イナズマイレブン~クロスライジング~
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エンジェルティアー
前書き
ジェミニストームを破った雷門中だったが…?
「我々が負けるなんて……」
レーゼが地面に手を付き、そう嘆く。
「やったよお兄ちゃん…!これでお兄ちゃんも助かる…!!」
「良くやったな天空橋」
黒薔薇くんも私にそう話し掛けてきてくれる。
「ふふふ……いい気になっておくんだな…」
不意にレーゼがそう呟いた。
「どう言う意味だ」
鬼道くんの問いにレーゼは不敵な笑みを浮かべ答える。
「我々ジェミニストームはエイリアの中でも最弱のセカンドランクチームだ…、我々の上にはファーストランク、マスターランクが存在するのだ!」
私たちはレーゼが放った言葉の意味を理解するのに、少し時間が掛かった。
「な、何だって…!?」
円堂くんの声に私はハッとした。
私たちが一生懸命努力して倒したジェミニストーム。
しかしそのチームはエイリアの中でも最弱で、上にまだ強いチーム存在する。
そのレーゼの一言で私たちは絶望に陥った。
私の口から無意識に発せられる言葉。
「お兄ちゃん……」
一番大切な人。
そして一番大好きな人…。
そう思うほど、私の中でお兄ちゃんが遠ざかって行く。
「だろうな。手応えがなさすぎたからな」
アツヤくんがそう言い放つ。
レーゼがアツヤくんを睨みつけるが、アツヤくんは笑って見下したようにレーゼを見る。
「ふん、今のうちに笑っておけ…!お前らはあの方たちの恐ろしさを知らないのだ…!」
レーゼがそう話した時だった。
「喋りすぎだレーゼ」
「ひっ……!」
突如響いた氷のような冷たいに声にレーゼが固まる。
「デ、デザーム様……」
「よもや人間に負けるとはな」
デザームと言う名の黒ずくめの男がレーゼにそう言い放つ。
「も、申し訳ありません……!!」
「先程お前たちジェミニストームに宣告があった。お前たちジェミニストームをエイリアから永久追放とのことだ」
「そ、そんな…!お、お許しを……!!」
レーゼがデザームに向かい助けを求める。
「もう決まったことだ」
そう言うとデザームは黒いサッカーボールを出現させると、 レーゼ達ジェミニストームに向かいボールを蹴る。
「さらばだ」
「ま、待ってくだ………」
レーゼが喋り終わるより早く、ボールは怪しい光を発し
光が収まる頃にはレーゼ達の姿は跡形も無く消えていた。
デザームはそのボールを拾うと、こちらを向いた。
「貴様らが雷門中か…!私たちはエイリア学園ファーストランクチーム、イプシロン。私の名はデザーム!」
デザームはそう言うと誰かと目を合わせて居たようだがすぐに目をそらし話を続ける。
「これより私たちイプシロンは破壊活動を開始する!」
「な、何だって!?」
円堂くんが叫ぶ。
「止めたくば私たちイプシロンを倒すことだな」
デザームは少し間を開けると会話を続ける。
「私たちはこれから京都へ向かう。我々は逃げも隠れもしない、破壊活動を阻止したければ止めに来い」
そうデザームは言い切ると、ボールを掲げボールから放たれた光に包まれ姿を消した。
「決まりね、私たちはこれから京都へ向かうわ」
瞳子監督の言葉に私たちは頷く。
しかしみんなの顔は優れない、かく言う私もだ。
お兄ちゃんを助けられると言う期待が大きかった余り動揺が隠せない。
黒薔薇くんもさっきから何か話し掛けようとしてくれているが
なかなか話しかけにくそうにしていた。
「み、みんな元気出せよ!ジェミニストームだって倒せたんだ、次のイプシロンだって…!」
「……倒せるのか?」
円堂くんの言葉を遮るように、風丸くんの言葉がやけに響いた。
「勿論だ!俺たちなら勝てるさ!」
「……俺はそんなに強くない」
「え?何だって?」
小さい声で風丸くんが呟いた気がするが、その言葉は誰も聞き取れず
またしてもキャラバンの中は静寂に包まれていた。
「心美!!」
名前を不意に呼ばれた私は、驚きながら後ろを振り向いた。
「心美!」
「お、お兄ちゃん……?」
間違えるはずが無い。そこにはお兄ちゃんが居た。
「どうした、そんな情けない顔して」
お兄ちゃんの言葉に、私は涙が出てきた。
「ううん、何でも無い!」
私は涙を拭うとお兄ちゃんに抱きついた。
「おっとっと!心美…?」
抱きついてわかる。
この体温、落ち着く。大好きなお兄ちゃんに触れてわかった。
私は……、私は…!
「お兄ちゃん…。私、絶対お兄ちゃんを助けるからね……!!」
お兄ちゃんは私の頭を撫でて、頭をポンポンすると
私を離し話した。
「ああ。待ってる、頑張れ心美…!」
「うん!待っててね…!」
「う、うぅ〜ん。あ、あれ寝てた…?」
私は気付かぬうちに眠ってしまっていたらしい。
「さっきのは夢か……」
お兄ちゃんが出てきた夢。
夢の割には鮮明に覚えている。
でも、この夢のお陰で見失いかけていた事を思い出した。
「お兄ちゃん……絶対助けるよ、待っててね……!」
そう小声で私は呟き、決心を改めて固めた。
中間地点という事で、一旦休憩に入り私は外にボールを持って出掛けた。
「私がもっと上手くならないと…」
その気持ちがいっぱいだった。
クラスでも飛び抜けて運動が得意なわけで無く、お兄ちゃんみたいに
スポーツ万能ではない、私に出来るのは練習、努力あるのみ。
「そういえば昔、お兄ちゃんからシュート教わったなぁ。あの頃は出来なかったけど今なら出来るかな…?」
そんな事をブツブツ呟いていると、声を掛けられた。
「どうした練習か?」
「あ、黒薔薇くん!」
私はシュートの練習をするところと簡単に説明すると、黒薔薇くんは協力すると言ってくれて
私と黒薔薇くんは休憩時間ギリギリまで練習に励んだ。
そして……………。
「で、出来た…!出来たよ黒薔薇くん!!」
「ああ。良いシュートだった!俺もうかうかしてられないな!」
「シュート名は【エンジェルティアー】。お兄ちゃんが付けてくれた名前なんだ…」
私はこのシュートでお兄ちゃんを助ける…!
絶対にエイリア学園を倒してみせる……!!
後書き
天空橋「京都かぁ、イメージでは舞妓さんだなぁ」
黒薔薇「確かにな、俺は八ツ橋のイメージかなぁ」
天空橋「あ〜、八ツ橋美味しいよね〜」
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