渚怺のチュートリアル
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プロローグ
雪の街から#1
前書き
基本的に、主人公視点での話です。
所々文章がおかしいですが、ご理解いただければ幸いです。
ほんの一瞬、額に冷たい感触がした。
あまりにも唐突なものだったので、俺はふと目を開けた・・・
目に映るもの、それは澄んだ青空だった。
何だか、幻想的な異空間のようにも思える・・・
少年「・・・・・・・」
どうやら、俺は仰向けになっているようだ。
倒れた体をむくりと起き上がらせる。
と同時に、電撃が走るような頭の痛みに襲われた。
正確には頭が凹んだかのような痛みだ。
何かにぶつけて頭を打ったのかもしれない・・・
幸いにもけがはしていないようだ。
少年「ここは、何処だ・・・?」
当たりを見渡す。
まず目に飛び込むもの、それは野原一面を覆う雪景色だった。
何処までも続いている銀世界、そこに俺は迷い込んだということになる。
このとき、なぜか俺は
「くそぅ・・・何処か知らんが、どうせなら一面のお花畑が良かったちきしょ~!!!」
そんなことを嘆きたかった。
案の定、近くにこの嘆きを聞いてくれそうな人は1人もいなかった。
ある意味な異世界のように感じる。
辺りは静寂で満ち溢れていた・・・
しかし寒い・・・
この寒さじゃ、氷点下は下回るか否かのところだろう。
遠くに見える森の木々は、雪の衣を纏っていた。
少し前に雪が降ったのだろう・・・
そう判断することにした。
そして、まだ痛い頭を片手で抑えながら、なんとなく雪で覆われた野原を歩いて行った・・・
こんな何にもない世界にも誰かしら人がいるかもしれない。
そんな、可能性が0に等しいことが起こることを願いながら・・・
Seputember 1st
=Sunday=
車掌「まもなく~弘前~・・・お忘れ物の無いようご注意ください・・・」
そのアナウンスを聞いて、俺はふと目を覚ます・・・
電車が左右に揺れて、まもなく速度を落とし始めた。
変な夢でも見ていたんだろう・・・
汚い話、口からわずかに垂れていた涎がそれを物語ってる気がした。
電車を降りて、親からもらった地図を頼りに歩き始める。
と言いても、汚い殴り字で書かれていた。
それでも、この地図を頼りに歩かなければならなかった。
俺は親といろいろあってこの街に一人暮らしをすることになった。
正確には親と大喧嘩して、この街に逃げてきたのだ。
それでも、月8万は仕送りってくれるそうだ。
そして足りない分は自分で稼いで何とかやっていけ!と・・・
何故だか知らないが、この街は16歳から一人暮らしが出来るのだ。
最初にそれを知ったときはものすごく驚いた。
俺が住んでいた街では、18歳からじゃないと一人暮らしができないからだ。
この街に初めて来たのは10年前だっただろうか?・・・
当時の俺は6歳で、親が一度でいいから旅行してみたいという理由で連れられた。
もっとも、ここに旅行しに来たことがあったということをきれいさっぱりと忘れてしまったが・・・
そんな俺は探していた・・・
この街のどこかにいる誰かを・・・
引っ越したとかもう亡くなったとか、
とにかく何処かへ行ってしまったということはこの際抜きに考える。
この街に、今も暮らしてると信じたかった自分がどこかにいたからだ。
だから、そういうのは考えず、きっといると信じることにした。
だが・・・
その人が誰で、どういう特徴があって、いつ何時に会っていたのかさえ、俺は忘れていた。
唯一覚えているのは、その人が俺と同い年の女の子だというとこだけだった。
だけど、それしか覚えていなかった。
俺はその子と何をしていたんだろう・・・
同じ趣味があって、俺と同じ性格なのだろうか?・・・
考えても分らない。
恐らく一生見つからないであろう。
だけど、そういうのは意外に身近にいるものが小説や漫画の鉄板なのではないだろうか。
正直全然大丈夫じゃなかったが、
「大丈~夫♪きっと見つかるさ・・・」
と、心の何処かで思っていた。
むしろそうなってくれればそれに越したことはない。
そう考えることにした。
地図を確認する。
正直なことを言うと、さっぱりわからん・・・
字が汚すぎて読めないということも確かにあるが、俺はそれ以前に深刻なことがあった。
この際断っておこう。
俺は極度な方向音痴な上に地図を真面に見たことがない。
俺はこの街でこれから暮らす家に向かいたいのだが、それが何処にあるのかを知らない。
おまけに住所も知らないし、渡された地図にも明記していない。
一度だけ口頭で説明されたことがあったが、思い出せない・・・
「くそぉ・・・こんなんになるんだったら、家を出る前にもうちょっと詳しく聞いておくべきだった。」
なんてことを言うのはあまりにも遅かった。
後悔と不安しかない。
多流人「俺はど~すればいいんだぁぁぁぁぁーーー!!」
今更悩んでも仕方がない。
もっとポジティブに考えよう。
そうだな・・・
こういう時こそ人間の本能のままに動けばいいと教わったことがある。
「勘で何とかなるだろう」
と言い聞かせ、本当に何とかなるのを切実に祈る・・・
本来なら誰かに道を聞けばよかったのだが、このときはそんなことを考える余裕はなかった。
後々になって、
「そう言えば・・・」
とかなんとか軽いノリで気付いたが、後の祭りだった・・・
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