真田十勇士
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巻ノ八十三 仕置その八
「我等主従、義兄弟でもありますぞ」
「生きるも死ぬも共と誓い合ったではありませぬか」
清海も笑って言う。
「それではです」
「我等がついて行かぬ筈がありませぬ」
海野の言葉もこうだった。
「何があろうとも」
「左様、ですからお供致します」
こう言ったのは霧隠だった。
「高野山にも」
「地獄でもと誓い合ったではありませぬか」
由利も笑って言う。
「それならば高野山にも共にです」
「何、どのみち贅沢には興味がない我等」
穴山も笑っている、そのうえでの言葉だ。
「高野山も何のことがありましょう」
「これまで通り修行と学問に励みましょう」
伊佐は微笑んで幸村に話した。
「高野山でも」
「そして時を待ちましょう」
無論根津も主についていくつもりである、だからこその言葉だ。
「また我等が出る時を」
「高野山は修行に最適の場」
筧はこう述べた。
「弘法大師が開かれた山ですし」
「修行にも学問にも向いております」
最後に望月が言った。
「そう思うと楽しみですか」
「そうか、皆来てくれるか」
「無論」
十勇士達は今度は声を揃えてきた。
「最初からそのつもりです」
「では励みましょう」
「高野山での修行も」
「山に篭もりそのうえで」
「ではな、父上と共に入ろう」
幸村は微笑んで述べた。
「我等もな」
「はい、是非」
「そうしましょう」
「大殿も修行と学問に励まれますな」
「そうされますな」
「うむ、父上の修行は凄まじいぞ」
幸村は微笑み父のことも話した。
「その修行にもついていくのじゃ」
「はい、是非」
「そうしましょうぞ」
「如何に激しい修行といえど」
「そうしていきましょう」
こう言ってだ、そのうえでだった。
十勇士達は幸村と共に高野山に入ることになった、このこともすぐに家康に伝えられた。
そしてだ、家康はその話を聞いてこう言った。
「よし、ではな」
「それではですな」
「真田家はこれでよし」
「高野山に入れてですな」
「二度と世には出ない」
「それでよい、父親も厄介じゃが」
家康はさらに言った。
「息子の方もな」
「源次郎殿ですな」
「智勇兼備も人物ですな」
「家臣の十勇士達は一騎当千の強者揃い」
「それではですな」
「味方でないなら押し込めておくに限る」
世には出さないというのだ。
「それではな」
「その為の流罪ですな」
「真田家はそうした」
「どうも味方にならぬ故に」
「源三郎殿は別として」
「あ奴がおるだけでもよいか」
真田家の中でとだ、家康は言った。
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