穴熊のトミーのお話
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第一章
穴熊のトミーのお話
穴熊のトミーの服はいつも汚れています。
その汚れている服を見てです、彼のお友達の狐どんは呆れて言いました。
「いつも思うことだがね」
「服が、だね」
「そうだよ、汚れ過ぎているよ」
こうトミーに言うのでした。
「泥でね」
「わしの家は穴でね」
穴熊だからです、トミーは自分で掘った穴に住んでいるのです。それで自分が掘った穴に入る時になのです。
「雨が降るとね」
「穴の入口が泥で汚れてだね」
「それでだよ」
「あんたの服は汚れているのか」
「そうだよ、よくね」
「理由はわかったよ」
狐どんはトミーのお話を聞いて頷きました、ですが。
そのうえで、です。トミーにあらためて言いました。
「しかしだよ」
「服が汚れたままはというんだね」
「それはよくない」
狐どんはトミーに清潔という観点から言うのです。
「いいかい、服はだよ」
「いつもだね」
「清潔にしておかないと」
「服もだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「いつも奇麗にしておかないと」
「しかしね」
「入口がだね」
「そうだよ、穴だからね」
穴故にというのです。
「入口がどうしても汚れてしまうんだ」
「理由はわかった、それならだよ」
「それなら?」
「わしが協力しよう、そしてだ」
狐どんはトミーにさらに言いました。
「兎のバウンサーさんやピーターの親父さんも呼ぼう」
「兎の人達もかい」
「そうだ、三人いればだ」
まさにというのです。
「何とやらの知恵というからな」
「成程な」
「とにかく服が汚れたままなのはよくない」
狐どんは紳士なので服装のことは五月蝿いです、とにかくいつも清潔にしてそのうえできちんと整えていないと気が済まないのです。
だからトミーにもです、こう言います。
「理想はアイロンもいつもかけてだが」
「わしは肉体労働でね」
「それはわかってるさ、しかしね」
「しかしだね」
「洗濯をして常にね」
それこそというのです。
「清潔にしてこそだよ」
「だから泥なんかは」
「もっての他だよ、ではね」
「うん、あんたとバウンサーさん達とだね」
「何とかしよう、言っておくが友人として見ていられず行うから」
そうしたものだからというのです。
「お金はいい」
「太っ腹だね」
「精々ウイスキー、最高級のスコッチで我慢しよう」
「わしが持っているのを知っているのか」
「まさかと思ったが持っているのか」
「むっ、カマをかけたか」
「そうとも、そしてその通りだったな」
狐どんはにやりとしてトミーに返しました。
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