インフィニット・ストラトス~白き魔王達~
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第一話 悪魔の降臨
「居たぞ!あいつだ!!」
俺の目の前に、複数のIS操縦者がISを装備して立ちはだかる。
「やれやれ......俺の物を返して貰いに来ただけだというのに随分なお出迎えだな」
俺が溜め息を着くと、手のなかにあるデバイス____デジヴァイスから声が発せられる。
『邪魔するなら楽しませてくれるんだよなぁ?なぁ、俺を早く出せ!』
楽しそうに発せられるその声に、俺はデジヴァイスを胸の位置まで掲げて言う。
「まぁそれが俺とお前の契約だもんな、『ディア』」
『それじゃ始めようか、俺の遊びをよぉ!!』
その瞬間、デジヴァイスが光輝き、操縦者達が顔を覆う。その光が消えた時、俺はISを纏っていた。
世界でただひとつ、俺にしか扱えない俺専用のIS。
「なっ____!そのISはなんだ!?」
操縦者の一人が驚く。突然現れた男がISを纏い、しかも知らない物が現れたら誰しも驚く。
重厚な機械体に、顔を覆うヘルメット。浮遊しているビット二基に左手の銃。正に異形と言わざるを得ないだろう。まぁ、性能的には第二世代ISとは遜色ないが。
『デジタルアップ、《クリサグレイモン》!』
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
ディアの名乗りと共に俺は咆哮を放つ。その咆哮は衝撃となって操縦者達に当たり、それぞれが宙で姿勢を戻す。
「たかが一体!此方は四人だ、速攻で二機のISを取り戻すぞ!!」
「「「了解!!」」」
隊長格と思われる人物が指示すると、銃の銃口を向ける。
「ディア、ビットスタンバイ」
『クリサシールド、アームロック!』
ディアの指示が飛ぶと同時に弾丸が放たれる。
「やったか!?」
煙が辺りを覆う。隊長格の人間が歓喜の声を上げた。俺はそれを聞きながら銃口を宙に向け、引き金を中途半端に引く。ISのシールドエネルギーが消費され、銃口に火球が肥大化していく。
「邪魔するなら容赦しねぇよ、《メガフレイム》!」
完全に引き金を引くと、その火球が発射され、宙で爆発した。その勢いで辺りの煙が晴れ、様子が良く分かる。
「なっ......!?」
唖然とした表情で三人が固まる。それもそうだ。機体は無傷、しかも煙がある地面での正確な射撃で仲間が落とされたのだから。
『相変わらずお前の射撃の腕は凄いな、蒼真!』
ディアは笑いを堪えている様な声で称賛する。
「笑っている場合か。とっとと帰らねぇと依頼人うるせぇんだから帰るぞ」
俺は背中のスラスターを起動させ、宙に浮かぶ。
「逃がすかぁ!!」
そこに突撃してくる一機のIS。無謀も良いところだが構っても居られない。
「てめぇらのボスに伝えておきやがれ。てめえらが俺から奪った物は返してもらった。その内てめぇらの奪った残りのもん全部返しに貰いに来るってな!」
右腕のクリサシールドを横からぶち当てて地面に落下させると、反転して東の宙へと飛んだ。
暫く飛行し、陸地を見付けて着地するとISを解除し、デジヴァイスを左手でキャッチする。
『歯応えねぇな、これだと怨敵の方が遊びがいが在るってもんだな』
ディアがデジヴァイスを通して会話してくる。俺は顔に近づけてディアに話し掛ける。
「だろうよ、お前の怨敵___《オメガ》の持ち主は強い。けど、今のお前なら勝てるんじゃないか?」
それを聞くと、ディアは舌打ちして言い返す。
『どうだろうな。お前が俺を上手く扱える、もとい遊べるようになれば話は別だがな』
「精進するよ。俺の目的とお前の目的は違うが、俺が遊びを提供し続ける事を条件にお前と契約する、それが約束だろ」
苦笑しながら言う。とは言え、目的の一つは達成した。俺が持っていたIS二機をアイツらから取り返した。残りは後で必ず取り返せばいい。その為にはまず力が必要だ。
「ディア、政府とは連絡ついたか」
『ハッキング出来ない物はないと自負してる俺だぞ?とっくに済ませてある。四月にはお前もIS学園に入学だ』
ディアの言葉に頷き、拳を握る。
「まずは力だ。そして技術。お前を、そしてこいつらを完全に扱うには今のままじゃだめだ。あの時の二の舞になる」
『別に良いけどな、暴走体。沢山遊べるしよぉ?』
ディアの言葉は本気だった。からこそ、俺は首を振る。
「確かにアレは強い。けどただ強いだけじゃ駄目だ。使えなきゃ意味ねぇんだよ」
『......ま、契約は契約だ。お前の意思は俺の意思だ。これから苦労することになるだろうしな』
「お互いの目的が終わればその場で契約終了。それも忘れるなよ」
会話をしながら、俺は近くの街を目指す。
もう俺は、後戻りは出来ない。後戻りなんかしない。後悔もしない。
俺は、この電子の悪魔と共に前に進む。
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