風魔の小次郎 風魔血風録
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45部分:第五話 メッセージその三
第五話 メッセージその三
蘭子の屋敷。ここで竜魔はある男を待っていた。部屋の中で正座になり一人腕を組んでいる。そこで物音がした。
「誰だ」
「俺だ」
「帰って来たか」
「ああ」
障子を開けて中に入って来たのは劉鵬だった。彼は竜魔の顔を見て微笑んできた。
「霧風はそのままか」
「まだ色々とやることがあるそうだ」
「そうか」
「俺はとりあえず麗羅達の監督をしないといけないからな」
こう言ってまた微笑んでみせる。
「それでこうして帰って来たってわけだ」
「わかった」
「それで項羽と麗羅は?」
次に彼は二人のことを尋ねた。
「まだ帰っていないのか?」
「残念だがまだだ」
「そうか」
竜魔のその言葉を聞いてまずは不安げなものをその顔に浮かべた。
「まああの二人なら大丈夫だろうがな」
「だが絵画にはサポート役を行かせた」
「兜丸か?」
「いや、小次郎だ」
竜魔は小次郎の名前を出した。
「あいつを二人の代わりに行かせた。何でも壬生が向こうの二人のサポートだそうだからな」
「そうだったか」
「林彪は先に一戦交えている。兜丸には次の戦いに出てもらうからな」
「次は兜丸か」
「何か問題があるか?」
「あっ、いやな」
ここで劉鵬は言うのだった。
「次回も向こうは二人出すかも知れないからな。それを考えたらな」
「ではその時は御前か霧風に出てもらう」
「俺か霧風か」
「向こうの人間によるがな」
こうも言い加える。
「一応はそう考えている」
「我儘になるが俺としては黒獅子と闘いたいな」
「黒獅子か」
「ああ。夜叉の中で最も力が強いんだったな」
「そう聞いている」
八将軍といっても様々だ。中には怪力の持ち主もいる。それが黒獅子なのだ。なお風魔では最も腕力が強いのはこの劉鵬だとされている。
「だったら是非闘いたいものだな」
「他の者の場合は霧風を出す」
「戻って来るか?」
「間も無くだな」
右目を閉じて劉鵬に答える。左目が眼帯の為それで彼が両目を閉じたように見えている。
「それは」
「そうか。後は小龍が戻れば」
「全員集まったことになる」
「あいつも。何か中々来ないな」
「どうやら東北に一旦向かったようだ」
「東北に!?」
劉鵬は東北と聞いて顔を顰めさせた。
「そういえばあっちの方の忍が何か結構壊滅させられているって聞いたな」
「またか」
「ああ。それに俺も聞いた」
そのうえでまた語るのだった。
「銀色の髪と目を持つ白い超長ランの連中がウロウロしてるってな」
「銀色のか」
「御前も知らないか」
「残念だがここに来るまで聞いたこともない」
こう劉鵬に答える。
「忍の世界ではな」
「何者かは全然わからない。あちこちの忍の壊滅と関係があるかも知れないが」
「そこまではわからなかったか」
「済まん、俺も実際にそいつ等を見たわけじゃない」
竜魔に対して詫びる。
「済まないな、偵察に出たのにな」
「それはいい。それよりもだ」
「ああ」
「夜叉のことはわかったか」
彼が聞きたいのはそれだった。だからそれを問うたのだ。
「どうだ。そこは」
「ああ、おおよそのことがわかった。話すぞ」
「うむ」
劉鵬は集めた情報を竜魔に教える。そして竜魔はそこからまた策を練るのだった。忍の戦いは情報においても熾烈なものとなっていたのだ。
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