ガンダムビルドファイターズ ~orbit~
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自由なガンプラ
前書き
どうも、お久しぶりです。心はいつも自由(フリーダム)です。今回の話は、比較的文字数が少ないです。というか、書くのが難しかったです。なので、作者でも「読まなくても分かる!多分これ駄目なやつや!(イッテQ風)」となりました。なので、暖かい目で読んでください。
では、本編をどうぞ。
ワイワイッ
キャッキャッ
「…………私、なにしに来てるんだっけ? 」
子供達が笑っている中、本来の目的を思い出そうとする。だが、それは両袖が引っ張られ、すぐに現実に戻される。
「おねーちゃん、遊ぼ? 」
「わたしともー」
小さい女の子二人がジッとこちらを見つめ、バレないように小さくため息を吐く。
「分かったわよ。なにして遊ぶの? 」
「え~とね~、おままごと! 」
「おままごとおままごと! 」
「おままごとね。じゃあ遊びましょう」
「やった!じゃああっちでやろ! 」
「早く早くー! 」
子供達は走りだし、連れていかれるように引っ張られる。
「ハルカゼコーチもミサキさんも、何を考えているのかしら………」
おままごとをしながら、今までの事を振り返る。
ここに来てから、指導というものは無く、強いて言えば子供達の名前と世話の仕方だ。ガンプラ関連等一切無い。
「はぁ…………」
再度、小さくため息を吐く。もうここに来てから一週間は経つ。今頃みんなはどうしているのだろう。
ーーー――
「アマネさん…………今日は第二水曜日だから、ある部屋に連れていく……」
「ある部屋? 」
「そう…………子供達も一緒だから、あとで案内する……」
それだけ伝えられ、ミサキさんはどこかに行ってしまった。
「ある部屋ってなにかしら…………あっ、もしかしてあそこ? 」
ここに来た一日目。園内を案内されたが、ある区域から奥は案内されなかった。保育園の外から見た限り、そこそこ大きな建物だった。
「なにがあるのかしら…………」
「おねーちゃん、どーしたの? 」
男の子が心配そうな顔で、こちらを見上げてきていた。それに対し、しゃがんで目線を合わし、笑って答える。
「なんでもないわ。大丈夫よ」
男の子の頭を撫で、しっかりしなければと心の中で思う。
そうよ。まだ焦る時じゃないわ。ここに来させたのも、きっと何か意味があるはず。………………ハルカゼコーチだと、少し不安ね。
ーーー――
「それじゃあ、行こう……」
ミサキさんに連れられ、子供達と一緒にある部屋に案内される。部屋は真っ暗で、とにかく奥に詰めるよう誘導する事にする。
「あの…………ここで何をするんですか? 」
「それはお楽しみ……」
勿体ぶらずとも教えてくれればいいのに…………。
暗闇にも慣れてきた所で、急に部屋が明るくなる。いや、違う。床から青白い粒子が、溢れ始めているんだ。
「これって───! 」
プラフスキー粒子!?
空間一帯が輝き、あまりの眩しさに目を瞑る。ゆっくりと目を開いていくと、信じられない光景が、視界に映った。
ガォー キュキュ ワンワン ニャー
何も無かった部屋には緑が広がっており、その中には、多種多様のガンプラが動き回っていた。
全てとまではいかないが、バトルするためのガンプラではないものが大半だ。
「みんな、今日もここで遊んでいい…………怪我には気をつけるように……」
はーい!と、子供達が元気に返事をし、バラバラに分かれていった。
「ミサキさん、これって…………」
「昔、カルロス カイザーが考案したシステムが正式採用されたもの…………プラフスキー粒子でガンプラを読み込んで、AIで動くようにしている……」
「プラフスキー粒子で…………」
「そう…………ちなみに、ここにあるガンプラは、あの子達が作ったものもある……。よかったら、見て遊んであげて……」
背中を押され、子供達の中へと入っていく。子供達はガンプラと追いかけっこをしたり、肩に乗せたり、じゃれあったり等をしていた。
そのどれもが、子供だからこそ思い付くのだろうか、アクセサリーや装飾、彩飾が施されていた。ものによっては、改造されているのもあった。
「…………これって、ミサキさんも作っているんですか? 」
「うん…………子供達だけでやらせるのは、不安だから……」
「やっぱりですか。なんか、この年代にしてはよく出来ているって思いました。
それに、改造の案も。私じゃ、思い付きません」
なんというか、全体的に自由だ。固定概念が無く、思うがままにやっている感じだ。楽しさに溢れている。
「………………ここにあるガンプラの案は、全部あの子達が考えた……」
「え? 」
「私は、あの子達が再現できない物を作っているだけ…………私の案じゃない……」
と言うより、思いつけない……っと、付け足して言われた。じゃあ、ここにあるのは、全部子供達の案…………!?
「歳を重ねるごとに、発想の幅が広くなっていくようで、狭くなったりもしていく…………けど、子供達と触れていくと、思いもつかない自由な発想が出てくる………」
「じゃあ、ミサキさんはそういう理由でここで働いているんですか? 」
「違う…………単純に、お世話するのとか、子供とかが好きだから…………私がその考えに辿り着いたのも、結構前……」
「そうなんですか…………」
「トウイ君があなたをここに選んだ理由は、多分そういうことだと思う…………もっと自由に、自分の思うように作ればいい……」
もっと自由に、自分の思うように…………。
子供達へと視線を少し向け、すぐにミサキさんへと移す。
「分かりました。やってみます」
「頑張れ…………あともう一つ……」
少し間を空けてから、ミサキさんは続きを言う。
「誰かを想って作るのも、大事…………例えば、あなたのパートナーとか……」
「へっ!? 」
「ビルダー、なんでしょ……?そして、ファイターと組んでいる……。カグラ レイ君…………だっけ……? 」
「は、はい…………そうですけど……。けど、それが何の関係が……? 」
「これは私の持論だけど、何事も、誰かを想って作った方が、うまくいくと思う…………あくまでも、私の持論だから、真に受けなくてもいい……」
「は、はぁ………一応、覚えておきます」
誰かを想って作る…………そんな事、今までやったことがないわね。けど…………悪い気はしないわ。
「………………うん、大丈夫そう……」
私の顔を見て、頷きながら言われる。すると、ポケットからメモリを取り出してきた。
「アマネさん、トウイ君から宿題を預かってる……」
「宿題? 」
ミサキさんからメモリを渡され、首を傾げながら受け取る。
「これは? 」
「データが入ってる…………それを完成させるのが、あなたの最終課題……」
「データ…………ということは、中はガンプラの案ですか? 」
「それはあとで自分で確認するように…………けど、まだ取りかかっちゃ駄目……」
「じゃあなんで渡すんですか? 」
「心の問題は大丈夫だと判断したから…………あとは、技術不足の問題……。
まだまだ未熟で、今の全国で通用するかどうかも分からない…………それじゃあ、ファイターがよくても、ガンプラが追い付かない……」
ストレートに、ザクリと心に刺さる言葉を言われた。確かにまだ未熟という自覚はあるけど、そこまで言う必要がある?
「…………ログを見せてもらった………暴走している時の、ログを……。あなたのガンプラは、あの暴走に耐えきれてなかった。けど、耐えた…………その理由は、ダメージレベルがBに設定されていて、バトル終了後のダメージ反映が低いから……。
そしてもう一つ…………暴走中に溢れ出る粒子が、機体の装甲や関節部を、内部と外部から固定してたから…………暴走してるのに、繊細な粒子コントロールだった……」
「っ!? 」
「あなたも、心当たりがあるでしょ……? 」
「…………はい」
実際に、一度この目で見た。コーチの研究所で、カグラ君がバトルしている時に起きた。黒い翼を発現した姿と、赤と金色の光を纏った姿。
比較的直撃が少ない黒いアルケオニスでも、機体に入った亀裂は、内部奥深くまで浸透していた。
カグラ君が使用していたものに関しては、内部からの破損が酷すぎて、下手に触れると割れるという事すら起きた。
「だから、あなたには技術向上してもらう………仕事が終わったら、本格的に特訓を始める…………覚悟はいい……? 」
「…………はいっ! 」
「じゃあ…………まずは、子供達の相手をしよう……」
ミサキさんは笑顔で言い、子供達の所へと向かっていった。
「自由な発想…………誰かを想う
…………この想い、この感じ…………私の中でも、何かが掴めてる気がする。今はまだイメージは固まってないけど、この想いをきっと、形にしてみせる。全国でも勝ち抜けるような機体を仕上げてみせる」
決意を新たにし、ミサキさんのあとに続くのであった。
後書き
さて、残りはあと一人ですね。閑話を挟む可能性もありますが、ひとまず早めに更新します。(書きたい話を早く書きたいので)。
では、また次回にお会いしましょう。
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