Blue Rose
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第四十七話 成長その四
「そうします」
「そちらも頑張ってね」
「わかりました」
こう答えたのだった。
「私も優花も」
「絶対によ」
「そのつもりです」
「そうしてね、後蓮見さんの過去はね」
男であったそのことはだ。
「私達の手を離れるわ」
「それじゃあ」
「八条家の方が動かれるらしいから」
「私達の知らないレベルで」
「進んでね」
そうしてというのだ。
「収まるわ」
「戸籍謄本とかも」
「どうもその辺りはね」
「知ることも出来なくて」
「気にしても仕方ないことになったわ」
そうなったというのだ。
「だからね」
「はい、このことは」
「もう終わりということで、ただ」
「ああした先生達みたいな人がまた出て来ても」
「蓮見さんの過去はわからないわ」
そうなったというのだ。
「このことは確かよ」
「そうですか」
「だからね」
「はい、もうですね」
「後は幸せになることを考えてね」
「そうしていきます」
優子は副所長に約束した。
「未来に向けて」
「そういうことでね、ではまた何かあったら」
「お会いして」
「お話しましょう」
「わかりました」
こうしたことを話してだ、そのうえでだった。
優子は電話の副所長と別れてだ、今は話を終えた。だがこの話からも優花と自分のことをさらに考える様になった。
そしてだ、交際相手にも言ったのだった。彼を喫茶店で話をしている時に。
「私の家族のことだけれど」
「ええと、弟さんだよね」
見れば丸眼鏡で少し太った丸い顔をしている、黒髪を七三に分けて清潔そうな顔だ。背は普通位で丸い身体をしている。
「確か」
「そうだった」
「そうだった」
「今は長崎にいるけれど」
「それじゃあ」
「いいかしら」
こう言ったのだった。
「それでも」
「そういうことなんだ」
「あの娘に会ったことはないわね」
「うん、まだね」
「けれど会ってくれるかしら」
「会ってだね」
「言いたいこと、わかるわね」
相手の目をじっと見てだ、優子は問うた。
「そうよね」
「うん」
相手も確かな顔と声で答えた。
「そのことはね」
「じゃあ」
「守秘義務なら」
それならとだ、彼も言った。
「僕も仕事柄ね」
「製薬会社の社員さんでも」
「守秘義務は多いよ」
そうだというのだ。
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