳の時に俺は御坂家から離れたんだ。」
「………悪かったな。」
火竜が俺に謝ってきた。
予想外なことが起きたため、俺を含むその場の全員が驚いていた。
「お前にも色々と事情があったみたいだからよ…悪かった。」
「大丈夫、実際火竜が言ったことは真実だからな。」
黒子や飾利達は予想外な俺の過去に戸惑っている様子で、操祈は黙って座っていて美琴は無反応だった。
「これが、御坂湊……城崎湊の過去だ。」
「お兄様……。」
「今まで隠しててごめん、話せば皆を危険に晒すと思ってた。あの男が、いつ襲ってくるかもう分からないんだ……。」
その時だった、美琴が無言で立ち上がり俺の前に立った。
次の瞬間、バチンと頬を叩かれた。
「え……?」
「……何でもっと早く話さないのよ……。」
俺は美琴の顔を見て、驚いた。
──何で……泣いてるんだ……?
美琴が泣く理由は何もないのに、なんで?
「私は…ずっと酷いことしてた、湊がいなくなった理由を知らないで…勝手に想像して…文句言って…怒って……本当は私やママ…パパを守るためだったのに……」
──あぁ……美琴はこういう子だったじゃないか。
「でも頼って欲しかった……妹としてじゃなくて、"幼馴染み"として…!」
「あ……。」
──俺は今まで何してきたんだろう。
美琴はずっと俺に追いつこうと頑張ってて、俺はずっと守るという言葉を理由に距離を置いてきた。
怖かった、また君を失うかもしれないことを。
また大切な人が目の前で消えることが。
御坂湊は……城崎湊は……いつから君を妹ではなく1人の女の子として見てきたんだろう。
「お兄様…?」
「湊…?」
気づけば俺は涙を流していた。
──いつから、俺はこんなにも……
「ごめん…ごめん…俺は…美琴に守るという言葉を理由に距離を置いて…怖かったんだ…また君を失うかもしれないことが…大切な人が目の前で消えるのが……。」
──弱くなっていたのだろう。
「もう、1人で抱えないで。私を私達を頼って…?」
──あぁ……俺は本当に馬鹿だった。
「あぁ……。」
その後、警備員が来て女子高生と火竜は連行された。
そして俺達も解散した。
後書き
今回はざっくりとした過去についてでした!
次回からは本格的に湊の過去です、これで常盤台刈りは終了です!
湊と美琴の関係が変わってきましたね〜
それでは、次回予告!
番外編を出しました!
──────────────────────
俺は夢を見た。
それは自分の過去。
ある女の子との出会い。
運命の歯車が狂った日。
城崎湊が御坂湊へ変わった日。
過去編突入。
次回『幼馴染みとの初めまして。』
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