FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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入れ替りネタ
前書き
徐々に更新が遅くなっている今日この頃。最低でも週一ペースで投稿していきたいけど、それが崩れる日が近くなってきてるかも・・・
あれからしばらくの間、ポーリュシカさんに滅悪魔法を抑えられる薬を定期的に体に入れた俺は元通りの状態へと戻った。それどころか滅悪魔法を制御することもできるようになったらしいけど、まだ少し怖いので使わないことにしておこっと。
「えぇ!?二人とも連携技なんか覚えたの!?」
そして久しぶりに参加した修行で、ウェンディとシェリアが連携技を覚えたことを知らされる。
「うん!!」
「シリルがいない間に色々と覚えちゃったよ!!」
俺がいない間にみんなかなりレベルアップしたらしく、ウェンディに至ってはドラゴンフォースを完璧に修得したというのだ。俺も多少強くなったものの、それ以上の成果をあげられると悔しくてしょうがない。
「どんな技!?見せて見せて!!」
ただ、二人のコンビネーション攻撃となると興味がそそられるのも事実。なので、二人に見せてもらえないかお願いしてみる。
「もちろんいいよ!!」
「じゃあレオン、お願いね」
「俺が受ける役か」
いつになったら治るのかさっぱり目処の立たないレオンを相手に見立ててある程度の距離を取るウェンディとシェリア。一体どんな魔法なのかな?たぶん合体魔法って奴なんだろうけど、二人とも使う属性が同じなだけにイマイチイメージができない。
「行くよ!!」
「しっかり受けてよ!!」
「はいはい」
やる気の欠片も感じられない少年を見据えて視線を合わせた二人。彼女たちは互いに息を合わせ、模造敵に向かって同じタイミングで飛び出す。
距離が詰まったところで高くジャンプすると、それぞれの足に魔力を纏わせる。
「天空甲矢!!」
「天空乙矢!!」
二人で一点を撃ち抜くかのごとく蹴りを打ち出す天空シスターズ。それの威力を見せるためにレオンが氷の壁を作り出し、受け止める。
バリンッ
グレイさんの氷の盾ほどの強度はあったように感じたが、少女たちの攻撃が当たった瞬間、それは容易く砕け散った。
「オォっ!!・・・お?」
見事な連携技に思わず感嘆の声をあげそうになるが、思い止まる。その理由は、俺が想像していた連携技とは大きく違っていたからだ。
「どう!?シリル」
「いい連携だったでしょ?」
俺がリアクションに困っている最中、ウェンディとシェリアは得意気な表情で意見を求めてくる。なんて答えたらいいのだろうか・・・困るからやめてほしいんだけど・・・
「いい・・・とは思うんだけど・・・」
仲がいいだけあって二人の連携技は見事なものだと思う。しかし・・・
「合体魔法とかではないんだね?」
予想とは違っていたことは一応伝えておこうと思う。だって技なんて言われたら、すごい魔法を想像しちゃうじゃん。
「連携技だからね」
「まだそこまでのレベルじゃないよ」
確かに連携技と言っていたけど・・・どうせならもっと高度な技を覚えておいてほしかったなぁ。なんて願望を持ってみたりする。
「シリルとウェンディで何かやればいいんじゃない?」
「付き合いも長いし~」
「相性もいいだろうしね」
すると、エクシードトリオからそんな提案が為される。そうか!!俺とウェンディで合体魔法を覚えればいいんだ!!その方が俺としてもウェンディと組めて楽しいし!!
「じゃあさっそくやってみよ!!善は急げだ!!」
「えぇ!?ちょっと!?」
思い立ったらすぐ行動。少女の手を引き二人でレオンへと向き合う。
「行くぞレオン!!」
「また俺か」
長いため息をつきながらも渋々引き受けてくれる辺りがこいつのいいところだと思う。相手が見つかったところで試してみようかな。
「シリル!?どんな技するの!?」
「知らん」
技のイメージはないけど、とにかく一度やってみればいいと思うんだ。ウェンディとシェリアもできたんだから、俺たちだってできるはず!!
「よーし!!じゃあ早速!!」
この時の俺は何も考えていなかった。しかし、あの時もっと考えて、打ち合わせをしていればよかったのだと、後々後悔することになる。
「キャッ!!」
大魔闘演武でグレイさんとジュビアさんが見せた合わせ技をやってみようとした時、何も知らなかったウェンディがバランスを崩し、腕を引っ張っていた俺へと衝突する。
「うわっ!!」
「キャアッ!!」
そしてそのまま、衝突した俺たちは地面を転がり、山の計斜面を滑り落ちてしまう。
ゴツンッ
少し転がった後、近くにあった木に衝突して止まる。その際勢いが突きすぎてしまい、二人の頭がぶつかってしまった。
「大丈夫か?」
「ほら~、だから言ったのに~」
「あんた何も言ってないでしょ?」
転がってきた方からそんな声が聞こえてくる。うぅ・・・頭ぶつけたからなんかガンガンする・・・
「もう!!シリル危ないでしょ!!」
「わっ!!ごめんなさい!!」
俺の無茶に巻き込まれる形となった少女は怒って立ち上がりながら怒鳴ってくる。叩かれるかと思った俺は、謝罪の言葉を述べながら頭を押さえる。
「ちょっと!!なんであんたが怒ってるのよ!!」
「シリルストップ!!」
シャルルとラウルが叩こうとしてくる人物を止めようとしてくれているが、二人の言葉が妙に引っ掛りおそるおそる顔を上げる。
そして目の前の人物を見ると、あまりのことに言葉を失った。
水色の髪をしたどう見ても女の子にしか見えない、アホ毛がツンと立っている・・・
「俺!?」
どこからどう見ても俺。なんで俺の視界にラウルに押さえられている俺がいるんだ!?鏡!?鏡なのか!?
「ウェンディ、大丈夫?」
「え?」
混乱していると、シェリアから自分の名前ではないもので呼ばれてようやく理解する。そして興奮状態にあった目の前の人物もゆっくりと状況を理解してきたらしく、顔が青ざめていく。
「「入れ替わってるぅ!!」」
信じられないような出来事に声が重なる二人。何が起きているのかわかっていない周囲の少年たちは、キョトンとして目を丸くしていた。
「なるほど、つまり今二人の中身が入れ替わってるってわけか」
「「はい・・・」」
みんなの頭が混乱してわけがわからなくなってしまったので、大急ぎでギルドへと帰りリオンさんに助けを求める。彼は最初は半信半疑だったが、言葉遣いや雰囲気が入れ替わっていることから俺たちの言っていることが真実だと判断してくれたようだ。
「しかし、脳が入れ替わったわけではないだろうし、どうやったら中身が入れ替わるんだ?」
「リオンくん、それ多分気にしちゃダメなやつ」
もっともな疑問を投げ掛けてくる青年を制する従弟。確かにどういう原理で中身が入れ替わってるのかな?それがわからないと何も対処のしようがないんだけど・・・
「わかった!!」
「それらしいのを見つけましたよぉ」
離れたところで本から入れ替わっている理由を探ってくれていたシェリアとサクラが戻ってくる。彼女たちが原因を見つけてきてくれたと聞いて、かなり俺とウェンディは喜んでいる。
「たぶんこれが近いんじゃないかな?」
「どれどれ?」
テーブルに本を広げたシェリアの後ろにみんなで集まり、そのページを覗き込む。
「『複数の魔導士が同時に魔力を解放している際に頭部が激突した場合、一時的に両者の記憶、人格等が入れ替わる場合がある。ただし、必ずしもその限りではない』」
重要だと思われる箇所を読んで説明してくれるシェリア。つまりどういうこと?
「一時的ってことは、時間が経てば治るってこと?」
「その可能性は高いってなってますね」
「よかったぁ」
それを聞いて思わず安堵する。もしかしたら一生このままなのではないかと内心不安だったから、戻れるというのならうれしい限りだ。
「どのくらいで戻るの?」
「大体一日程度で戻るみたいだね。長くても二日くらいらしいよ」
一日と二日なんて誤差の範囲のような気がするけど、突っ込むのもあれだしスルーしておくか。
「でもよかったね!!明日には戻れてるはずだし!!」
「シリルは反省してなよ~」
大喜びの俺に後ろからセシリーが突っ込む。彼女はチョップを噛まそうとしていたけど、この体はウェンディのものだからそんなことをするわけにも行かず、どうしようか固まった状態となっていた。
「そっか・・・一日したら戻っちゃうんだ・・・」
そんな中一人残念そうに胸を触っているのは俺・・・のようだけど、その中に入っているのはウェンディ・・・って!!説明面倒くさいなもう!!
「だが、今日一日乗り切るのが大変なんじゃないか?」
「え?」
「なんで?」
そんな中リオンさんが一人不安を感じたような声を出す。何か問題なんかあるのかな?全然思い付かないんだけど。
「体格は二人とも小さいからそんなに影響はないだろうが」
「小さいとか言うな!!」
説明する前にディスってくるリオンさんに体当たりしようとしたのをシェリアに羽交い締めにされ、落ち着くように諭される。この人もさすがにグレイさんの兄弟子だけあって、変なところあるよな。前々からに気付いてたけど。
「見た目はあれとして一応異性なんだ。その辺は大丈夫なのか?」
「「あ!!」」
そう言われてみると、そのことは一切考えてなかった。俺とウェンディの中身が入れ替わっているということは、当然私生活を他人の体で過ごさなければいけないわけで・・・
「その結果ウェンディは胸を触ってるのね」
「いや・・・これはその・・・」
何がそんなに気になるのか俺の胸をずっと擦っているウェンディ。でもこうして見ると確かに女の子にしか見えないと言われるのがよくわかる。でも絶対に肯定はしない。大事なのは見た目じゃなくて中身だから。
「別にいいんじゃね?二人とも付き合ってるんだし」
「私も問題はさほどないと思います!!」
今にも眠りそうになっているレオンと俺とウェンディの様子を観察していたサクラがそう言う。考えようによってはそうかもしれないけど、でもやっぱり恥ずかしい気持ちがあるのは間違いない。
「もう今日は二人で一緒に行動してなよ」
「それなら何も問題ないよね~」
今日だけは一心同体ってところかな?いつもとそう変わらない気もするけど、それは気にしたらダメだよな。
「家で寝てるのが一番安全だと思うんだけど・・・」
「それは突っ込んじゃダメよ」
レオンとシャルルが聞こえないほどの声で何かを話しているけど、それを気にすることはしない。どうせ大したことは話していないだろう、レオンのことだし。
「あ!!そうだ!!」
今日一日の乗り切り方が決まったところでウェンディがパッと閃いたように手をポンッと叩く。その瞬間俺の額から汗が滲んで来たため、嫌な予感が拭えない。
「シリル!!お洋服見に行こ!!二人で!!」
「絶対ヤダ」
別に服を見に行くくらいなら本来はどうでもいいんだけど、この場合は断っておいた方がいいに決まっている。むしろなぜこのタイミングで行こうと言い出せるのだろうか?彼女の感覚がわからない。
「ちょっとだけ!!ちょっとだけでいいから!!」
「ちょっ!!引っ張らないで!!」
グイグイと腕を引っ張ってくるウェンディだが、体が俺の物になっているため力は向こうの方がある。そのため対抗することができず、ズルズルと引っ張られて行ってしまう。
「レオン!!助けて!!」
「降りかかる火の粉は自分で払ってね」
「ひどい!!」
友人に助けを求めるが簡単に見捨てられてしまう。シェリアたちも笑顔で見送るだけだし、もうウェンディに主導権を握られてしまった。一体どうなるの!?俺!!
「こ・・・こんな感じです」
シャッと音を鳴らし顔を俯けながらカーテンを開ける。その瞬間、水色の髪をした少年と店員の視線が突き刺さる。
「お似合いですよ!!お客様」
「そ・・・そうですか・・・」
褒められているのに全然嬉しくない・・・なぜなら今俺は、ウェンディの着せ替え人形にされているからだ。
「むぅ・・・もう少し色を明るくした方がいいのかな?」
鏡で見るのとはまた違い、他者の目線から自分の姿を見れる今がチャンスと言わんばかりに様々な衣服を着せて試しているウェンディ。周りから見れば俺が彼女を着せ替え人形にしてるんだけど、実際は俺が被害を被ってるからかなり辛いところである。
「ねぇ!!次はこれ着てみて!!」
そう言ってまた新しい衣服を持ってくるウェンディ。断りたい・・・けど、ここで嫌がっても力尽くで着せられるのは目に見えてるし、着るしかないのか。
「お客様は試着はよろしいのですか?」
渋々衣服を受け取ったところで店員がとんでもない提案を出してくる。ここは女性用洋服店。こんなところで俺の体で試着されたら溜まったもんじゃない。なので目線で少女へ懇願すると、彼女もそれはわかっていたらしく小さくうなずいてくれる。
「じゃあオススメのものとかありますか?」
「やめてよウェンディ!!」
わかってくれていたと思ってた俺が大バカだった。二人とも条件だったはずなのに、疲労していくのは俺ばかり。なんか最近こんなのばっかりじゃん!!
「早く元に戻ってくれないかなぁ・・・」
ウェンディにお願いしてなんとか試着を断念してもらいながら、次の試着へと移っていく。その際後ろから視線を感じ、すごく悲しい気持ちになってきたのは言うまでもなかった。
後書き
いかがだったでしょうか?
一度やってみたかった入れ替わりネタをやってみた今回。ちょっとグダグダ感があるのは気にしないでください。
次からは蛇姫の鱗編のオリジナル長編ラストとなるものです。といってもほとんどオリジナル長編なんかやったことないけどね。
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