ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
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46部分:魔剣その七
魔剣その七
「済まない・・・・・・俺が早く気付いていたら・・・・・・大丈夫だったか?」
「うん。レイリアとラーラが助けてくれたおかげで何とか・・・・・・」
「そうか・・・だから二人共ここに・・・・・・じゃあ牢の鍵はラーラが・・・・・・」
「ええ、だからあたし助かったの。そしてアレスも来てくれた・・・・・・・・・ずっといてくれる?」
「リーン、もう俺は離れない。御前をずっと抱き締めてやる。ずっと御前を護ってやる。死ぬまで離れないからな」
「アレス・・・・・・」
リーンの瞳から涙が溢れ出しアレスの黒い軍服を濡らす。二人はそのまま抱き締め合っていた。
二人が館を出たときダーナには解放軍が入城していた。街の人々は歓喜の声で彼等を迎えている。
館にある一団が進んで来た。皆解放軍の主たる将達だ。四十人程いる。その中にはブライトンやマチュアもいる。
「二人共無事だったんだな」
アレスが微笑む。
「ああ、解放軍に助けてもらった」
「それで考えたんだけどあたし達解放軍に入ることにしたの」
「そうか・・・・・・」
一団の中心にいた少年が前に出て来た。アレスの藍氷色の瞳の光が別の種の輝きになる。
「君が黒い服の騎士だね。話は聞いたよ」
「あんたは?」
「僕?僕はセリス。解放軍のね」
「・・・・・・そうか、貴様がセリスか」
鞘から剣を引き抜いた。そしてセリスに突きつけた。
「俺の名はアレス。貴様の父シグルドに殺されたノディオン王エルトシャンの子だ。父の仇を討つ為、御前を殺す為に今まで生きてきた。今ここで親父の仇を取ってやる!」
「えっ・・・・・・」
一同は騒然となった。シャナンとオイフェが二人の間に割って入り一同がセリスを守る為取り囲む。
「どけ。さもなければ貴様等も斬り捨てるぞ」
シャナンがバルムンクを抜く。一同も剣や槍、斧を構える。弓や魔法も今将に放たんとする。だはそれをオイフェが止めた。
「お止めください、シャナン様!皆も武器を収めよ!彼は誤解しているだけなのだ!」
「オイフェ・・・・・・」
「私はあの場にいたから知っております。シグルド様はエルトシャン様を殺してなぞしておられません!」
「何っ、どういう事だ!?」
レヴィンも前へ出て来た。
「君はその話をおそらく君の母上から聞いたのだろう。君の母上はその時アグストリアにいなかった。真相を知らなかったとしても無理は無い」
「くっ・・・・・・・・・」
「御免、皆ちょっと通して」
セリスが出て来た。
「セリス様・・・・・・」
「良いんだオイフェ。・・・・・・アレス王子」
セリスはアレスに向き直った。
「君の父上と僕の父上は親友同士だったという。そんな事があったとは考えられない。ここは剣を収めてくれないか」
「・・・・・・・・・」
アレスはゆっくりとムストルティンを鞘に戻した。
「信じてくれ、なんて虫の良い事は言わない。けど君の信じている事が若し真実なら・・・・・・・・・その時は君の好きなようにすればいい」
アレスは暫く俯いていたが顔を上げた。
「良いだろう、この場は許してやろう。だが忘れるな。貴様の首は俺が取ってやる」
「好きにすればいい。それ位の覚悟は出来ている」
「・・・・・・その言葉憶えておけ」
リーンが出て来た。
「あの・・・・・・セリス様・・・・・・」
「君は?」
「リーンと申します・・・踊り子です。アレスの・・・・・・知人です」
「アレス王子の・・・・・・」
「あの・・・あたしも解放軍に入れて下さい」
「え・・・・・・けど・・・・・・危ないよ」
「それは解かってます。けれどあたしの踊りで皆を元気付けられると思うんです。ですから・・・・・・お願いします!」
「う〜〜ん、父上の軍にもシルヴィアという踊り子がいて皆を元気付けていたというし・・・よし、君の参加を歓迎しよう。ただし無理をしちゃいけないよ」
「はい・・・有り難うございます!」
リーンは深々と頭を下げた。
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