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ソードアートオンライン~黒の流星~【リメイク版】

作者:叶愛
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氷の狙撃手

 
前書き
今回はシノン(詩乃)とアキ(明煌)が出会った時、デスゲームが始まった時のシノンsideです!
では、本編へ! 

 
あれは、もう何年も前の話。

真夏の東北地方は涼しげで、まだ関東地方よりは過ごしやすい暑さだった。

そんな日、私が住んでいるマンションの隣にある家族が引っ越してきた。

玄関にチャイムが鳴り、お母さんが出る。

「初めまして、この度隣に引っ越してきました藤咲です。」

「初めまして、ご丁寧にどうも。朝田です。」

そこには、ニコニコしている優しそうな女の人と、その旦那さんらしき身長の高い格好良い男の人、その2人に挟ませるかのように真ん中で立っている同い年ぐらいの1人の男の子がいた。

「ほら、詩乃。挨拶しなさい。」

私はお母さんに手を引っ張られ!お母さんの隣まで来て挨拶した。

「……初めまして、朝田詩乃(あさだしの)です。」

私が挨拶すると女の人はニッコリと微笑んで、私の目線までしゃがみ男の子の肩を掴み話した

「初めまして、詩乃ちゃん。この子は私の子供の明煌(あきら)、ほら明煌挨拶して。」

「初めまして、藤咲明煌(ふじさきあきら)…です。」

お母さんとその人達はニコニコ笑いながら会話していた。

「あ、そうだ。」

すると、突然お母さんがポンっとなるように手と手を重ねて言った。

「詩乃は今度、小学1年生なんです。明煌くん小学2年生でしたら……」

お母さんがそこまで言うと彼のお母さんも分かったようで「えぇ、そうしましょう!」と一気統合していた。

その頃私達はお互い話もせず、ただお互いの親を待っている状態だった。

私は少しだけ彼に話してみたかった。

「ねぇ…明煌くん。」

「明煌で良いよ。」

「え?」

私はいきなり過ぎて戸惑った。

まだ会って少ししか経っていない相手で、しかも1個上に呼び捨てで呼んでいいと言われると思っていなかった。

「明煌の方が呼びやすいと思うから…。」

──この子…優しい子?

驚きながらも少し微笑んで彼に視線を向ける。

「分かったわ、じゃあ私の事も"詩乃"って呼んで。」

私は今までで一番の笑顔で笑った。

そのとき明煌の顔が少し赤くなって、ぷいっと私から視線を離した。

「どうしたの?」

「な、何でもない!」

私は疑問に思いながらも、そのまま話し続けた。

帰るときに彼が両親にいじられ、お母さんがその光景に笑っていたがよく分からなかった。

あれから小学校が同じでずっと一緒に登下校していた。

だが、そんな幸せな時間もある日を境に壊れた。












ここは、SAO《ソードアート・オンライン》の世界にある浮遊城アインクラッドの第50層フィールド。

先程、明煌…ではなくアキの言葉に驚き宿を出てフィールドに出てきてしまったのだ。

このゲームにいるという確証は正直無かったが、顔を見た瞬間に「あぁ…明煌だ」と感じたのは確か。

赤髪に綺麗な赤色の瞳を持ち、大人びたような雰囲気を漂わせつつも、どこか幼さを残す1つ歳上の少年。

──分かってたじゃない、今の明煌は昔の記憶が無い事は………。

それでも、分かっていてもいざ目の前で自分の事が分からないと言われると悲しかった。

「私…約束を破ってばかりね…。」

小さい頃にした約束。

彼の過去の悲しみと罪を一緒に背負うと約束した。

──それなのに、私はいつも貴方に守ってばかり…。

がむしゃらに走り続けた結果、フィールドの奥まで来てしまい気づけば周りにはポップしたモンスターに囲まれていた。

──そういえば同じような状況に前もなったわね…。

確かあの時は…私は思い返していた。

あれは、デスゲームが始まり恐怖心と明煌を探さなければという焦りでHPなど気にせずひたすらダンジョンに行き、短剣を振り続けていた時。

何も食べず睡眠もとらず、ポーションすら1、2個しか持たずに予備の短剣だけを持っていつ死ぬか分からない状況だった。

そんな時だった、あまりの空腹と睡眠不足のせいか集中力が切れトラップに引っかかった。

「くっ…!」

トラップが作動したことにより、ポップしてくるモンスターの数が10を超えていく。

気づけば、モンスターに囲まれ攻撃されHPは赤色まで下がっていた。

──私ここで死ぬのかしら…。

明煌に何も出来ないまま……ううん、私がいても何も出来ないわね。

私は覚悟を決めて目を瞑った。

だが、いくら待っても攻撃は来ない。

変わりに知らない人の声が聞こえた。

「だめー!」

「やめろー!」

真っ白な装備に茶色の綺麗なロングの同い年ぐらいの女の子が細剣で鋭い突きをしていき、隣には先ほどの女の人と反対で真っ黒な装備に黒髪の男の子が剣で切っていく。

あっという間にモンスターはポリゴンへと姿を変え、2人は剣を鞘に戻し私の目線にあうよう女の子はしゃがみ、男の子はウィンドウを開いていた。

「大丈夫?」

「ほら、ポーション飲んどけ。」

私は頷きながら、渡されたポーションを飲む。

これが、キリトとアスナとの出会いだった。

それからは2人に溜め込んでいた思いを話した。

2人は真剣に話を聞いてくれて、更には手伝いたいと言ってくれた。

そうして私は2人が設立したギルド、月夜旅人団に入団し『射撃』というユニークスキルを習得して、いつの間にか『氷の狙撃手』と呼ばれた。










そして、今はその時と似たような状況だった。

──ほんと…私も懲りないわね…。

内心、自分の愚かさに呆れながらも弦を引く。

弓でモンスターを倒すが、近距離戦で弓が叶うはずもなく確実に私のHPが減っていく。

そして、緑だったHPも黄色に変わり背後からの攻撃をよけれず遂に赤色になってしまった。

──最後ぐらい笑いたかった…。

私は先程の自分の行動に後悔した。

次の瞬間、目の前まで迫っていたモンスターがポリゴンへと姿を変えた。

「え……?」

予想していなかった事が起き、私はキリトとアスナなのかと思い二人の姿を探した。

だが、視界に移ったのはキリトでもアスナでもなく………。

「大丈夫!?」

「あ、明煌……?」

真っ黒なコートに白のマフラーを装備し、コートと同じ色の片手剣を握って、倒れかけていた私の身体を支えていたのはアキだった。

「これ、すぐに飲むんだ!あと俺の後ろに隠れてろ!」

私はポーションを受け取り、頷いてアキの後ろに隠れる。

「仲間をこんな目に合わせたんだ、殺してやる。」

──仲間……?私が?

アキの言葉に戸惑いながら、目の前の光景に圧巻した。

肉眼では追いつけない"閃光"と呼ばれるアスナより
す素早い剣技で切りつけ、"黒の剣士"と呼ばれるキリトに勝るほどの反応速度でモンスターの攻撃を受け流す。

リアルでも剣術を習っていたアキだからこそ出来る剣技なのかもしれないが、私はただ見ている事しか出来なかった。

周りを囲んでいたモンスターは全てポリゴンへと姿を変え、アキは左手に握る剣を鞘に戻した。

「ふぅ……大丈夫?」

「え、えぇ……ありがとう。」

「その……。」

アキは何か言おうとしているのか、私に向き直ってゆっくり話した。

「さっきはごめん、君に酷いことを言った……。」

「あ……私こそ取り乱してごめんなさい…」

「こんな事、俺が言える資格は無いんだけど教えてくれないか…?」

「え?」

私は予想外な事が連続でおきて、思考が追いつかない。

「俺、小さい頃の記憶が曖昧なんだ。色々あって人との関わりも断っててさ……。」

──本当に……記憶が混ざってるのね……。

私はある人から聞いた話を思い出した。

『今のあの子は、色んなことがあり過ぎて記憶がごちゃごちゃになってるの。だから、詩乃ちゃんの事も……。』

──だからと言って、私が教える事を断るなんてする訳ないじゃない。

だから、私は初めてあった時のように笑って答えた。

「えぇ、もちろんよアキ。」 
 

 
後書き
シノン視点終わりました。
リアルが忙しすぎる……
なかなか、投稿出来ませんがお待ちください…!
では、次回予告!

─────────────────────

シノンから聞いた、自分の過去。

「…………。」

──俺は……思い出さなければ……!

止まっていた時間が、動き出す。

次回『俺と僕』 
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