オズのアン王女
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第五幕その十二
「そうだと思うわ」
「それでなの」
「歩くのが速いのよ」
「成程ね」
「本当にこの速さなら」
「すぐに戻れるっていうのね」
「ウーガブーの国までね」
ドロシー達の場合は今回の冒険の目的地になります、アンにとっては戻るべき場所が彼女達にはそうなるのです。
「順調にね」
「それじゃあこのままね」
「歩いていきましょう、それに」
「それに?」
「起こったら」
グリンダが予言されているそのことがです。
「前兆があったらその時点でよ」
「オズマ姫がなのね」
「連絡してくれるから」
携帯からです、何しろオズマはオズの国のことならいつも見ているからです。勿論お友達であるドロシー達のこともです。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、今の調子で行きましょう」
「わかったわ、じゃあ歩いていきましょう」
「はい、しかしアン王女が歩くことが速いのは」
大尉もここで言います。
「脚が長いせいもありますね」
「そんなに長いかしら」
アンは大尉の言葉を受けて自分の脚を見ました、ズボンに覆われているそれを。
「私の脚って」
「そう思いますが」
「そうかしら」
「長いと思うよ」
トトもアンに言います。
「王様の手は長いっていうけれどね」
「私の脚は長いのね」
「ウーガブーの王女さんの脚はね」
そうだというのです。
「長いよ」
「ううん、別に長いと思わないけれど」
「長いわよ」
ドロシーがまたアンに言いました、くすりと笑って。
「私がアン王女と同じ位の背でも」
「私程にはっていうの」
「アン王女程脚は長くないわ」
「そうなのね」
「ええ、だからね」
それでというのです。
「脚の長さもあってね」
「私は歩くのが速いのね」
「そうだと思うわ」
「成程ね」
「王様は手が長くて」
トトの言葉をです、ドロシーも言いました。
「アン王女は脚が長いのよ」
「そしてその脚を使って」
「歩いてね」
「ものを見て回って国政を行っている」
「そういうことかしらね」
「じゃあこの脚の長さを使っていくわ」
自分でもこう言ったアンでした。
「是非ね」
「ええ、そうすべきよ」
「やっぱりそうよね」
アンはドロシーの言葉ににこりと笑って頷きました、そしてそのうえでウーガブーの国に皆を案内するのでした。長い脚で歩きながら。
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