ドリトル先生と悩める画家
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第一幕その三
「楽しんでね」
「はい、そうさせてもらいます」
「いつも有り難うございます、ご馳走になって」
「今日もですし」
「感謝してます」
「ははは、感謝はいいからね」
それは笑っていいとした先生でした。
「皆で楽しむものだし今日も楽しんでね」
「そう言ってくれますか、それじゃあ」
「お言葉に甘えて」
学生さん達は先生の優しさにも触れました、そのうえで紅茶もお菓子も楽しみます。ですが学生さん達が帰ってです。
先生と動物の皆だけになってそうして今度発表する論文を書きはじめているとです、先生に動物の皆が言ってきました。
「先生やっぱり駄目だよ」
「学生さん達への対応は合格だけれどね」
「日笠さんのことは不合格」
「落第ものだよ」
「落第?僕はいつも体育は追試を受けていたけれど」
先生は論文を書きながら皆に応えます。
「他の科目はそんなことなかったけれど」
「だからそういうのじゃなくて」
「源氏物語とか言われたじゃない」
「古今和歌集とかね」
「それでわからない?」
「何がかな」
やっぱりわかっていない先生です。
「悪いのかな」
「悪いっていうか駄目だよ」
「そういえば先生の学生時代ってどうだったの?」
「本ばかり読んでたみたいだけれど」
「女の子とお話したことあったの?」
「うん、幸いいつも人が傍にいてくれてね」
学生時代は実際にどうだったのか、先生も皆にお話します。
「お友達には恵まれていたよ」
「女の人にも?」
「そうだっていうんだ」
「実際になんだ」
「そうだったんだ」
「うん、レディーのお友達も多くてね」
先生は確かにスポーツは全く駄目です、ですがとても優しくて穏やかで公平な人だからです。それでなのです。
「よくしてもらったよ」
「その女の人達の中で何か言ってくる人いなかった?」
「私達の予想では結構いたと思うけれど」
「何処かに行こうってお誘い受けたり」
「プレゼントされたりとか」
「あっ、何度もあったよ」
先生は穏やかな声で答えました。
「ケーキを貰ったり。博物館を一緒に行ったり」
「それでどうしたの?」
「それで終わりだったのかな」
「そこから先に進まなかったんだね」
「先生のことだから」
「うん、一緒に遊んだりもしたけれど」
それでもというのです。
「お友達でいてくれてよかったって思ってるよ」
「うん、やっぱり不合格」
「先生って学生時代から先生だね」
「お友達だって思うこと自体がね」
「もう駄目だよ」
「駄目っていうけれど僕は確かにお友達になってくれる人は多いけれど」
それでもというのです。
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