Blue Rose
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第五十話 入試テストその十四
「女の子になってな」
「神戸に戻られるまで」
「進めるなんて嘘みたいだよ」
「言われてみれば。本当にね」
優花はしみじみとして述べた。
「女の子になって女の子として生きていって」
「大学に受かってな」
「戻られるなんてね」
「もうすっかり女の子になったよな」
「ええ、言葉遣いもね」
それもだった。
「完全に女の子のものになって考え方も」
「そっちもだよな」
「女の子になったと思うわ」
「そうだよな、もう御前は女の子だよな」
「完全にね」
「けれど御前は御前なんだよ」
龍馬はここで優花にこうも告げた。
「女の子になってもな」
「性別が変わっても」
「御前は御前だよ、俺も優子さんもわかったんだよ」
このことがというのだ。
「本当にな、そのことがわかったからな」
「私を受け入れてくれたのね」
「悩んだけれどな、その現実をう受け入れるのに」
「そのこと聞いたわ、けれど受け入れてくれたから」
「嬉しかったのか」
「姉さんも龍馬もいてくれたから」
優花は微笑んでだ、電話の向こうの龍馬に言った。
「嬉しかったわ、そして姉さんと龍馬がいる神戸にね」
「戻って来るんだな」
「そうするわ、そして大学でね」
合格したその八条大学でというのだ。
「色々な資格取ってね」
「そして就職するんだな」
「そうなる様に頑張るわ」
「そうしろよ」
「私としてね、後ね」
「後?」
「結婚もね」
それもというのだ。
「考えてるから」
「そうか、そのこともか」
「まだまだ先だと思ってるしほんの少しだけだけれどね」
それこそ爪先程度だ、その少しの割合は。
「けれど将来は」
「いい人見つけろよ」
「そうしていくわ」
「絶対にな、幸せになれよ」
「人は誰でも幸せになる資格があるっていうわね」
「義務だろ、生まれたからにはな」
それならばというのだ。
「幸せになるんだよ、他人に迷惑をかけない範疇でな」
「そうしていくべきなのね」
「そうだよ、御前だってそうだよ」
優花にだ、龍馬は強い声で告げた。
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