八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百七話 朝御飯の後でその二
「あるからね、だからね」
「だからとは」
「うちの親父がそうした人の手術をしたら」
お呼びがよくかかるらしい、親父の腕はあちらでも評判だからだ。
「億単位の報酬がね」
「日本円にして」
「それ位をぽん、とだから」
「軽くですの」
「出すらしいから」
「あちらの貴族の方は違いますのね」
「日本のお金持ちはね」
確かに僕達から見て凄いお金持ちもいるけれど。
「比べられたら」
「それこそ」
「全く違う位だよ」
「そうですのね」
「そうなんだ」
本当にだ、ただ八条家は世界屈指の富豪なのでそうした貴族の人達と比べても遜色ないどころか資産で言うと勝っている。
「贅沢の仕方が」
「レベルが違っていて」
「これ位のことも」
「何でもないですのね」
「そうらしいよ、けれど」
僕達から見ればだ。
「これは相当な贅沢だよね」
「何か悪い気がする」
ここまでだ、留美さんは言った。
「朝からこうとはな」
「そうですわ、何か」
「お金は払ってるから」
これだけのサービスを払う分はとだ、僕は二人に話した。何処か後ろめたいものを感じている様な。
「お金を払っていればね」
「それならか」
「いいのでして?」
「親父が言ってたよ」
ここでも親父だ、何か本当にこの親父から離れられない。
「贅沢は自分がお金を払ってるのならね」
「その分ならか」
「いいのですね」
「そう言ってたよ、贅沢は悪いことじゃないってね」
本当にいつもこう言っていたし今もだ。
「後で贅沢の報いがあるとか考えたり罪悪を感じたりとかはね」
「そうしたことは思わなくていい」
「そうですの」
「うん、そう言ってたよ」
本当にだ。
「わかった、そうか」
「そうですのね」
「そういうことだから」
あらためて二人に話した。
「気にしないで」
「そうしたことは」
「特に」
「楽しもうね」
このことは笑顔で言った。
「心から」
「そうした考えもあるか」
留美さんは考える顔で言った。
「贅沢は払うべきものを払っていれば」
「うん、それでね」
「楽しめばいいか」
「贅沢を後ろめたいと思うことは」
「禁欲主義だが」
「禁欲主義もいいけれど」
それでもというのだ。
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