こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第1話。変人の弟。
2度目の生を受け8年程の歳月が過ぎた。まぁ幼少期なぞ基本走り回っているだけだが、この体マジでヤバい。
100m1秒とかそんなレベルとはではないが、今からでもオリンピックで世界記録つくれるよ。フルマラソンを100m9秒間隔で軽く完走できそう。
42.195kmを1時間ぐらい。大手町から平塚に走っていくのに『どこ行くの?』『ちょっとそこまで!!』ってノリでいけるわ。
こんなチートボディで悪戦苦闘するのかと思いきや、案外力加減は容易であった。このためにあの幼女はわざわざ赤子の中に魂を入れてくれたのかな?
まだアポロストロスとしての力(能力?)は試してない。つうか使うの怖い。いつ使うか?もう『アンリ・マユ』と対峙した時だけで良いんじゃね?どんなんかしらへんが。
まぁ正直この体のことよりも大変なことが一点。
「ニイちゃ~ん。」
およ?噂をすればなんとやらだ。バタバタと慌ただしく走り俺が寝ていたベットにダイビングヘッドをかます。
「バタバタ走んなっていっただろ?シロちゃんよ。」
「えへへ~。」
ん。聞いてないですわ。
双子の弟であるシロちゃんは、気づいたらベッタベタのブラコンになっていた。どうしてこうなった・・・・
前世では子供もいたし、始めての子供が双子だった我が両親が大変に思えたため、ついシロちゃんにあれやこれやとしてやってしまう俺。
聞き分けのいい良い子であったシロちゃんは、4歳になったころにはもう手のかからない子になっていた。
しかし、赤い髪毛が気に入らないから俺がペンキで黒に染めてやったらパキパキになっちゃって大泣きして
「ニイちゃんなんか大っ嫌い!!」
と顔を真っ赤にして怒ってたのに次の日にはニイちゃんニイちゃんと寄ってくるシロちゃん。何この子カワイイ。よ~しよしよしよし(ムツゴロウスタイル)
みたいなことを繰り返していたら、こんなニイちゃん子になってました。なんでや。
いじめるだけいじめて急に優しくする。
なにこれ調教?
と、まぁ兄弟仲良く過ごしてます。でも10年後もこうだったら嫌です。深紅のバラが咲いちゃうわ。
情ねっつの赤いバラ~そしてジェ~ラシィ~
母親に作ってもらった朝食を美味しく頂き、本日は日曜日。よし、出かけるか。
「ニイちゃんどこ行くの?」
「ほよ?散歩ね。」
「じゃ!僕も行く!!」
「ほな、いこか。」
日課となってる散歩と、ついでのついでのついでで『アンリ・マユ』探し。まぁこんなんで見つかると思ってないのですよ。
よって目的もなく歩き回る散歩だったりする。20kmぐらい歩いたこともあるよ。
家には近くの交番とか町中にある地図で、居場所を確認してから帰ります。日本でよかった!町中に交番や細かい町案内があるのは日本だけ!!
見慣れない景色を見るのとか好きなんですよ。ちなみにシロちゃんも僕の後ろをチョコチョコとちゃんとついてきます。
小さい時から(と言うのも歩き始めてから)シロちゃんに合せて歩く距離を増やしていったからか、アホみたいに健康足です。
たまに俺が衝動的に走り始めるので体力も6歳児のものではありません。シロちゃん、お前が日本の陸上界を支えるのだ!
話は変わるが、Fateっていつ始まるん?たしか主人公たちは高校生だったよな?
この間、タウンページで『エミヤ』を調べたら無かった・・・・
なんやねん。他に覚えてる名前ないし・・幼女に聞いておけばよかったかのう?
なんとなく『ダメット』さんも探してみた。当たり前だが載ってなかった。残念。ダ○キンならあったのに・・・・
一日中歩き回ってご飯食べたらシロちゃんは眠くなってしまったらしく、船をこき始めたご様子。
「シロちゃん。そろそろ寝よか。」
「にゃ~」
何この子カワイイ。
「ほな寝よか。」
「ふにゅ~」
カワイイ寝顔で速攻で寝るシロちゃん。さて、今日も平和だった。明日も平和だろう。よし、寝よ。
目がされたら家が崩壊してた。具体的に言うと2階建ての家が1階建てになっていた。ふぇ?何これ?
自分たちは2階に居たのだが、運よくベットごと物がない和室に落下したらしい。
周りを見渡すと火・火・火・火・・・まぁ大火災な訳ですよ。全然平和じゃない。運がいいのか我が家は燃えてないようですが・・・・
ベットの上のシロちゃんはいまだにスヤスヤとお休み中。おお、弟よ。お前は大物になるぞ。
「シロちゃん。起きて、シロちゃん。」
「う~~。おはようニイちゃん。ふぇ?何これ?」
現状に対する俺と同じリアクションに血を感じた。
「家壊れちゃったの?」
「そうみたいやね。俺らは助かったみたいだけど・・・」
「!ニイちゃんあれ!!」
「ほ?」
シロちゃんが指差した所に目を向けると、何やらドロドロとした泥の様なものが近づいてくる。しかし、
「なんか恐る恐るって感じやな。」
「そうだね。」
何かにビビってる感が否めない。・・・・とりあえず威嚇しておくか。
「ニャーーーーーーー!!」
泥みたいの(ビクゥ!!)
一目散に逃げていく泥みたいの。はぐれメタルみたいだ。倒しておけばよかったかな?
「なんや、猫嫌いなんかい。」
「可愛いのにね。」
「ほんまニャー。」
「ニャー♪」
幸い家も燃えてないが、おそらく一階に居た両親は・・・・恐らく、助からないだろう。
俺は両親と言うよりも友人のような感覚だったからか、悲しい気持ちになるが、取り乱すほどではない。
しかし、シロちゃんは違うだろう。わざわざ教えて悲しませることなぞ俺には出来ない。
今の俺に出来ることは、シロちゃんを不安にさせないこと。だから俺は・・・・
二人でにゃーにゃーと猫合唱をしながら救助を待つことにした。
「にゃーにゃーにゃにゃー♪」
「にゃーにゃーにゃにゃー♪」
side 衛宮切嗣
地獄とはこの事だろうか。
炎と煙で蔓延する死が目前に広がり、懸命な哀願、懇願、苦痛、悲鳴、叫びは耳にこびりつく。
こんな所に長くいれば、おそらくは気が狂う。
言峰綺礼により発動した聖杯は、この冬木の地に地獄をもたらした。
言峰を撃ち、セイバーに聖杯を破壊させた後、自らの理念の元、生存者を捜していた。
『正義の味方』
幼いころに憧れた正義の味方になるべく、救い、そして殺してきた。
こんな大災害では生存者は望めないだろう。しかし、少しでも多くの人間を救いたい・・・・
そんな思いを胸にこの地獄を走り回る。
「にゃーにゃにゃー」
「にゃーにゃー」
・・・・なんだ猫か。猫?
怪しく思い鳴き声がする方に向かう。すると、二人の子供がいた。
「にゃーにゃー」
「にゃー。・・・やべ飽きてきたわ。」
「飽きちゃったの?じゃさ、わんわんやろっ。」
「やだ。犬嫌い。」
「え~。」
平和だ・・凄く平和だ・・・・
SIDE OUT
猫祭りに飽きてきた頃、気づくと目の前に黒いコートをきたおじさんがいた。
「助けに来てくれたん?」
そう聞くと目を見開いて驚き、すぐに元通りの後悔と希望が入り混じったような瞳に戻る。
「そうだよ。君たちを助けに来たんだ。」
「おお!やったぞシロちゃん、助かるぞ!!」
「やった~~。」
両手をあげて喜びを体で表現するシロちゃん。何この子カワイイ・・・・
「・・・・ここに長くいるのは危険だ、はやく離れよう。」
「分かったね。ちょっと待ってて今着替え・・・・箪笥がないだ・・と?」
「・・ねえねえ、おじさん。」
俺が箪笥がないことに戦慄を抱いていると、シロちゃんがおじさんに話しかけている。
あっ・・あの人見知りの激しいシロちゃんが自ら話しかけただと!?
「ん?どうしたんだい?」
「あのね・・お父さんとお母さんも助けて欲しいの・・・・」
おじさんは何とも言えない表情をしている。何やら、責任を感じているような・・・・
「残念だが・・この家には君たち以外の人の気配は感じない。」
「?お父さんとお母さんどこか行っちゃたの?」
「シロちゃん・・・・」
俺はシロちゃんを抱きしめる。そうするとシロちゃんは気持ちよさそうに目を細める。
出来れば言いたくない。でも、ここで誤魔化してしまうのはダメな気がする。
覚悟を決める。この世界で得た愛すべき弟を悲しませる覚悟を・・・・
「シロちゃん。お家、潰れちゃってるよね。」
「?うん。」
「お母さん達1階にいたよね?」
「・・・・うん。」
理解したのか、体を震わせ目には涙が浮かぶが、奥歯を噛み締め、ぐっと我慢するシロちゃん。
・・・・強い子だね。シロちゃん。
「泣いて良いんだよシロちゃん。前に教えたよね?男が泣いて良い時は・・」
「・・愛する人を亡くした時と・・ふっ・・んぐっ・・親を・・ううっ・・うぅーーーーーっ!」
シロちゃんの涙を隠すように恵みの雨が降り始め、この炎の地獄を浄化する。
この日から、衛宮切嗣とで会った日から、日常は去り、物語が始まる。
晋吾そして・・士郎の物語が・・・・
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