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女々しくて

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第二章

「だからあんな奴のところに行くんだ」
「あいつの方にか」
「そんな女忘れろ、予言するがな」
「おい、予言かよ」
「あの女暫くしたら泣いてるぜ」
 俺に真剣そのもののその目と声で言った。
「どうしようもなくなってな」
「だからっていうんだな」
「新しい誰かを見付けろ」
 別の彼女をというのだ。
「いいな」
「それが俺の為だっていうんだな」
「あそこまで馬鹿な女とは思わなかった」
 彼女のことをこうも言い捨てた。
「性格は悪いと思ってたがな」
「悪いか?性格」
「ああ、きついしヒス起こすし異常に短気で執念深くて自己中心的でな」
「そんなに悪かったか」
「悪いさ、御前の前では隠してたけれどな」
 それがというのだ。
「実はだったんだよ」
「そうだったのか」
「まあそんな女だからな」
「忘れてか」
「新しい誰か見付けろ、いいな」
「辛いな」
 俺はツレのアドバイスに納得出来ない顔で答えた。
「それは」
「そうだろうな」
「わかってるじゃねえか」
「わかっていても言うんだよ」
 友達の俺にというのだ。
「もうあの女のところには行くな」
「それでか」
「そうだ、忘れろ」
 こう言うのだった。
「いいな」
「そうしないと駄目か」
「若しあの女のところに行くならな」
 女々しく未練がましくだ、そうするならというのだ。
「俺は御前を止めるぞ」
「縁を切るとか言うと思ったぜ」
「そんなことするか」
 ツレはここでまた言い捨てた、汚いものを語る様な声で。
「一旦ダチになったらするか」
「縁を切ったりか」
「あいつと違うんだよ、俺は」
 彼女が行ったその屑みたいにというのだ。
「あいつはそういうこともするからな」
「自分の都合が悪くなったらだよな」
「ダチと言っていた奴も裏切る」
「そっちでも評判悪いな」
「そんなことするか」
 絶対にという言葉だった。
「俺もな」
「そうか」
「そうだ、俺は御前にもそんなことはしないからな」
「だからか」
「その時はぶん殴ってでも止めるからな」 
 彼女のところに行こうとしたその時はというのだ。
「あの馬鹿女のことは忘れろ」
「それでか」
「新しい誰か見付けろ」
「本当に難しいな」
「難しいなら今は忘れる努力をしろ」
 彼女のことをというのだ。 
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