Ｂｌｕｅ　Ｒｏｓｅ

「俺達はな」
「新聞記者もかよ」
「俺達は権力と戦っているんだぞ」　
　鍛冶元は柄の悪い動きで龍馬に言った。
「正義の為にな」
「脅迫する奴に正義なんてあるのかよ」
「正義の味方だからこれ位はいいんだよ」
　脅迫し女性や金銭を自分のものにすることはというのだ。
「真実を報道して悪を成敗してるんだからな」
「権力が悪かよ」
「そうだろうが」
「じゃああんたは何なんだ」
　鍛冶元を指差してだ、龍馬は問うた。
「一体な」
「言っただろ、正義の味方だ」
「正義の味方が何の力もない女の子脅迫するのかよ」
「だから正義をやってるんだからな」　
　それ故にというのだ。
「ばれない位のことはいいんだよ」
「くっ、こいつもか」
「屑ね」
　優子も言った。
「完全に」
「そうですね」
「それも見下げ果てた」
「おい、誰が屑だよ」
　衝夫は優子と龍馬にすぐに言い返してきた、それも目を怒らせてだ。
「一体」
「だから貴方達のことを」
「さっきから言ってるだろ、俺達はな」
「偉いっていうのね」
「先生様だぞ、それに新聞記者様だぞ」
「その仕事だからっていうのね」
「そうだよ、こんな偉い仕事はないんだぞ」
　あくまでだ、衝夫はこう言うのだった。
「それで屑呼ばわりか」
「人間としてね、いえ人間以下ね」　
　優子は衝夫を見据えて吐き捨てる様にして告げた。
「最早」
「それで屑って言ったのか」
「そうよ、何度でも言ってあげるわ」
「このアマ、ふざけやがって」
「まあ待て、弱みは握ってるんだ」
　怒る衝夫をだ、鍛冶元が止めた。そのうえで優子達にまた言ったのだった。
「言ったよな」
「優花のことをっていうのね」
「そうだ、わかってるよな」
「わかってるわ」
　明らかにとだ、優子は平然と返した。
「そのことはね」
「じゃあ言うことを聞いた方がいいと思うんだがな」
「どうして私達がここにいるか」
　それはというと。
「そのことを考えてみたらどうかしら」
「？どういうことだ」
「こういうことよ」
　ここでだ、副所長がだった。自分の携帯を取り出してそのうえで携帯の向こう側にいる相手にすぐに話した。
「お願いします」
「わかりました、では」
「証拠はです」
「もう、ですね」
「こちらにありますので」
「こちらも聞いていました」
　携帯の向こうの相手も答えた。
「既に」
「それでは」
「今から行きます」
「何だ、今のは」
「貴方達の天敵とお話をしていたのよ」
　副所長は鍛冶元の目を見据えて彼に告げた。