Three Roses
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第三十七話 一つになってその六
「それは何よりです」
「はい、それでは」
「お二方をですね」
「そして王の弟君も」
「お三方を」
「大公の爵位を」
まさにそれをとだ、マリーは彼女の側近達に述べた。
「是非共」
「これが四国の統一になりますね」
「長きに渡って分かれていましたが」
「それがですね」
「いよいよ」
「そうです」
マリーは前を見て述べた。
「その時が近付いています」
「王が四国全ての王となられます」
ロドネイ公がここで言った。
「それにより我が国は一つとなりますね」
「その通りです」
「それが再統一ですね」
「王が四国の全ての王となられる形で」
「王の上には立てません」
ロドネイ公はこうも言った、皇帝は古の帝国の後継者だけがなれるものだ。ロートリンゲン家は東西に分かれた古の帝国の西の帝国の後継者であると教皇庁に認められてそのうえで皇帝を名乗っているのだ。
「だからこそ四国全ての王ですね」
「四つの国が同じ王を戴く」
「ロートリンゲン家も婚姻政策で多くの国の王を兼ねていますが」
「我が国も同じです」
「一つの国にですね」
「なります」
四国全ての国が同じ王を戴いてというのだ。
「その形で」
「連合国家ですか」
大司教は瞑目する様にして言った。
「四つの国からなる」
「はい、しかし同じ王です」
「そのことは変わらないですね」
「同じ国なのです」
一つの王に治められるというのだ。
「そこは同じです、そして旗も」
「それも今後は」
「我が国の旗ではありません」
「マリー様がお考えなのは」
「四つの国の旗全てを合わせた」
そうした形のというのだ。
「そうした旗を考えています」
「旗にも表すのですね」
「四つの国全てが一つになっていると」
「そうした旗にされますか」
「そうです、王は四国全ての王であられ」
「旗もですね」
「四つの国全ての旗です」
マリーは毅然とした口調のまま答えた。
「王家の紋章は四つの薔薇が王の紫の薔薇を支える」
「そういうものですね」
「思えばお姉様は北の王国の血を引いておられます」
母、側室だったこの母の血筋が北の王国の血を引いているのだ。それも傍系ではなく直系の血を引いているのだ。
「私達はそれぞれです」
「四国のですね」
「立ち場だったのですね、四国は王の下にあり」
こうもだ、マリーは話した。
「支える、王家の紋章もです」
「それが出ていますね」
「そうなります」
「四国の境がなくなれば」
どうなるかをだ、デューダー卿が話した。
「商人達も行き来が楽になり守りもです」
「互を警戒することなく」
「はい、その分を王国に向けられますし」
「楽ですね」
「そうなります」
「それもいいことですね」
「国境の関所等は全て廃します」
港のそうした監視もだ、マリーは四国が一つの国になるならばというのだ。
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