インフィニット・ストラトス 黒龍伝説
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巡り不変の世界
前書き
これにてIS編終了。
「案外爆発するのが早かったな」
「普通に考えるなら戦力が整う前に一気に潰すと考えるのが一番なんだろうけど」
「子供の考えで言うならムカついたからの一言で片付いちゃうね」
学園祭から2週間、IS学園が物理的に休校になってしまったので住処をオーフィスに移しているオレと簪、安全と弾君の治療のために別口として蘭とその家族御一行、あと、オレの家族もオーフィスに移って貰っている。ラウラとクラリッサは帰国してしまったが、その前にISコアをプラズマジェネレーターへの換装は済ませてある。
世間はあの事件からISを忌避する方向に一気に流れた。死者14名、重軽傷者167名の大事件だ。IS学園の学園祭には基本的に生徒の保護者、あるいはIS関連の大企業の関係者、政府関係者しか参加できない。そして死者の中には大物も混じり、重軽傷者にも混じっている。
D×Dの社員募集は今も増え続け、生産速度も徐々に右肩上がりになっている。ミドガルズオルム級はドッグを拡張しながらの建造のために時間がかかっているが、艤装を除けば月産2隻にまで上り詰めている。PTに関してはプラズマジェネレーターの生産の方に力を入れ、パワードスーツとしては各国のISにプラズマジェネレーターを搭載する形のほうが数を揃えやすいと説明してある。それでもジェネレーターが週産で46、ゲシュペンストが週産で3という状況だ。
このタイミングで篠ノ之束は、火星と木星の間のアステロイドベルトからそこそこデカイ資源衛星を基地として改造し、それを地球圏まで引っ張ってきているのが確認された。月あたりまで来るのは3日後ぐらいだ。ついでに面白い声明文も出している。
『ふ~んだ、地球なんて滅んじゃえばいいよ』
あれには笑った。大した自信だ。閻水やらオーフィスやらPTでボロボロにしてやったのに、まだ自分の思い通りになると思っている辺りが笑える。
「それで、どうするの?」
「とりあえずは国連の動き待ち。裏で迎撃の打診はされてるから確実に迎撃には出るけど、それはD×Dとしてだけ。実際に出るかは家族と話し合って、それからだな。ちなみに能力は完全解禁でいい。誤認結界を地球圏内全体に張るから」
オレの言葉に簪と蘭が驚いているが、これぐらいの範囲は狭いぐらいだったりする。それだけ宇宙はデカイってことだな。
「私は多分、国からも家からも出ろって言われるかな」
「簪はそうだろうな。蘭は」
「ちょっと家族が許さないかな。出来れば家族の傍にいてあげたいし」
「それが良いさ。弾君の怪我の方は?」
「近くにいた女性を庇って背中に爆発をモロに受けて火傷と大量の破片が埋まってたんだけど、どっちも手術は終わってる。あとは、自然治癒を促しながら安静にしてれば問題ないらしいよ。庇った女性が御見舞に来た時に良い雰囲気みたいだったし、連絡先もちゃんと交換してたみたい」
「くくっ、この草食系男子じゃないとまともに世の中を歩けない中でそこまで積極的に動けるとわな。中々肝の座ってる奴だな。織斑よりよっぽど信頼できる」
「うん、自慢のお兄だよ。ところで元士郎はどうするの?」
蘭から視線を反らす。
「元士郎、もしかして」
「家族と仲が悪いんじゃあ」
「いや、その、なぁ、何回か親はやっても、子であったことなんてないからさ、どう接すれば良いのかがな。普通に笑えるようになったのも、ソーナと再会してからだし、夏休みも戻ってなかったし」
「そう言えば学園祭の時に微妙に目的地を反らしてたりしてたのって」
「まあ、なんだ、うん、逃げてたな」
「趣味の登山も逃げるためなんだね」
「うぅ、その通りです」
「もしかして、家族をオーフィスに乗せてからも?」
「行ってないはずだよ」
簪と蘭に揃ってため息をつかれる。
「ほら、元士郎のご家族に挨拶に行くよ」
「お付き合いさせてもらってますってね」
リトルグレイのように二人に両手を持たれて引きずられる。せめてもの抵抗が自分で歩かないというのが情けない。それでも二人が言いたいことは分かるんだよ。だから全力では抵抗していないのだ。それもオーフィスに乗り込んでいる一般人に開放されている食堂の前までだ。ここまで来れば覚悟も決まるさ。
身だしなみを整えて二人と一緒に食堂に入る。そのまま一直線に親父とお袋の所に向かう。
「あ~、久しぶり、親父、お袋」
「元士郎、貴方ね!!こんな素敵な娘達を引っ掛けたんならちゃんと紹介しに来なさいよ!!」
「え、いや、ごめん」
予想外の方向に怒られて素直に謝ってしまった。というか、簪達はお袋達に会ってたのかよ。
「昔からあっちへフラフラ、こっちへフラフラと、家にも帰らないで山に篭ったりして甲斐性がないし、女の子にも興味が無いみたいだから孫を抱けるのか心配で心配で。それが急に三人も引っ掛けて本人たちも納得してるし、幸せそうな顔をしてるし、D×Dの社長さんからはデータ取りに最適な人材だから直ぐにでも引っ張りたいって言ってくださるし、もう嬉しくて嬉しくて」
そう言って泣き出すお袋に罪悪感が苛まれる。こう、胃の辺りがきゅっとなる。
「母さんも言っているが、まあ、なんだ、あまり親らしいことをしてやってないが、お前の将来を心配しててな。ふらっと居なくなってそのまま見つからないんじゃないかと思うことがあった。だから、お前が、この際三股なのは置いておいて、急に居なくなったりはしないと安心したよ」
簪と蘭から冷たい視線を向けられてるのが背中越しに分かる。いや、まあ、確かに死体を偽装する準備もしてたから何も言い返せないんだけど。
「いや、まあ、なんと言うか、そうだな、ガキの頃から、早く大人になりたかった。で、子供だったから大人は油断して汚い裏側を散々見せて、ISの登場で更に人の汚い部分を見せつけられて、嫌になってたのは事実だよ」
実際、この世界の分だけでヒドイものだったからな。前世は更に酷いのを見てきたけど。
「自分以外の誰か、大人と女を本当に信じて良いのか、それが分からなくなった。それどころか、自分もそんな大人達のようになってしまったのではないかと思った。それが嫌になった。だから、人との接触が少なくてすむ山に籠もるようになった。その内、他人の信じ方を忘れた。親父とお袋の間にすら線を引かないと駄目なぐらいに。そんなオレに他人の信じ方を思い出させてくれたのがこっちの更識簪。オレの一番大切な人だ」
「やはり大人のケツは大人が拭かないとね。子供達に拭かせる訳にはいかない」
「本体の肉体年齢は子供だけどね。まあ、精神的には神に近いか」
「神様が直接手を出すと大抵酷い結果にしかならないがな」
艦橋では出撃の最終チェックが行われている。オーフィスの整備は万全だ。あとは、各国から派遣されてきた兵士達の乗艦を待つだけだ。
『こちら、技術班だ。エンジンのリミッターを半分ほど外した。これでショックカノンの威力はざっと10倍だ。最も、それでも本来の30%の威力だけどな。今回のだって過剰過ぎると思うぞ』
「それだけ本体も本気だってことさ。篠ノ之束に本気で怒っているし、本気で家族も守りたいと思っている。だからリミッターをある程度外した。なによりこれで波動砲が使える」
『地球種の伝家の宝刀、本体が宇宙海賊として地球連邦軍に対して反旗を翻すことを決めた悪魔の兵器。存在を否定するために何度も真正面から受けきったよな』
「地球連邦のメンツを徹底的に叩き潰すにはあれが一番有効さ。なんせ、3個艦隊が1隻の艦を落とせないんだ。艦の見た目も劣等人種と見下している種族の艦をモデルにして設計思想まで踏襲しているんだ。それはもう、しつこく追い詰めようとするさ。で、こっちにかかりきりになって他の戦線が疎かになって各地で独立運動が活発にもなった」
「あとは、独立運動を起こしている星系の支援を繰り返して、何時の間にやら大海賊だ。悪巫山戯でドクロの旗も用意したっけ」
「おっと、搭乗が始まったね。部屋を割り振って、艦内を案内してから発進だから、あと6時間ほどだね。その後は軌道上で1日の慣熟訓練の後に決戦だ」
「どういう戦術を取るつもりだ、艦長」
「この艦のモデルになった艦を覚えているだろう?」
「なるほど白兵戦か。だが、あの移動要塞には居ない。どうするつもりだ?」
「見せ場は作ってあげないと。装甲擲弾兵は狭い空間でこそ強さを発揮する。広い空間では反中間子対空機銃をばら撒くほうが強い」
「誤射を気にする必要が無いからな。クラスターミサイルも撃ち放題だ。なんなら波動ミサイルもばら撒くか?」
「必要があればね。必要はないと思うけどね」
目標の資源衛星が間もなく射程範囲に入る。一応、最終勧告をしておく必要がある。オープンチャンネルで勧告を行う。
「私は地球代表として今回の件の全てを任された迫水慎吾です。篠ノ之束博士、貴方にはIS学園の襲撃犯の容疑者として指名手配されている。今ならまだ穏便にことを運べるし、弁護士を付ける権利が与えられる。抵抗するようなら可能な限りの捕獲、無理なら殺害命令も出ている。その協力者たちも同じだ。分かりやすく言おう、たった数人で世界に戦争をする覚悟はあるかい?」
答えはビームの雨と展開される無人ISと無人艦だった。通信をオープンチャンネルから艦内通信に切り替える。
「篠ノ之束博士はこちらの要求を拒否した。よって、事前の作戦通り要塞を占拠する。要塞までの道はこの艦が切り開く。総員対空・対艦・対要塞戦用意!!」
「主砲・副砲は艦を機銃とミサイルはISを優先的に狙え!!」
「機関、リミッター限界まで上げろ。真正面から突っ込むぞ!!波動防壁展開!!」
「突入部隊、第1第2格納庫に集結しました!!」
「よし、各砲座撃ち方始め!!」
主砲・副砲からショックカノンが、機銃からは反中間子レーザーが、ミサイル発射管からはクラスターミサイルが放たれ、次々と無人艦とISが為す術もなく沈んでいく。
「あ~あ~、資源が勿体無いな」
「レアメタルをふんだんに使いまくっているな。だが、これは、ふむ」
「どうかしたのか?」
「あの資源衛星、コスモナイトが結構な割合で含まれているんだが、精製したあとがない。気付いてないようだな。あれを使われていると多少は面倒だったはずだ」
「使われていないならそれでいいさ。波動防壁を艦首に集中、火力を前方に集中させて。最大火力で要塞に風穴を開ける」
「波動カートリッジ弾、波動ミサイル、波動魚雷、連続装填。照準固定、進路固定、撃ちまくれ!!」
波動砲を除く全ての火力が要塞の一角を崩し、侵入口を作り上げる。
「機関最大。装甲擲弾兵出撃」
「カタパルト開放、トリガーを向こうに任せます」
「本体から念話だ。本命が向こうにかかった」
「やっぱりね。予想通りだ。それでは僕らは僕らで仕事をきっちりこなそう。侵入口に横付けして迎撃する。手の空いている者は直掩に回れ」
「やっぱりこっちに来たか。予想通りすぎてつまらんな。天災とか言われているが、所詮はその程度。10歳未満の子供に力をもたせただけ。それが心理学的に見たお前だ、篠ノ之束」
学園祭の時から閉鎖されているIS学園。その第1アリーナにオレは一人で待っていた。ある意味で礼を果たすために。ISがあったからこそ、オレは妻達と再会できた。そのことに関しては感謝している。だからオレ達に対しての無礼なんかは我慢した。だが、関係のない一般人の多くに被害を出したのは許せない。だから餌をまいてやった。戦力のほとんどを囮の要塞に差し向けて、未成年という理由でオレ達は日本にいることを、そしてオレだけがIS学園にいることを態と漏らした。すぐに食いつかなかったのは傍に彼女が居たからだろう。
「篠ノ之箒、そして織斑千冬、織斑一夏。お前達は篠ノ之束の協力者と見て良いのか?はっきり宣言してくれよ。宙ぶらりんだと面倒だからな」
三人は何も答えずに各々のISに武器を構えさせる。
「それが答えね。OKだ。これで堂々と殺せる。そして宣言しておこう。もう終わった」
「「「「なっ!?」」」」
指を鳴らすと同時に4人のISからエネルギーが完全になくなり、ただの拘束具となる。更には全身をオレのラインが覆っている。抵抗できないように筋力なんかも奪っておいて、記憶にもロックを仕込んでっと。よし、これで無力化は出来た。
「まあ、そういう訳だ。オレじゃなくて蘭の所に行っていれば戦うことは出来ただろうよ。簪の所なら静かに綺麗に殺してもらえただろう。運が悪いよ、お前達は。このまま、生きたままバラバラに解体してやる。そこで世にも不思議な体験をさせてやる。冥土の土産に持っていけ」
メスを取り出して、まずは篠ノ之箒の元に向かう。
「くっ、離せ!!私に触れるな!!」
そんなことを叫ぶ篠ノ之箒を無視して他の三人に見やすい位置に移動する。
「ではこれより生物学の授業を始める。内容は人体の仕組みについてだ」
麻酔無しでラインによる生命維持を続けながら篠ノ之箒を完全に解剖し終える。完全にばらばらになってなお、篠ノ之箒は生きている。全てを元の位置に戻して綺麗に縫合しなおせばまた普通に生きれる。まあ、精神は壊れているがな。眼球を引き抜いても神経系をラインで補ってばらばらにされていく自分を見せつけたのだからな。
「さて、次は男女での差を見るために織斑一夏、お前の番だ」
「お、オレたちが何をしたっていうんだ」
この期に及んでこいつは何を言っているんだ?
「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、お前は自分で考えるという事ができないのか?まあ、最後だからな、優しく説明してやる。篠ノ之束は人類を抹殺するって言ったんだよ。冗談じゃなくて本気でな。今、月よりも少し先、そこでは篠ノ之束が用意した巨大な資源衛星を改造して作った要塞と各国の精鋭部隊を乗せたオーフィスが戦闘を行っている。そして要塞内部から大量の核が存在していた。衛星をそのまま地球に落とせば、恐竜が滅んだ原因と言われている巨大隕石の衝突よりも酷い結果が待っている。世界中に放射性物質がばら撒かれるんだからな。地球を滅ぼそうとする相手を人類は決して許さない。世界中が篠ノ之束とそれに協力する者を殺せと言っている。さあ、疑問は晴れただろう。まずは叫ばれてもうるさいから声帯からだ」
織斑一夏も解剖し終えたあと、肉片や骨を片付ける。そして、まだ敵意を持つ二人のために特別ゲストを招待する。ぞろぞろとやってきた人たちは全部で80人と言ったところだろう。
「この人たちが誰だか分かる?ISで人生を狂わされた中でもかなりひどい部類に当たる人たちだ。本当はもっと多かったんだけど、殺されたり自殺した人も居て今の人数になった。紹介はそれぐらいで十分だろう。それじゃあ皆さん、先ほど説明したとおりです。今から2時間後までは絶対に殺さないでくださいね。ちょっとしたイベントのあと好きにしていいですから。では、ごゆっくり」
二人の悲鳴や人生を狂わされた人々の怒声や歓声を聞きながらポケモンの厳選を始める。時間つぶしにはちょうどいいのだ。ラウラを弄るためにも頑張らないとな。そして2時間後、己のリアルラックの低さを最近忘れていたオレは逆6Vだらけのボックスを見て若干落ち込みながら止めを準備する。
「はい、皆さん、注も~く。未だに心が折れていない二人ですが、その心の拠り所はもうすぐ世界を滅ぼせるから。そんなところでしょうが、そんなのは夢幻であることを社長達が証明してくれるようです。空を見てください。あの月よりは小さく見えるのが、二人の希望。それが」
天体に影響の出ない角度で波動砲が衛星を飲み込み、跡形もなく消滅させる。うぅ~む、いつも向けられていた側からするとなんか微妙に印象が違うな。もっとしょぼい感じがしてたんだけど、弄ったのか?
まあどっちでもいいだろう。篠ノ之束の心が完全に折れる音が聞こえた。織斑千冬もそんな篠ノ之束を見て少しずつ心が折れていっている。
「いやぁ~、最高の花火でしたね。それじゃあ、あとはお好きにどうぞ。死んだ時だけはD×Dまで連絡を入れてくださいね」
あの四人が死んで10年、最後の情けに名を隠して戒名のみを刻んだ墓を参ってやる。世は大開拓時代であり、大惨事、もとい、第三次世界大戦の真っ只中。地球上での武器の制限を行ったために戦場自体は月と火星に集中しているが、徴兵されて宇宙に上がる者達が多い。
IS学園は学園祭の後、正式に閉鎖されることが決まった。だが、そのままでは生徒たちのこともあるためPTの専門学校に残りの二年半だけ運営することとなった。基本は同じなためPT関係の企業に路線変更などが行われ、卒業後はそちらの方へと就職していった。ISと違い、PTの数には制限がないために受け皿を大きくすることが容易だったのだろう。だが、身体や心に傷を追って学園を去った者も少なくはなかった。
ラウラも軍人として学園を去った口だ。それを補佐するためにクラリッサもドイツへと帰っていった。まあ、長期休暇の度にドイツに遊びに行ったり、クラリッサに至っては普通の休日どころか平日でも夜に転移でこっちに来ることすらあった。
オレや簪、蘭は普通に大学に進学、前世では出来なかったキャンパスライフを楽しみ、卒業後はD×Dに就職。その一年後に簪と籍を入れ、結婚式は三人全員とした。
D×Dは万能航行艦やプラズマジェネレーターを量産する傍らで事業を拡大し、レスキュー用のロボットや培養治療や没入型VRゲームなど様々な分野に手を出していった。こっちには世界の終わりまでの技術がある。これらをきっかけに産まれた新たな技術を掬い上げるのが昔からのオレのやり方だ。
そして火星の領土を求めて始まった第三次世界大戦についてだが、日本はやはりノータッチだ。中立国として動いているというより、関わるなと言われている感じだし、関われないのが実情だ。何故なら地球以外での領土を一切持っていないからだ。精々が傷病人を受け入れたりする程度が限界だ。国としては情けない限り、いや、そうでもなかったな。お隣さんは大事故を何度も起こして国民を殺しまくってるからな。
それから国としては情けないが、国民単体で見るとこの戦争で活躍しているのは日本人が多い。好意的に言えば職人気質、それ以外だと変体気質とでも言えば良いのか、二次元を三次元に作り上げたと言えば良いのか。PTを元にMSを作り上げて、新たな合金を作り上げてスーパーロボットまで作り上げたり。日本の職人に十分な資金と中途半端な資材を与えると碌なことにならないな。中途半端な資材を十分な資金を持ってして捏ね繰り回して技術革新を起こす。日本ではよくある光景だ。最先端の機械よりも超一流職人が手作業で作り出した方が精度が高い変体の国だからな。この戦争の兵器の六割が日本人の作った物だ。手作りというわけではないが、マザーマシンの開発は日本の職人の手作業だ。
そんな第三次世界大戦も開戦から半年で決着が付こうとしている。何事もなければ、中国・韓国・インド連合とそれを支持していたイスラム圏の国々が敗れ、EU連合が勝利するだろう。それと同じぐらいにアメリカとロシアの月の鉱山を廻る戦争がロシアの勝利で終わる。
「元士郎、そろそろ行こうか」
「だな。まあ、近況は報告したからな。ソーナ達と再び巡り合わせてくれた恩は絶対に忘れないからな」
墓への報告を済ませて立ち去る。世界は変わったが今日も争いに満ちている。
後書き
本来なら拷問シーンが入っていたのですが、あまりにやばすぎて容量が半分以下になりました。お酒って怖い。
それは置いておいて前書きの通り、IS編終了です。うん、IS編。ちょっとオーフィスを拾ってその先、if編まで持っていきたいと思ってます。
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