【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
0001話『目を覚ましたら海の上』
前書き
艦これの新作二次小説になります。
Fateはどうした…?と思いますけど書き始めたのだから仕方がない。
これからよろしくお願いします。
とある男性はパソコンを弄りながらとあるゲームに勤しんでいた。
そのゲーム名は『艦隊これくしょん』。略して艦これ。
2013年の新年度である4月にサービスを開始して瞬く間に人気が加速していったゲームである。
今ではただのオンラインゲームだけではなく、一時期は漫画、小説、アニメ、映画、アーケードゲーム、etc………。
上げていけばキリがないが活躍の場を広げていき、未だに新たな限定グッズが発売されればすぐにとはいかないが完売必須なほどの人気のコンテンツである。
男性………ここでは提督と呼称しておこう。
提督はいつものようにパソコンの前で任務を終わらせながらも多少ではあるが満足感を得ていた。
自慢でもなんでもないがこの提督は甲勲章を一つも持ってはいない丙提督だが、代わりに現在実装されている艦娘は全員その手に収めている。
そして6-5海域まで解放してあり、やりこみ専用の任務である六連装魚雷の工廠任務以外の出撃系任務は全部は一度クリアしてある。
そして次のイベントでも難易度によってまた甲勲章を諦めてしまうかもしれないが、それでも艦娘だけは必ず全員手に入れようと息巻いている。
それほどに艦娘を大事にしているのだ。
だが、それでもまだ未熟だった頃やうっかりミスで数人の艦娘を轟沈させてしまった事がある。
提督は轟沈した艦娘が誰だったか覚えているし忘れることは絶対にしないと決めている。それが己の罰なのだからと心に刻んで。
そんな提督はもう夜も更けて寝ようとしていた。
「…っと、その前に嫁艦の榛名を単艦放置しておかないとな」
提督はとある理由で二番目にケッコンカッコカリをした金剛型三番艦『榛名』を選択して秘書官にしてプラウザを閉じようとした。
だが次の瞬間にいきなりプラウザ画面から突然強烈な光が発せられて提督は思わず目を塞ぐ。
そして意識が暗転する。
………
……
…
次に俺が意識が戻ったのはなぜか見渡す限りが海、海、海。
俺はまだ寝ぼけているのだろうと思い頬を抓ってみた。
だけど、
「いひゃい…ん?」
これが現実なのだろうと自覚した次の瞬間に違和感に気づく。
声の音色が自身の物ではなくなっているのだ。
しかもこの声はどこかでというかいつも身近で聞いていた声なのであった。
「この声って…まさか、榛名の声?」
そう、俺の口から発せられた声は榛名の声だったのである。
それで混乱する俺にさらに困惑する出来事が起きる。
なにか腰あたりが重いなと思って見降ろしてみるとそこには艦娘でいう艤装が腰に密着しており、ふと気づけば艤装に所謂艦これで言う妖精さんの姿が見えたのだ。
「………」
「………」
しばし見つめあう俺と妖精さん。
先に口を開いたのは、
「ど、どうも…」
【どうもです】
俺からであった。
そしてすぐに返事を返されてさらに驚愕する。
意思疎通ができた!とか本物の妖精さんだ!とか考える前にこれはやっぱり夢だ!という結論にいたり俺は何度も頭を叩いた。
だが現実は時にして無慈悲だ。
【諦めてください。これは現実ですよ】
妖精さんに窘められてしまったために俺は素直に諦めた。
それで海の上で屈んだ姿勢になりながらも妖精さんに話しかける。
「うう…それで、俺はどうしてこんな事になっているんだ?」
【それが私にも分かりません。ですが、今分かっている事は貴方は今、戦艦榛名になっているという事実だけです】
「俺が、榛名に…?」
【はい。私は貴方が提督だという認識をしています。そしてこの榛名は貴方がケッコンカッコカリをした榛名で間違いありません】
「そ、そうなのか…?」
【はい。証拠に左薬指にケッコンカッコカリの為の指輪がされていますから】
それで俺は左手に目を向けるとそこには確かにケッコンカッコカリの指輪が嵌められていた。
そして海面に映った自身を見て納得をせざるを得なかった。
そこには確かに榛名の姿が映し出されていたのだから。
「…そっか。これってもしかしてよく二次小説とかでいう憑依転生って奴なのかな…?」
【おそらくそうなのでしょうね…】
妖精さんも知識はあるらしく諦めたように答えてくれた。
でも、だとするともしかして本物の榛名の意識は…!
そう思い至った瞬間には俺は顔から血の気が失せていく感覚を味わいながらも、
「ね、ねぇ妖精さん…。もしかして俺は榛名の事を殺して―――」
【いえ? 殺してなどはいませんよ】
「は…?」
いきなりの否定宣言に俺は変な声を出してしまった。
【いえ、確かに憑依してしまったのですから奪い取ったのは間違いないのですが、この体の中には提督と一緒にもう一つ魂が存在しています】
「つまり…?」
【おそらく今はなんらかの理由で眠ってしまっているのでしょうね】
それを聞いて俺は思わず海の上だけどへたり込んでしまった。
よかった。榛名を殺したわけじゃないんだな…。
その事実だけが俺に希望を与えてくれた。
それから俺は妖精さんに色々聞いた。
現状のこの榛名のスペックとか。
ここは問題なかった。
装備されていたのは最後に装備させたのままだとか。
幸い装備はしっかりとされていたのでもしもの事が起きても対応だけはできる。
ちなみに装備は、
《試製41㎝三連装砲(MAX)》
《試製35.6㎝三連装砲(☆4)》
《紫雲》
《一式徹甲弾》
そして増設に《QF 2ポンド8連装ポンポン砲》
並の戦力なら一掃はできずとも戦えるという事である。
そして今ここはどこなのかが重要だ。
だけど妖精さんは難しい顔をしながらも、
【現在どこにいるのかは分かりません。当分は近くの採掘場を見つける事を念頭に置いていきましょう】
「わかった…もう戻れない事は分かったからどうにかやっていくしかないんだよな」
諦めの境地である。
万能生物の妖精さんでも無理なものは無理なのだからどうしようもない。
いつか榛名も目を覚ましてくれる事を祈って俺は進んでいこう。
「それと、最後の質問だけどいいかな?」
【はい。なんなりと】
「この世界に俺の所有する艦娘達はいるのかな…?」
【現状はわかりません。連絡の取りようがありませんから】
「だよな」
それで一時たそがれる。
まぁ、一人じゃない事はわかっただけでもめっけものだ。
「それじゃ妖精さん。これからは一蓮托生で頑張っていこう。よろしくな」
【はい。よろしくお願いします】
それで俺と妖精さんの旅は始まった。
後書き
妖精さんの喋りかっこは【】で行かせていただきます。
いつまで続くか分かりませんがよろしくお願いします。
ページ上へ戻る