抜刀隊
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第四章
「どうもな、けれどな」
「それでもか」
「そうした人がいるってな」
若松に対する西郷の様な相手がというのだ。
「幸せかもな」
「地元の英雄か」
「今でも慕えるな」
「そうした人がいるってやっぱりいいな」
「そうかもな、俺はな」
同期の者が言うには。
「北海道だからな」
「北海道なら誰だよ」
「ええと、明治からだとな」
同期の者は河原崎に考える顔で話した。
「分隊士と同じ名前のヤクルトの監督だった」
「ああ、ミスタースワローズか」
「あの人とかだな、あと松山千春さんか」
歌手のというのだ。
「そうした人だな」
「北海道だとアイヌだろ」
「いや、俺アイヌのことあまり知らないからな」
だからというのだ。
「あと小林多喜二さんか」
「小説家か?」
「西郷さんと比べるとマイナーか」
「そこでしょげたら駄目だろ」
「いや、西郷さんは凄かったからな」
伊達に幕末、維新の動乱の時代で日本を何度も救った英雄だけでなくだ。この頃の最大の英傑の一人であることは事実だ。
「どうしてもな」
「だからか」
「ああ、俺もな」
この同期の者もというのだ。
「やっぱりな」
「地元出身の慕える英雄がいるってことはか」
「いいって思うか」
「本当にな」
「そうだよな、そう思うとあの歌はな」
抜刀隊、この軍歌はというのだ。
「あの人にとって特別なんだな」
「地元の今も慕う英雄のことも歌っている」
「そうした曲なんだな」
このことをしみじみと思うのだった、そして教育課程が修業した時にだ。その宴の場で若松は焼酎を飲んでいた。故郷のその酒を。
抜刀隊 完
2017・3・27
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