Three Roses
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第三十四話 三つの薔薇その二
「常に」
「そうだったのでしょうか」
「むしろマイラ様が避けておられたのでは」
「お三方、特にマリー様をです」
「マイラ様がそうされていたのでは」
「いえ、私達も歩み寄りませんでした」
幼い時からそうしていたとだ、マリーは彼女の側近達に話した。
「それをいいことにして」
「そうされていたとですか」
「その様にですか」
「言われますか」
「そうなのですか」
「思うとそうでした」
こう話した。
「私達は」
「だからですか」
「今ここで、ですか」
「マイラ様に会われる」
「そうされるのですか」
「そのつもりです、私はお姉様とお話してきましたが」
だがそれでもというのだ。
「それでも歩み寄っていたのか」
「そのことはですか」
「どうにもというのですか」
「今思われると」
「そうだというのですね」
「はい」
実際にというのだ。
「実際に、お話をしていても」
「壁は、ですね」
「取り払っていなかった」
「そうであったとですか」
「思われていますか」
「お姉様が避けられても」
それでもとだ、マリーは再び悔恨の言葉を出した。
「私達、特に私は歩み寄るべきだったのです」
「ご姉妹であるからこそ」
キャスリング卿がマリーのその気持ちを慮って問うてきた。
「そうなのですね」
「そうでした」
「マリー様は常にそうされてきたのでは」
「そのつもりでした」
「つもりですか」
「実際にそうしていたか」
それはとだ、マリーは自分自身に問うた。
「そうなりますと」
「そうではないと」
「今わかりました」
これまでの自分達、特に自分自身を振り返ってだ。マリーはキャスリング卿に対して沈痛な顔と声で答えた。
「そのことが」
「そうですか」
「ですから。最後になるでしょうが」
それでもというのだ。
「必ずです」
「マイラ様と」
「会います」
今は強い声で言った。
「必ず」
「そうですか」
「決めました」
こうも言った。
「私は」
「ではです」
今度はデューダー卿がマリーに言ってきた。
「それが適うことを」
「それをですね」
「是非共祈りましょう」
こうマリーに言うのだった。
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