真・龍神†無双
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第1話
「これが世界の狭間?図書館にしか見えない」
「苦節2849年、ようやく完成した世界を渡る術だ。図書館っていうのは間違いではないかな。この一冊一冊が1つの世界で、棚の塊ごとに類似した平行世界って感じだな。で、この棚はISを元に構成されている。だからIS登場前20年位まではほぼ同一の世界だ。開いて読むことも出来る」
簪が適当に一冊手にとってパラパラと流し読みする。蘭とクラリッサも似たように適当に一冊を流し読みする。
「こっちは織斑君がまともな感性をしてて、ラウラのデルタみたいなサイコミュ兵器を搭載した一本角から二本角に変形するISを使ってる」
「こっちのは織斑君以外に元士郎みたいに男だけどIS動かせてハーレム作ってるんだけど」
「こっちはISそっちのけで料理漫画みたいになってますね」
「まあ、そんな感じだな。これで無限の時を退屈せずにすむだろう。まずは美味いものを食いに」
そこまで言った所で懐かしい気配が感じられた。
「どうかしたの元士郎?」
「オレ達の居た世界とは違う世界の棚にオーフィスが産まれたというか宿った。ちょうどオレたちがこのISの世界に産まれたように」
「それは私達の知っているオーフィスが?」
「力を一度分けたんだ、間違えるはずがない」
「なら、決まりね。オーフィスに、娘に会いに行きましょう」
最初に行く世界が決まったな。オーフィスの気配を感じた棚に移動して一番左上にある一冊を開く。これがこの世界の一番のベースとなるものだからだ。
「三国志、ただし武将の一部が性転換してる世界。真名がある世界。そこに未来から一人の学生が天の御遣いとして現れる。三国の誰に拾われるかはループ要素も含んでいるのか毎回変わるようだな。たぶん、武将の誰かに産まれてるんだろう」
「なら分かれて捜索するのが一番だね。真名はソーナでいいでしょう」
「なら私は留流子、クラリッサはセラフォルー、元士郎は?」
「あの男女から付けられた九十九だろうな。とりあえず、向こうに行ったらバラバラに行動するか。中国は広いからな」
「とりあえずは三国に分かれるの?」
「時期的には三国の全部が存在してない。いや、時系列がなんか変だ。黄巾の乱に諸葛孔明がいるだと?」
気になって他の本も広げて確認する。
「劉備が居なかったり、孫堅はほとんどで死んでいる。孫策もたまに居ない」
「確実にいるのは?」
「曹操、孫権、董卓、馬超、袁紹、あと関羽もか。あとは、男の時もあったりするな。くそ、ブレが大きい世界だ」
「それでも何とか三国は成立するみたいね」
「そうだな。とりあえずは、三国と董卓の所で別れよう。反董卓連合後に合流する形で」
「そうしますか。バラバラに世界に降りれるようにする。何とか近くの三国志の武将か軍師に合流する運びで」
「元士郎、元士郎だけは降りる場所をちゃんと指定した方がいいと思うんだけど」
「絶対指定した方がいいって」
「そうですね、指定したほうが」
三人にリアルラックの問題でランダムは止めろと言われる。そう言われると反発したくなるのがオレなのだ。
「いいや、絶対にランダムで飛ぶ」
術式を発動してランダムでオーフィスのいる世界に転移する。
「砂漠かよ。え~っと、北極星があれだから、現在地は、エジプトかよ!!げっ、転移と飛行がレジストされる。竜化も出来ない。まじかよ。世界の法則か。魔術は、燃費は悪いが使えるな。おっ、道術だけは燃費が良い。三国志がメインだからか?」
現状を確認し終えたあと、とりあえずは北に向かう。いつぐらいに到着できるんだろうな。己のリアルラックを恨みながら砂漠を走る。
「元士郎だけ連絡がつかない。大分遠くに落ちたみたいだね。蘭はどの辺り?」
『こっちは南東だから呉が近いかな。クラリッサは?』
『北の方、ちょい東寄りだから有名なのだと公孫瓚だった?』
「私は中央に近いね。どこを中央と言って良いのか分からないけど。うん?あれは、旗、曹に夏が2つってことは曹操を引いたみたい」
土埃を巻き上げながら掲げられている旗を確認する。
「とりあえず、遠くから魔術、こっちだと妖術になるのかな?まあ、それで飛ばされてきたって設定で行くから」
『こっちもそれに合わせようかな』
『それが無難ですね』
そこで念話を切って、こちらに向かってくる曹操の軍を待つ。軍が私の前で止まり、奥から金髪でツインドリルテールの女の子とその娘に控えるように黒髪の女性と青髪の女性が出て来る。
「まさか管路の占いどおりだとはね。貴方が天の御遣いとやらかしら」
「管路?占い?」
私達を予測した?いや、本来の天の御遣いが居たからそちらと勘違いしているのだろう。
「簡単に説明すれば、管路は大陸一と呼ばれる占い師よ。その管路が今の乱れた世を天の御遣いが正すという占いを出して、それが民達の間に広がっているのよ。そして、その天の御遣いは流星と共に現れるとも」
「なるほど。まあ、何を天の御遣いとするかは知りませんが、私の見解から言わせてもらえば、答えは否。私がどういった存在かを説明するならば、魔術師と名乗っておきましょうか」
「魔術?」
「見たほうが早いでしょう」
右手を掲げて、水の槍を作り出して、遠くに見える岩に射出して粉々にする。
「妖術使い!?」
三人どころか軍全体がざわめいて若干引いている。なるほどなるほど、まあ、そういう扱いですよね。
「妖術?こちらではそんな呼び方なんですか。ああ、ちなみにこれは私達の国では少しの才能と勉強さえすれば飲水とか火種に困ることはありませんから殆どの人がある程度までは使えますよ。殺傷力を持たせるには専門の学校に通う必要がありますが」
「学校、私塾のような物かしら」
ああ、なるほど。後漢時代を舐めていた。
「識字率はどれ位?」
「識字率?」
「文字の読み書きが出来るのは一般的な民が100人いればどれ位?」
「ふむ、20もいれば多い方かしら」
「はぁ~、未開地よりはマシ程度。そうなると他国の言語はほぼ国境に数人って所か。はぁ~、時代まで飛ばされてるね。どれだけ過去に飛ばされたのか」
「全く訳が分からんがバカにされたのは分かる」
「姉者、落ち着け」
黒髪の女性が姉ということはそっちが夏侯惇か。じゃあ、こっちが夏侯淵ね。
「バカにしたわけじゃなくて事実を言っただけ。服装や武器を見ればどれぐらいなのかは分かるよ。服が自然由来の物だけで一般の兵士の武器は剣や槍、弓が少々に移動は徒歩と騎馬、私達の国とは大体3000年強の差があるよ」
「3000年ね。その差はそれぐらいなのかしら」
「あ~、質問は最後にまとめて聞くから途中で邪魔をしないで。まず、全人口、役所で登録されている人数は国内だけで230億人、登録されていないのを合わせると30億ぐらいのブレがあるかな。それだけの人数が飢えることはまず無いぐらいに食料は豊富。戦争が起こるとだいたい40億は死ぬかしら。武器は白兵戦時はブラスター、銃、もなさそうね。後で実物を見せてあげる。基本は艦隊戦、大きさは色々だけど、一番小さいのでコレぐらいかな」
あまり得意ではない土系統の魔術で一番小さい駆逐艦の形を作り出す。小さいと言っても全長120m、全高50m、全幅30mほどある。
「識字率は98%、100人中98人が読み書きが出来て、そのうちの半分以上が他国の読み書き会話が可能。まあ、そんなことをしなくても道具を使えば簡単に話せるし、変換もできる。この世の理もほとんどが解明されているから迷信なんてものはほとんど存在しない。どうせ地動説も、この大地が球体であることも知らないのでしょう。この世に世界の果てなんてものは存在せず、ある意味で閉じられた世界。私達はその閉じられた世界のすべてを、空をも征し、星を征し、銀河を征そうとしている。今のをどこまで理解できましたか?」
どうやらほとんど理解できていないようですね。それでも何とか理解しようと曹操と夏侯淵はしている。夏侯惇は重度の脳筋みたいだね。
「前半は、まあ、突拍子もない事だけどまだ理解できるわ。だけど後半はこちらと隔絶しているということだけは分かる程度ね」
「まあ、そうですよね。この大地が球体というのも分かっていないでしょうし」
「何をバカなことを言っているんだ?そうしたら球の下の方に行けば落ちてしまうではないか」
「はいはい、そういうと思っていましたよ。全部理論的に証明してあげれますけど、理解しきれるでしょうかね?」
「長くなるのか?」
「簡単な説明ならすぐですよ」
足元の石を拾い上げる。それを三人に見せてから、手を離す。石は重力に引かれて地面に落ちる。
「さて、とある天才は今の出来事だけで世界の理の1つを発見しました。まあ、実際はりんご、果物が落ちる姿を見てですが」
「それがどうかしたのかしら?」
「そう、普通の人はそうしか思わない。それが当たり前だから。ですが、その天才はこう思った。何故下に落ちる。別に横でも上でもいいし、動かなくてもいいではないかと」
それを聞いて曹操は表情を変えた。そして何かを考え始め、最後には地面を見た。そして石を拾い上げて落とし、もう一度拾い上げて真上に軽く放り上げる。今度は高く放り上げ、最後に横に投げる。
「これが世界の理の一部なのね。常に下への、大地へ向かって何かが押している」
「結果的には同じですが、大地が引っ張り寄せる力。それを重力と私たちは呼んでいます。さて、それを踏まえてもう一つ先に進みましょうか。ここではあれですので少し移動、する前に」
先程作り上げた駆逐艦の模型、模型?まあ、それの地面から1cm程を赤く染め上げる。
「あそこの街まで移動しましょうか。興味が無いのならそれで構いませんが」
「いえ、興味があるわ。秋蘭、先に行って茶屋を1つ貸し切っておきなさい。春蘭、兵を街の西側に移動させて陣を敷かせなさい」
「「はっ、華琳様」」
「ふむ、そう言えば名前を名乗っていませんでしたね。私の名は匙簪、そちらは何と呼びましょう」
「珍しい名前ね」
「性、家を示すのが匙。名、個人を示すのが簪です。旧姓は更識ですけどね」
「ふぅん、名前の構成は似ているわね。私は性は曹、名は操、字は孟徳。真名は華琳よ」
「真名を平然と名乗っているとか正気ですか!?」
予め元士郎に聞いていたとは言え、こんなに簡単に名乗っていたとは。
「良かったですね、私のような魔術師と出会えて」
「それはどういうことかしら?」
「真名を知っていれば魔術師はその者を自由自在に操ることが出来るからです。こんな風に」
パスを通して曹操の右手のコントロールを奪う。
「なっ!?」
「そういうわけです。私は操られているかどうかを感知なんてのも出来ますから安心していいですよ。少なくとも、今の軍勢とあの二人は操られていませんから。結構疲れますから局所的に操るなんてことはありますが、痕が残って分かりやすいので」
「……そう、分かったわ。他に使える者に心当たりは?」
「私の家族ですね。夫とその側室達、私を含めて4人ですね。最悪、私達と敵対していた奴が1人。そいつにバラバラに飛ばされましたから」
そんな相手はいませんが、そうですね、最初の世界の曹操みたいな奴でいいでしょう。英雄を名乗っておきながら英雄らしい所は一切ありませんでしたけど。中途半端なんですよね。正にも邪にもどっちつかずで。元士郎はリアスとのレーティングゲームで己の芯を作り上げた途端にプライベートでは変な方向に迷走しながらも、仕事になれば自分の役割を徹底してこなす。主の私の命令も曖昧に受け取って。裏でこそこそと暗躍しつつ表でも大活躍と扱いにくかったですが。常に令呪で縛ってないと何をしでかすか分かったものではなかったです。
さてと、このまま相談役みたいな位置に転がり込めれば楽なんですけどね。どうなることやら。
「はいは~い、それじゃあ、今日も袁家のために元気に働こうねぇ~。毎日言ってるけど、消えた人間は気にしないように。分かるよね?真面目に働いていれば他の所で働くよりは多く貰えてるよね。身の丈にあったことをしないとすぐに破滅だから。はい、解散」
袁紹ちゃんの元に身を寄せて早三ヶ月。筆頭軍師として部下を右から左に振り分け抜き打ち査察と確認と許可を出すだけの簡単なお仕事で、袁家の資産は日々増え続け、上から下への好景気を促す。袁紹ちゃん、乗せやすい性格で考えが薄いけど、根は善良だし、そこそこの部下が大量に集まってるからよっぽど酷いのを排除してもまだまだ普通に運営できる。
財は貯めるだけでは意味がない。常に流動させることで膨れ上がっていくものなのだ。あと、袁紹ちゃんの運が凄い。黄金律もB+位はある。そしてお金は寂しがり屋だから仲間がいる所にどんどん集まる。集まったお金をばら撒いてまた集め直す。ばら撒く時に兵士の訓練代や装備費に給金、街の工房や職人に色を付けたり競争させたり、街の拡張工事と区画整理、派手好きな袁紹ちゃんのために月に一回お祭りもやって。
このまま経済による大陸平定を目指してみようとした所で南から1万の賊が領内の最南端の街を襲っていると報告が入った。
「どうするんだい、クラちゃん」
軍議の場で筆頭武官の文ちゃんが尋ねてくるけど答えは簡単だ。
「常備兵の半分の4万」
「はい?」
「騎兵を五千、弓兵を四千、弩兵を千、歩兵を二万、工兵やら補給部隊を一万。文ちゃん、先に騎兵だけで良いから先行して割って後方に広く広がっておいて。顔ちゃんは歩兵とかを連れて行って文ちゃんと共に包囲殲滅。賊が相手ならそれで十分。田豊ちゃん、街の復興をお願いね。建材も食べ物もお金もがんがん送るから1ヶ月で前以上に発展させてね。ついでに道の拡張整備もお願い。お金はガンガン使っていいから。蕎麦とかも忘れずにガンガン蒔くのも忘れないように。はい、質問は?」
「えっと、そんなに動かすんですか?」
「このままで五百の犠牲が出るのと、半分にして三千の犠牲が出るのと、どっちが良い?」
「ごめんなさい」
「はい、よろしい。何度も口を酸っぱくして言うけど、数は力よ。そして練度はある程度気合で上げれる。気合を上げるにはこうやって自信をつけさせるのと、生活が豊かであること。生活が豊かであるにはお金がいる。生活が豊かなら民の人気者。人気者になりたいかー!!」
「「「なりたいです!!」」」
「はい、迅速に動く。その前に袁紹ちゃん。時は金なり、一言激励を」
「みなさん、雄々しく華麗に、賊を退治なさい」
「散開!!」
みんなが急いで動き始める。私は私で出陣の準備を整えさせながら性格があれだけど使える郭図を呼び出す。
「郭図、敗残兵に紛れ込ませなさい。どこから発生した集団なのかだけでいいわ」
「へい。10人ほど紛れ込ませます」
「最初に脅したときにも言ったけど」
「へい、高望みはしませんよ」
「それでいいの。闇は全部、貴方が受け持ちなさい。知っているのは私だけで十分。分かっているわね。その分、色を付けてあげてるんだから」
「回りくどい方法ですが、確かに誰も気付けないですな」
「あれ、私の国じゃあまだまだ普通よ。もっと複雑でドロドロの機構も存在してたし。取り締まる方だったけど、利用できる以上は利用させてもらうわ。全く、私は本来は外交官の方が適任なのに」
「コレだけの能力があってですか?」
「ああ、夫はもっと凄いわよ。一番下っ端だった頃から容赦の二文字が無い性格だったから。運も変に悪くて、突発的に案件の難易度が跳ね上がることなんてよくあったけど、それを全部切り抜けて予定以上の成果を上げ続けてたから。一度だけ外交を任せたらやり過ぎで相手に同情が集まる位に酷かった。こう内乱を起こしている内の片方が援軍を要請してきた時に、理路整然と相手の否を突きまくり、別に1人で暗躍して総取りしてもいいと堂々と言い放ったぐらいだから。で、実際に許可を出したら本当に総取りしそうで、それをすると周りとの関係がこじれそうだったから許可は出さなかったんだけどね。それで、援軍として送り出したら3日で敵側が壊滅して晒されて、完全に援軍を要請してきた方まで恐怖のどん底に突き落としちゃったから」
「3日、ですか」
「そう。3日で裏で糸を引いていた豪族は全員首だけになって、内乱を起こしていた方は党首から100人長まで全員が首だけ、身体は磔で心臓に特別な木の杭を打ち込まれて並べられたの。誰にも気付かせずにね」
「誰にも?」
「変装とかも得意でね。全く区別がつかないほどよ。それを利用して殺して入れ替わってを繰り返して気付かせなかった。本人はしれっとした顔で帰ってくるし、夫がやったって証拠が一切出てこないのよ。本人がやったって言う証言以外がね。援軍の詳細を詰めるように見せて、部下の変装させて詳細を詰めているように見せかけて本人は現地で活動するとか。上司の私とかまで騙して勝手に功を上げるんだから。定期的に勝手に何かやってないかと聞いておかないと、いつの間にか反抗的に豪族が変わってたりするからね」
「どんな化物ですか!?」
「普段は優しいんだけどね。どうしても仕事になると容赦が欠片もなくなっちゃうのよ。部下も直属の間者が10人だけだったし。それ以上は臨時で指揮をとるぐらいで、影から影へ、裏から闇への、裏社会の頂点に君臨してたから。その上で表社会でも普通に活躍してたんだよね。まあ、それ位の功績がないと私達を娶るなんて不可能だったしね」
「どういうことでしょうか?」
「あ~、こっちの国で説明するなら、出会った頃は私は皇族に近い地位で妹は州牧、夫は妹の親衛隊の新人なの」
「大出世以上じゃないですか!?いや、戦功を考えれば」
「はいはい、考え込むのは後にしなさい。まずは行動」
「はっ、すぐに指示を出します」
「よろしくね。ああ、そうだ、例の件の方はどんな感じ?」
「クラ様のような変わった知識などを持つ者ですな。一人は曹孟徳の元に居るようです。たまに街で見かける程度でクラ様のように表に出るようなことはありませんが、夏侯惇がよく文句を言っている姿は確認されています。おそらくは簪様だと思われます。もう一人なのですが、その、どうも河賊もどきになっているみたいで」
「はい?」
「お頭、また甘寧の奴らが来てやす!!」
「野郎共、全速よ!!矢は全部撃ち落としてあげるから、ケツは気にせず漕ぎな!!」
「「「へい!!」」」
「この積荷を届ければ少しは落ち着くわよ。家族のためにも気合を入れな!!」
部下を鼓舞しながら船尾に立ち、蹴りの風圧で矢を全て撃ち落とす。そして全速の指示を受けた部下たち全員が櫂を握り、タイミングを合わせて漕ぐことによってばらばらに漕ぐよりも少ない力で速度を上げる。船の形も櫂の形も3000年以上先の最先端の物だ。積載量も半端ではない。ここまでしなければこの国では人として暮らしていけない。さすが世に悪行轟く漢民族だとしか言えない。いや、この時代だとどこも似たようなものか。日本は、今は邪馬台国だっけ?それ位原始的か、エジプトとかローマならまだ少しはまともになるんだっけ?あっ、エジプトは属国時代だっけ。
「ローマの属国になっていないとか、スフィンクスがガチの神獣として存在している時点で嫌な予感がしてたけど、なんでオジマンディアスがこの時代に生きてるかな!?あぶねぇ!!」
「ふははははは、ファラオは滅びん。何度でも蘇ってくるのだ。それにしてもデンデラ大電球の雷撃を潜り抜けてきたか。呪詛も殆ど効いていないようだ。ならば最大出力だ!!」
「だあああ!!めんどい!!こっちは早く妻のもとに戻りたいだけだってのによ!!お前もネフェルタリの元に行ってイチャイチャしてろよ!!」
「これすらも防ぐか!!ならば奥の手だ!!」
「ふぁっ!?大質量攻撃だと!?神秘はどこに行った、神秘は!?ええいっ、侵食異空結界作動。竜化!!」
「これすらも受け止めるか!!やるではないか」
「話が聞けないのかよ、このファラオ。もうやだこの世界」
なんか変な電波を受け取った気がするけど気にしない方向で。鈴の甘寧が既に孫家に仕えていたのは少し想定外だが、私は今の部下たちとその家族を見捨てることが出来ない。もう少し勢力がまとまるまで、三国に分かれるまではどこの勢力にも付けない。英雄は国の、民のためと言って民に負担をかける。見捨てられなかった。当初の予定を変更して船を利用した運搬業、それと漁業に襲い掛かってくる河賊を潰して物資を奪い、河沿いの村を傘下に収めながらある程度、最低限の食に困らない程度には復興に成功している。
いつも通り、荷を運び終えて代金を貰い、村の生活に必要な分の物資を購入して拠点に帰還する。黄巾の話をよく聞くようになった。傘下の村からはそれほど参加していないようだけど、参加するものとは縁を切らせた。こちらに被害が来ても困るから。
はぁ~、他のみんなはどうしてるんだろう。
「龍も飽きたけど、お腹が膨れる。今度は象でも食べに行こ。行くよ、スコル、ハティ」
後書き
リアルラックを信じてはいけない(FGOの300連ガチャの結果を見ながら)
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