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エターナルユースの妖精王

作者:緋色の空
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潜入せよ!!エバルー屋敷!!


「羽……まだ消えないわよね」
「あい」

ハルジオンでの一件を思い出しつつそう問えば、ぱたぱたと羽をはためかせるハッピーが一つ返事をした。あの時は落ちた先が海だったからまだしも、今回は落ちたら落下地点は固い地面だ。確実に死ぬ。
メイド作戦は予定外の事態によって大失敗してしまったが、諦める訳にはいかない。ならばとナツが持ち出した作戦T―――作戦突撃(TОTSUGEKI)を決行するまでである。これが本当に作戦なのか、なんて細かい事は置いておいて。

「とーちゃくです」
「っと。ありがとね、ハッピー」

掴んでいたハッピーの両手を離し、すたっとエバルー邸のテラスに降り立つ。ナツを運んだ後だったから一抹の不安はあったが、何とか魔力は切れなかったらしい。
先にテラスに着いていたナツが、窓に顔と両手をくっつけたまま不服そうに口を開く。

「何でこんなコソコソ入らなきゃいけねんだ?」
「決まってるじゃない!依頼とはいえ、どろぼーみたいなモンなんだから」
「作戦Tってのはな、突撃のTだ。正面玄関から入って、邪魔な奴は全員ぶっ飛ばす」
「ダーメ!!!」
「で…本を燃やす」
「だから、それじゃダメなの!!!」

こんなに大きい屋敷だ、中に何人いるかも解らない状態で真正面から突っ込んで行くのは無謀すぎる。しかも、これは正式な依頼とはいえ誰かの持ち物を盗んでいる訳で、正面から正々堂々と行うようなものではない。
それから、もう一つ。

「アンタ等が今まで、盗賊退治やら怪物退治やらいくつの仕事をしてきたのか知らないけどね、今回のターゲットは街の有力者!ムカツク変態オヤジでも、悪党じゃないのよ。ヘタな事したら軍が動くわ」

そう。確かにエバルーは美的センスが壊滅していて、スケベで変態で、しかも気持ち悪かったとしても、悪党ではない。並べた要素はマイナスなものかもしれないけれど、どれ一つとして犯罪ではないのだ。
相手が泥棒なり盗賊団なりで、盗まれたものを取り戻すというならまだいい。が、今回の依頼は本を所有者から盗み出す、言うまでもなくこちらの方が犯罪だと言われかねない内容なのである。もしも本を取った現場を目撃されてしまえば、街の有力者相手に魔導士ギルドの一魔導士では歯が立たない。軍を動かされてしまったら、と想像するだけでも恐ろしい。
そう説明すると、窓から離れたナツが不満げに口を尖らせる。

「何だよ、オマエだって『許さん!!』とか言ってたじゃん」

確かに言った。
そして、それを忘れてやる気はない。

「ええ!!!許さないわよ!!!あんな事言われたし!!!だから本を燃やすついでに、アイツの靴とか隠してやるのよっ!!!」

思い出しただけで怒りが湧く。堪えるように拳を作って、ぐっと強く握りしめる。
思わずナツが「うわ……小っさ…」と呟いてしまったが、どうやら聞こえていないらしかった。

「とにかく暴力だけはダメよ、暴力だけはね」
「……」
「何よその顔!!!」
「お前、言ってる事とやってる事違うぞ」

ルーシィの注意に納得いかずに下唇を突き出すと、チョップが返って来た。暴力禁止令はどこに行ったのか。思わずツッコミを入れてから、軽く痛む額を撫でて窓に向き直る。
鍵は内側。かといって窓を割れば音で気づかれてしまう。出来るだけ静かに、気づかれないようにと事前に決めていた手段を取るべく、魔力を込めた右手を窓ガラスに押し当てた。

「よっと」
「さすがね、火竜(サラマンダー)

当てた手の下から焼けるような音がして、触れていた部分のガラスがどろりと溶けていく。掌が通るほどの穴を作れば、あとは鍵を開けるだけだ。
音を立てて鍵を回し、外開きの窓を開けて中に入る。室内は薄く埃を被った骨董品で溢れ返っていた。

「ここは物置か何かかしら?」
「ナツ、見て~」
「お!似合うぞハッピー」

どこから見つけてきたのか頭蓋骨を被るハッピーにナツが笑う。

「そこの扉から出れそうね。行きましょ!慎重にね」
「ねえ、ルーシィも見てー」
「うるさい!!ネコ」

少し遅れて入って来たルーシィが扉を指す。
変わらず頭蓋骨を被ったままのハッピーと、びっくり箱を開けて驚いているナツを、狼の乗った水晶が見ていた。







ギィィ、と軋む音がした。薄く開いた扉の奥からハッピーが顔を出し、きょろきょろと辺りを見回す。辺りに人影がないのを確認してから一度扉を閉め、すぐ傍で待機しているルーシィを見上げた。

「誰もいないよ」
「それ、取りなさいよ。気味悪いから」

頭蓋骨を被ったままのハッピーに言うが、余程気に入ったのか外す様子はない。仕方がないのでそのまま部屋を出て、音に気を付けつつ扉を閉める。壁に背中をぴったりと付け、しゃがんだまま静かに移動を開始する。
その体勢で数歩も進まぬうちに、腕まで壁にくっつけたナツが口を開いた。

「おいルーシィ。まさかこうやって、一個一個部屋の中探してくつもりなのか?」
「トーゼン!!」

右人差し指を口元に添えて声のトーンを下げるよう促し、背中を壁に付けたまま立ち上がりながら頷く。

「誰かとっ捕まえて本の場所聞いた方が早くね?」
「あい」
「見つからないように任務を遂行するのよ。忍者みたいでかっこいいでしょ?」
「に……忍者かあ」








誰もいなくなった物置。開いたままの窓に手をかけて、陰からこそっと中を覗き込む。本当に誰もいない事を確認して、パーシヴァルは頭を一度引っ込めた。

《ん、大丈夫。アイツ等はもう出てってるよ》
「そうか」

短く答えて立ち上がる。壁に背を預けた上でしゃがみ込み膝に手を添える、なんて大の男がやるには些か可愛らしすぎる気もするが、それを口に出すと間違いなく不機嫌になるので心の中に留めておいた。彼の機嫌を損ねるなんていうのはパーシヴァル自身嫌っているし、あの厄介な二人を敵に回すのは勘弁願いたいのだ。
フードをちょっと引っ張って深く被り直したニアは、そんなパーシヴァルの内心に全く気付かないまま窓に近づいて手をかけた――――のを見て、慌ててその腕を掴んで止める。

《ちょ、アーサー待って!!ストップ!!!》
「?誰もいないなら問題ないだろ」
《確かに誰もいないんだけど、それでも待て!!!ハウス!!》
「犬かオレは」

怪訝そうに眉を寄せたニアの腕を離し、顔の前に右手を突き出す。そりゃあ説明を怠ったこちらに非があるのは解っているのだが、それにしたって注意力がなさすぎやしないだろうか。パーシヴァルが見落とした罠があるかも、くらいは頭の片隅に置いておいてほしい……いや、それはそれで信頼されていないようで悲しいのだが。
とにかく、今から敵の本陣に切り込むというのに軽すぎる。友達の家に行くんじゃあるまいし。

《いいか、アーサー。俺がいいって言うまでは入ってくるなよ。絶対、絶対だぞ!!?》
「……それは、別にいいけど…危ない事はするなよ?」
《あ、その辺は大丈夫。危ない事は何にもないから。むしろあと一歩で危なかったというか》

ぱちり、少し見開かれた水色の目が瞬きを一つ。

「マジか」
《マジです。アーサーはもうちょっと注意力付けようなー?大体何とかなるし死にゃあしないからって気ィ抜きすぎ。万が一が起きてからじゃ遅いんだぞ》

そう力説するが、ぴんと来ないのか首を傾げている。思わず溜め息を吐いた。
生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの戦場に何度も立っているはずなのだが、彼は本当に注意力がない。奥に罠があるかもしれないけどまあいいか、なんて考えの楽観的思考なのだ。そのくせそれが自分以外の事となると真逆になるのだから、他人に対するそれをいくらか自分の為にも使ってほしいと常々思っている。
……まあ確かに、彼に降りかかる様々な危機に対して周囲は人一倍敏感だった。当の本人が気づく前に周りが察知しては排除する、なんて事もしばしばあった。というかパーシヴァルはその中の筆頭だった自覚がある。世話役はあの二人だったが、護衛という意味で最も近くにいたのは自分だったのだ。そりゃあニアの危機には誰より目を光らせるし、降りかかりそうになれば全力で排除に当たった。
なんというか、ニアは過保護に扱われ過ぎた節がある。いや、そう扱ったのは自分達なのだが。もちろん厳しく接する事もあったし厳しく接する役目を自らに課していた人もいたのだが、それにしたって周囲があれこれと世話を焼き過ぎた。
その結果料理は(基本周りが用意していたので)出来ないし、金銭感覚は(周囲の環境が環境だったのと、買い物も大体人任せでその上誰も断らなかったので)軽く麻痺しているし、暑さにも寒さにも(彼が一言「暑い」だの「寒い」だのと呟こうものなら世話役二人が恐ろしい速度で駆けつけて来てあれこれしていくので)耐性がないし、自分に降りかかる危機に対しても(彼が行くのは大抵周囲によって危険が取り除かれた後なので)鈍い上に考えが至らないのだ。どうしてこうなったと頭を抱えたくなる。

(……育て方、間違えたかなあ…)

ニアが何でもかんでも頼りっぱなしの甘ちゃんではなく、自分で出来る事は黙って自分でやる人だったのが唯一の救いだろうか。

《とにかく、すぐ終わらせてくるから。絶対、絶対、ぜーったい、俺がいいって言うまではそこにいろよ?》
「解った」

何をしてくるつもりなのかも聞かずにあっさり頷いたニアに一つ頷き返して、窓枠に足をかける。ひょいと室内に入り込むとぶわっと埃が舞った気がして、思わず顔を顰めた。
顔の前で手を振って埃っぽい空気を払いつつ大股で棚に近づき、並ぶ荷物の中から目当てのものを掴む。

《さて、と》

耳を澄ませる。遠くの方で微かに聞こえる音だけを頼りに、右手を持ち上げる。
右手で鷲掴みにしたそれ―――狼が乗った丸い水晶玉にちらりと目をやって、パーシヴァルはにやりと薄く笑った。

《果てさて、今あちらさんには何が見えてるんだろうなァ?》





「…?」

ゴゴゴゴゴ…と、遠くの方から低い音がした。
足元が小刻みに震えている気がして、目線を下げる。

「…気のせいか?」

言われた通りにその場で待機していたニアは、不思議そうに首を傾げていた。







感じた揺れは、ニアの気のせいなどではなかった。
こそこそと移動を続けていたナツ達も振動を感じて立ち止まる。何事かと周囲を見回して、けれど異変に気付くよりも早く、事態は動き出す。

「侵入者発見!!!」

突如盛り上がった地面から飛び出す人影が、五つ。
勢いよく飛び出してきたのは、先程門の前で見たメイド達だった。ピンク髪巨体メイドを中心に、それぞれ槍を構えてこちらを睨みつけている。

「うほぉおおぉおぉおっ!!!!」
「見つかったぁ――――っ!!!」
「ハイジョ、シマス」

ナツとルーシィが叫び、驚きすぎたせいかハッピーの頭から頭蓋骨がすぽんと抜け、巨体メイドの目が鋭く光る。
見つかる可能性を考えていなかった訳ではないが、まさか地面から飛び出してくるとは思わなかった。門の前で一度この光景を見てはいたが、まさか。衝撃的な事態に思わず反応が遅れて、鋭く光った目を見てはっとして鍵に手をかける。密かに本を探し出して破棄する予定だったが、こうなっては仕方がない。
ルーシィの指先が鍵に触れた、その時、その隣。焦ったナツが大急ぎでマフラーを顔に巻き、目元だけを晒して、力強く床を蹴った。

「おおおおっ、忍者ぁっ!!!!」
「はいいいっ!!!?」

炎を纏った足が、五人をまとめて蹴り飛ばす。相手が女だろうが容赦なし、一番狙いやすい位置にいた巨体メイドの頬を強く打ち、それ以外の四人も振り上げた右足で吹き飛ばす。
宙を舞うメイド集団は悲鳴を上げる暇すらなく、そのまま手摺を飛び越えて下のフロアへと落ちていく。

「まだ見つかる訳にはいかんでござるよ、にんにん」
「にんにん」
「普通に騒がしいから……アンタ……」

……というかそもそも、見つかってしまったから襲撃された訳なのだが。
マフラーを顔に巻き付けたまま忍者のように手を構えるナツに、ルーシィは呆れて呟いた。









「おい、今の何の音だ」
《それはどっちに対する質問かな、アーサー》
「…遠くの方も、お前の足元のそれも、両方だ」

いい、と言われていないからだろう。約束通り一歩も動いていない様子のニアが、顔だけを動かして室内を眺めつつ問うた。振り返って首を傾げると、はぐらかすなと言わんばかりに眉を寄せる。
さて、どちらから答えたものか。というか遠くの方の音に関しては、現場にいないのだから憶測でしかないのだけれど。顎に手をやり少し考えて、まずは確実に答えられる方を選ぶ事にした。

《じゃあ後者から。……あの公爵サマ、監視用の魔水晶(ラクリマ)なんて置いてたからさあ。古すぎて使い物にならないのか、こういう事の為に置いてある新品なのか、その辺の判断出来ないし》
「……だから、どちらであってもいいように壊したと」
《そういう事。ほら、俺ならこういうの全般に映らないから。まあアイツ等は気づかなかったっぽいし、全身丸ごと映ったと思うけどな》
「オレに来るなって言ったのは」
《そりゃあアーサーはばっちり映って即バレるから。それだと困るかなーと。……俺、余計な事した?》
「いや、全然。むしろ助かった」
《ならよかった。あ、もう入ってもいいぞー》

来い来いと手招きをすると、小さく頷いたニアが窓枠に手をかけ、かけた手を軸にして軽々と飛び越えて来る。……やけにスタイリッシュというか何というかなその動作は誰仕込みだろうか。

「で、前者は?」
《憶測だけど、とりあえず間違いなくアイツ等が何かしたっていうのは解る》
「それはオレも解る」
《ここからは多分だけど、うっかり見つかりでもしたんじゃないかなあ》
「……は?」
《アーサー、顔。崩れてはないけど見る奴が見たら気絶するやつになってる。ベディが気遣って、原因を叩き潰してきますね!って言い出すやつだぞ、それ》
「おっと」

見つかるとか何やってんだアイツ等、という呆れなのか。それでアイツ等は無事なのか、という心配なのか。きっと両方だろう。いつも通りのポーカーフェイスにうっすらと激情を滲ませた顔はただ怒っているだけの顔よりも恐ろしくて、背筋を冷たいものが這っていく。
慌てて世話係の名前を出すと、はっとしたように目を見開いてから口元を押さえた。相変わらずベディは弱点のようで、ちょっと顔が青くなっている気さえする。流石ベディ、と内心で呟きつつ続ける。

《ま、見つかったとしても大丈夫だろ。お嬢ちゃんと青猫はともかく、あの短気そうなツンツン頭が何もしないとは思えないしさ》
「…まあ、そうだな」
《で、流石に普通に割ったら音でバレるから、丁度良さそうなタイミングを待っていたってワケ。よし、これで俺に出来る説明は終わり。これ以上を求められても困るぜ?》
「いや、十分だ」

ぱん、と手を叩いて顔を覗き込む。満足そうに口角を吊り上げたニアに笑みを返して、床に転がる狼の飾りを踏みつけた。
今頃向こうはどうなっているのだろう。誰にも触れられていないはずの魔水晶(ラクリマ)が持ち上がって、突然地面に叩き付けられて、割れて。現状を把握する術を失った相手側は慌てているのか、それともこれくらい計算の内だと笑っているのか。
まあ、どちらであれど構わない。邪魔をするのであれば殴るだけ。やる事なんて、あの頃と大差ないのだから。

《そんじゃまあ》
「ああ、行こうか」










「いけない!!!きっと誰か来るわ!!!どっかの部屋入りましょ!!」
「来るなら来いでござる!!」
「いいから隠れるの!!!」

あのメイド達を撃破したのが一撃だったとはいえ、派手だったのに変わりはない。屋敷が広かろうがエバルーの耳が仮に遠かろうが、今の騒音を立てておきながら誰にも気づかれない、なんて事はまずないだろう。
顔に巻かれたままのマフラーを引っ張ってナツを引きずって、一番近い部屋に逃げ込む。勢いよく扉を閉めて、ようやく一つ息を吐いた。

「ふぅー、危なかったあ。てかアウトよね…」
「うおお!!スゲエ数の本でござる!!」
「あい!!でござる」

まだ忍者気分が抜けきらないらしい二人の言葉につられるように部屋を見回す。
今凭れかかっていた辺りを始め、部屋の壁という壁が背の高い本棚で埋め尽くされ、一冊の隙もないほどぎっしりと詰められていた。あの低い背では上の方に届かないのか梯子がいくつか本棚に立てかけられている。

「エバルー公爵って、頭悪そうな顔してる割には蔵書家なのね」
「探すぞ――――っ!!!」
「あいさ――――!!!」

手近な本に指をかける。探している本ではないが、人気のシリーズものだ。

「これ……全部読んでるとしたら、ちょっと感心しちゃうわね」
「ウホッ!!!エロいのみっけ!!!」
「魚図鑑だ!!!」

種類は様々、冊数は百どころか千を超えるかもしれない。これらを集めるだけでも一苦労だろうが、ここにある全てを読み切るというのもなかなかに凄い事だろう。相手があのエロオヤジだというのは解っているが、同じ本好きとしては思わず感心してしまう。

「はあー、こんな中から一冊を見つけんのはしんどそぉ」
「何だこれ!!?字ばっかだな」
「ナツ……普通はそうだよ」

壁中の本棚から、たった三人で一冊を見つけ出す。しかも、エバルーに見つかるより前に。
この数では背表紙をいちいち確認するのだって大変だろうし、ブックカバーでも付けられてしまっていれば中まで確認しなければいけなくなる。そもそもこの部屋に日の出(デイ・ブレイク)があるのかすら解らないのだ。これだけある本の全てを漁って全て外れだったら、なんて、考えるだけで気が滅入りそうになる。
出来るだけ早く、その上見逃す事なく正確に。ぎっちり本が詰まった本棚を見回して、溜め息を吐いた。

「おおおっ!!!金色の本発っけーん!!!」
「ウパー!!!」
「アンタら真面目に探しなさいよ!!!」

そんなルーシィの背後で、ようやく忍者気分が抜けきったらしい二人がはしゃいだような声を上げる。先ほどから敢えて何も言わずにいたルーシィも流石に耐え切れずにツッコミを入れつつ振り返ると、言葉通りナツの手には目を引く金色の本が一冊。
表紙には水平線から昇っていく美しい太陽。その上に大きく書かれたタイトルは、“DAY BREAK”―――――三人の視線が、その本に集中する。

日の出(デイ・ブレイク)!!!!」
「見つかった―――っ!!!」
「こんなにあっさり見つかっちゃっていい訳!!?」

まさかの事態に、隠密行動をしている事も忘れて叫ぶ。
だってそれは間違いなく、探していた日の出(デイ・ブレイク)で。隙間なく棚を埋める何百の本の中からこんなあっさりと、他の本より目立つ色をしているからと抜き取ったそれが、まさか。
ぽかんとしながら本を見つめていたルーシィは、そのままいつもの癖で作者名に目を走らせる。この世にたった一冊の本、その著者の名前を目で追って―――はっと目を見開いた。

「さて、燃やすか」
「簡単だったね!」
「ちょ……ちょっと待って!!!」

右手に本を持ち直したナツが、空いた左手に炎を纏う。そのまま手を近づけて本を燃やそうとするのを、ルーシィは咄嗟に引き留めた。その手から本を半ば奪うように取り、今度は正面から作者の名前を確認する。

「こ…これ……作者、ケム・ザレオンじゃない!!!」
「ケム?」
「魔導士でありながら小説家だった人よ!!あたし大ファンなのよ―――!!!うっそぉ!!?ケム・ザレオンの作品、全部読んだハズなのに―――!!!未発表作って事!!?凄いわ!!」

やっぱりそうだ。太陽の絵の下、控えめに小さな字で綴られているのは“KEMU・ZALEON”の文字。ルーシィが憧れてやまない、大好きな作家の名前だった。自然と顔が輝く。
が、ナツからすれば誰が書いたものだとかはどうでもいい。この本の破棄が今回の仕事なのだから、それを書いたのがいかに凄い人であっても関係ないのだ。

「いいから早く燃やそうぜ」
「何言ってんの!!?これは文化遺産よ!!!燃やすなんてとんでもない!!!」
「仕事放棄だ」
「大ファンだって言ってるでしょ!!!」
「今度は逆ギレか…」
「じゃあ燃やしたって事にしといてよ!!!これはあたしがもらうから!!!」
「ウソはやだなあ」
「聞いたでしょ!!?この世に一冊って…燃やしちゃったら二度と読めないのよ!!!」

ナツから守るように大事そうに本を抱え込んだルーシィは、なかなか折れそうにない。とはいえいつまでもここで言い合っている訳にはいかないし、さてどうしたものかとナツは腕を組む。
―――と、そんな時だった。

「なるほどなるほど、ボヨヨヨヨヨ……」

めき、と小さな音がした。はっとして音の発生源に目を向ける。
塵一つ残さず綺麗に磨かれた床に、亀裂が入っている。下から押し上げられるように、盛り上がった床の欠片が勢い良く宙を舞う。床に開いた穴から、黒い何かが飛び出した。
丸いフォルムのそれが、丸めていた短い手足を伸ばす。飛び出した際の圧で潰されていた髪がぴんと立ち、髭がくるりと上を向く。

「貴様等の狙いは“日の出(デイ・ブレイク)”だったのか」
「!!」
「泳がせておいて正解だった!!我輩って賢いのう、ボヨヨヨヨ」
「ホラ……もたもたしてっから!!!」
「ご……ごめん」

床に大きく穴を開けて飛び出して来たエバルーの奇妙な笑い声が響く。ナツが悪態をつきながら拳を握り、本を抱え直したルーシィが謝り、人が飛び出してくるなんてこの屋敷の床はどうなっているのかとハッピーが床をじっと見つめる。
本は見つかった。狙いのそれがこちら側にある以上、依頼完遂自体は容易い。問題はルーシィが本を手放さない事であって。

「フン……魔導士共が何を躍起になって探してるかと思えば……そんなくだらん本だったとはねえ」
「!!?くだらん本?」

どしっと重量感のある音を立てて着地したエバルーの一言に、ルーシィが目を見開く。
今手元にあるこの本は、この世でたった一冊の本だ。その上作者はかのケム・ザレオン。本好きの中でなら、その価値はかなりのものだろう。だというのに依頼主は大金を払ってでも破棄したいと望み、持ち主であるはずのエバルーですらくだらないと言ってのけるというのは、どういう事だ。

「も…もしかしてこの本、貰ってもいいのかしら?」
「いやだね。どんなにくだらん本でも我輩のものは我輩のもの」
「ケチ」
「うるさいブス」

ならば、と言ってみたがダメらしい。どこか面倒そうに投げつけられたブスの一言が突き刺さる。

「燃やしちまえばこっちのモンだ」
「ダメ!!!絶対ダメ!!!」
「ルーシィ!!!仕事だぞ!!!!」

ここまで来てもなお抵抗を続けるルーシィに、流石のナツも耐え切れずに怒鳴る。こっちだってギルドの名を背負って仕事をしているのだ。ファンだか何だか知らないが、私情で依頼の遂行を妨害するべきではない。
その意味を込めて睨むと、それが伝わったのかルーシィが俯く。一度ナツの手にさえ渡れば、燃やすのは一瞬だ。燃やせればあとは屋敷を出るだけなのだから、それで今回の依頼は終わり―――

「じゃ、せめて読ませて!!!!」
「ここでか!!?」

一切伝わっていなかった。仕事完遂が遠のく。
ぺたりとその場に座り込んだルーシィは、真剣な眼差しで日の出(デイ・ブレイク)を読み始める。まさかの行動にナツとハッピーだけでなく、エバルーさえもぎょっとしたように目を見開いた。
だが、目の前で自分の所有物である本に手を出されて黙っていられるエバルーではない。

「ええい!!!気に食わん!!!偉――――い我輩の本に手を出すとは!!!来い!!!バニッシュブラザーズ!!!!」

怒りに震えながら声高に叫んだ先、伸ばした手が指すのは壁中にある本棚のうちの一つ。他の棚と同じように本をぎっしり詰めたそれが、エバルーの声に反応して重々しい音を立てて左右に開いていく。

「やっと仕事(ビジネス)時間(タイム)か」
「仕事もしねえで金だけもらってちゃあ、ママに叱られちまうぜ」

開いた先には隠し通路。右側の棚の側面には“隠し扉”、左側の棚の側面には“御開帳”の文字。そして奥には、人影が二つ。

「グッドアフタヌーン」
「こんなガキ共があの妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士かい?そりゃあママも驚くぜ」

右に立つのは、長い髪を一本の三つ編みに結わえた男だった。何か意味があるのか、額に“上”、顎に“下”、左頬に“右”、左頬に“右”と書いてある。背中には、武器なのか巨大な平鍋を背負っている。
左に立つのは、右側の男に比べると頭二つ分は背の高そうな大男だった。逆立った髪にバンダナを巻き、こちらは武器の類を持っていないようだ。
そして二人とも、肩から下げる形で紋章を描いた布を下げている。描かれているのはアルファベットのS、その上に目つきの鋭い狼の顔。それに気づいたハッピーが叫ぶ。

「あの紋章!!傭兵ギルド“南の狼”だよ!!」
「こんな奴等雇ってたのか!?」
「ボヨヨヨ!!!南の狼は常に空腹なのだ!!!覚悟しろよ」

ナツが睨む。
三つ編みの方が前を見据える。
ハッピーが眉を吊り上げる。
バンダナの方が見下すように見下ろす。
エバルーが得意気に笑う。――――そして。






《大丈夫だって、こんな近くが当たりな訳…な……》

突然、ドアが開いた。







そこに立っていたのは、青年だった。
灰色の髪を高い位置で無造作に束ね、きょとんと開かれているのは艶やかな黒い瞳。カーディナルブルーの、すらりとしたシルエットの騎士服を纏い、両手首下から手の甲までを守る藍色の籠手を―――――

《う、わああああああああああああっ!!!?》

装備している、とまで観察し終えたと同時に、猛スピードで叩き付けるようにドアが閉められた。

「……」
「「「「「おい!!!」」」」」

この状況ですらじーっと本を読み続けるルーシィに、敵味方関係なくその場にいた全員が声を上げた。






「…おい」
《う…ごめんアーサー、俺使えねえな……》
「いや、止めなかったオレにも非はある。…だけど、なあ……どうするか」
《……》
「……よし、もうこれしかない。行くぞパーシヴァル」
《は?え、何する気…ってちょっ、待っ、アーサー足下ろせ!!!止め――――》









「問答無用!!!!」

ドゴォッ!!!!と。
ドアの外で誰かが叫んだ、と同時にドアが()()()()()。向かいの本棚まで吹き飛んだドア(だったもの)を全員が目で追って、派手な破壊音やら飛んで来た際の風圧やらで反射的にルーシィも顔を上げる。
本棚に激突しぱたりと床に落ちたドア(だったもの)を数秒見つめ、それから全員の視線がドアがあった場所に集中する。事の元凶は真っ直ぐに突き出していた右脚を降ろし、息を吐いた。その姿を見つけたルーシィが目を見開く。

「え、ニア!!!?」
「んな――――っ!!?」
「……何で読書してるんだ、お前」

得意の鋭い蹴りでドアを吹き飛ばした元凶―――ニアは、怪訝そうに眉を顰めた。その後ろでは(本を読んでいて顔を上げていなかったルーシィにとっては)見知らぬ青年が、やっちまったと言わんばかりに額に手をやり天を仰いでいる。

「な、なななななっ…誰だ貴様は!!いつの間に我が屋敷にっ……!!!」
「そ…そうよ、何でニアがここに……」

その問いに、ニアは少し考えた。
ここで正直に「仕事とはいえスケベオヤジのところに行くお前が心配で追ってきた」なんて言う訳にはいかない。というか言えない。ギルドの魔導士なんだから頑張って来い、と言ってしまった手前、言う訳にはいかないのだ。それはパーシヴァルにも解っているのか、どうする?と問うようにちらちらとこちらに目を向けてくる。

(……よし)

考える事三秒未満。

「…シロツメに用があるのを思い出して、そういえばお前達の仕事先がシロツメだったなあと思って、そのエバルーとやらの屋敷ってどんなに悪趣味…失礼、どんなものなのか少し気になったから見に来てみたら外にあった穴に落ちて、その穴の中を進んで行ったら屋敷の中に出て、コイツと出口探してたらこの部屋でお前達がいがみ合ってて、…………ドアを蹴り破った」
(む、無理がある!!無理にも程があるぞアーサー!!!…そういやこういう嘘は苦手だっけ……ってそうじゃなくて、流石にこんな嘘で騙されてはくれないだろ……!!)

ニア渾身の説明に、パーシヴァルは頭を抱えたくなるのを必死に抑える。昔からこうした言い訳が下手なのは知っていたが、それにしたって無理矢理すぎやしないだろうか。特に最後。言葉に詰まって適当に終わらせたのがはっきりと解ってしまう。
顔に出そうになる焦りを努めて隠し、そっとナツ達の方を伺う、と。

「蹴り破るまでの間は何!!?」
「あ…悪趣味と言ったか貴様!!!この我輩の屋敷を!!!」
「へー、穴に落ちちまったのかあ。大変だったなあ」
「ニア大丈夫?怪我とかしてない?」

ルーシィはツッコミに回り、エバルーは怒り、ナツとハッピーに至っては深く考えずに信じ込んだようだった。バニッシュブラザーズが絶句している辺り、あの二人は気づいているのだろう。あれは多分「こんな嘘に騙されてるのかコイツ等…」という顔だ。

「…上手くいったな」
《もう奇跡だよこれ、奇跡が起きたんだよ》

ちょっと得意気なニアに、パーシヴァルは投げやりに呟いた。








「…なんとふざけた連中だ」
「これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士か……」
「いや、オレは違うぞ。ただの通りすがり」
「バニッシュブラザーズよ!!!あの本を奪い返せ!!!そして殺してしまえっ!!!」

バニッシュブラザーズと呼ばれた男二人が青筋を立てる。どこか笑うように口角を上げたエバルーが、ナツ達を指して指示を出し、それを見たナツが拳を構える。ニアの指摘は無視され、そんなニアを庇うように、パーシヴァルが前に出た。

「これ…」

――――その後ろで、本に目線を戻したルーシィの顔つきが変わっていく。読み進めていくうちに、無邪気な笑顔が驚いたような表情に変化する。何かとんでもない事を見てしまったかのように目を見開いて、突然立ち上がって走り出す。

「ナツ!!!少し時間をちょうだい!!!」
「!!!」
「この本には、何か秘密があるみたいなの!!!」
「は?」
「秘密!!?」
「っておい、お前どこに行く気だ!!」
「どっかで読ませて!!!」
「はあ!!?」

駆け出したルーシィはそれだけ言い残し、部屋の入り口近くで呼び止めたニアの横を走り抜けて部屋を出ていく。残されたナツとニアが、どういう事だと顔を見合わせる。

(ひ…秘密だと!?わ…我輩が読んだ時は気づかなかった。あ…()()()、まさか財宝の地図でも隠したのか!!?こ……こうしてはおれん!!!)

一方で、エバルーは目を輝かせていた。
何が何だか(あのフード男の派手かつ破壊的な登場のせいで)よく解らなくなっていたが、自分の持ち物である本に秘密があるというのなら、その秘密が自分のものであるのが当然である事は解る。言っていた秘密がどんなものなのかは解らないが、財宝の地図であれば今の富を更に増やせるではないか!

「作戦変更じゃ!!!あの娘は我輩が自ら捕まえる!!!バニッシュブラザーズよ!!その小僧共を消しておけ!!!」
「ルーシィあっちだぞ」
「何で年下に小僧呼ばわりされなきゃいけないんだよ…」
「やれやれ、身勝手な依頼主は疲れるな」
「全くだ」

命じ、飛び上がって頭から地面に潜り込む。来た時同様に床に大きな穴を開けて消えていく姿を見送って、バニッシュブラザーズは呆れたように呟いた。

「めんどくせえ事になってきたなあ」
「本当にな」

ただ本を燃やせば終わり、だったはずなのだが。ナツのぼやきに、壁に背中を預けたニアが肩を竦める。
とはいえ、面倒でも何でも仕事の邪魔をするのなら敵だ。右肩をぐるぐる回しながら、後ろに立つハッピーに言う。

「ハッピーはルーシィを追ってくれ」
「相手は“南の狼”二人だよ!!オイラも加勢する!!!」
「いや――――大丈夫だ」

慌てるハッピーにそう返して、振り返る。向こうをこちらを見ていたのだろう、すぐに目が合った。一つ大きな溜め息をついて、壁から離れてこちらに歩いてくる。

「…で?戦力に数えていいのか?」
「部外者は引っ込んでる…と言いたいところだが、向こうはオレの事も敵扱いしてるんだろう。なら止むを得ないさ、オレだってやられっぱなしになる気はない」
「そっか」

問うと、返って来たのはそんな言葉。
そんな二人の後ろ姿を見つめ、ハッピーは考える。相手は傭兵二人、ナツの強さを疑う訳ではないが一人置いて行くのは気が引ける。だからこそ申し出た加勢だったが、どうやらニ対一にはならなさそうだ。ギルドの仕事に口は挟まないといっていたニアの事だから、と思っていたのは杞憂だったらしい。

「ナツ!!ニア!!気を付けてね――――」
「お――――!!!ルーシィ頼むぞ――――っ!!!」

ならばする事はただ一つ。即座に翼を広げ、ルーシィを追うべく飛んでいく。

「パーシヴァル」
《了解、任せとけよアーサー。さっきの汚名を返上するからな!!!》

目を向ける事なく名前を呼ぶと、長いこと黙っていたパーシヴァルがにっと口角を上げる。
わざわざ言われずとも、何を命じられたのかくらい解る。戦力的に不安のあるルーシィと戦えないであろうハッピーが仮に戦わざるを得ない事態に直面した時の為の戦闘要員。密かに込められた「あまり過度には干渉するな」との指令まで受け止めて、パーシヴァルは駆け出した。
――――部屋に残っているのは四人。下りた沈黙を破ったのは、三つ編みの方の傭兵だった。

来い(カモン)!!!“火”の魔導士」
「ん?何で火って知ってんだ?」
「フフフ、全ては監視水晶にて見ていたのだよ」
「?……ああ、パーシヴァルが壊したアレか」

ニアの呟きに眉がぴくりと動いたが、それ以上の追及はない。

「あの娘は鍵……所有(ホルダー)系、星霊魔導士だな。契約数七。空を飛んだ猫は疑うまでもなく能力(アビリティ)系、(エーラ)
「そして貴様はガラスを溶かし、足に火を纏った……能力(アビリティ)系の火の魔導士とみて、まず違いないだろう」
「なら、オレは?」

唐突にニアが言った。フードの奥で、意地悪そうに薄く笑っている。

「監視水晶で見ていたんだろう?…ほら、答えてみろよ」
「……貴様が何であれ関係ない。魔導士ギルドに属していないという時点で、半人前なのは解っているのだからな」
「ん?オレは魔導士だなんて一言も言ってないんだが?何を根拠にオレが魔導士だと判断した?」
「……」
「まあ、何だっていいさ。思い込みは時として自滅に繋がるが、お前達が自滅しようがオレには関係ない」

そうだ。確かにニアは、ここに来てから「自分は魔導士だ」なんて一度だって口に出していない。そもそもの前提から崩しにかかる煽り方に、傭兵二人が顔を歪める。それに満足したのか、ニアがくすりと笑みを零す。

「けど、知ってるなら覚悟は出来てるって事だな!?黒コゲになる」
「残念ながら、出来てないと言っておこう。何故なら」

にやりと笑みを浮かべてナツが右手に炎を纏う。それを見た三つ編みの傭兵が、背負う巨大平鍋の持ち手を掴む。

「火の魔導士は(ミー)が最も得意とする相手だからな」
「ふーん」

構えられた平鍋を見つめ、ナツはだからどうしたと言わんばかりに呟いた。 
 

 
後書き
待たせたな!!!
……いや本当にお待たせしましたすいません。


という訳でこんにちは、緋色の空です。
八月中には…!と思って頑張りましたが失敗…。スランプだったり刀剣乱舞にハマったりしておりました。一番の推しは山姥切国広です。

エバルー編に入ってからというもの「これにニア君はどう絡んでいけばいいのか」と頭を悩ませていたものですが、最終的にドアをぶち破りました←
パーシヴァルが見つかった→なら芋蔓式に自分も見つかる→それは困る→なら自分から行くしかない、との思考回路からああなりました。何故逃げるって手を思いつかなかったのか。なので蹴破った際の「問答無用」は「四の五の考えず突撃だ!!!」です。作戦Tですな。
終盤の方は書いてるうちに「あ、これニア君にやらせたいわ」と思って煽りに煽らせてみましたが……ちょっとテンポが乱れたかな、と反省中。というかルーシィが部屋を出ていった辺りからぐだぐだなような。けど書きたい事は詰め込んだので一応満足してます。

そしてパーシヴァルさん。今作におけるロングヘア男子枠は彼です。緋色の空の作品には必ず一人はいるロングヘア男子です。初の試みとして高い位置で結んでみました。

というかニア君、前々回辺りで「ギルドの仕事に口は出せない」とか言ってましたけど、次回(最低限の)戦闘します。自衛だよ自衛。自分の身は自分で守るんだよ。

そしてもう過ぎましたが、八月二十六日はニア・ベルゼビュート誕生日にして今作開始日ですー!……一年経ったのにエバルー編ってどういう事でしょうね。
次回こそなるべく早く……頑張れるだけ頑張ります、はい。

ではでは。
感想、批評、お待ちしてます。





一応ワードで「今後使うかもしれないアーサーと騎士たちの個別エピソード」は書いてたんだぜ?…使うか解らんけど(おい)。 
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