NARUTO日向ネジ短篇
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【面影の先に見えたもの】
前書き
まだ恋人期間中からのナルヒナの、ナルト視点。
───ヒナタに、ネジの面影を見るんだ。
長くてサラサラな髪に、宝石みてぇにキレイな目。
色白の肌に、どこか憂いのある表情。
従兄妹にしちゃ、似過ぎな気もする。それはハナビにも言えたりする。そりゃまぁ、親が双子の兄弟だしな。
よく見りゃ確かに違うのは分かる。けど……ネジが居なくなってからオレは無意識の内に、ヒナタにネジの面影を見るようになった。
こうして恋人になれた後も、ヒナタを見ていると無性にネジに会いたくなる時がある。
あの世って場所から、連れ戻したくなる。
オレとヒナタが恋人になって……結婚とかまで行ったら、ネジは素直に喜んでくれんのかな。
あの仏頂面が───破顔してくれんのかな。
それともやっぱ、『お前にヒナタ様はやらんッ!』とか言って、柔拳食らわしてくんのかな……。
お前が生きてくれてたら、オレはそれでもヒナタと恋人同士になってたのかな。
それとも、ネジがヒナタと───
お前は自分の命と引き換えに、オレに譲ったのか。
ネジはオレとヒナタの為に未来を託してくれたのか、自分を犠牲にしてでも。
なぁネジ……オレはそれでもヒナタに、お前の面影を見ちまうんだ。
お前からしたら、迷惑かな。いつまでも未練がましいオレは。
つか、ヒナタに対して悪いよな、やっぱ……
「───ナルト君、私は知ってたよ。時々、ナルト君の目が私じゃない人を見ているのを」
二人きりの時、ヒナタは不意にそう言ってきた。
「ネジ兄さん……なんだよね」
気づかれて、たんだな。そりゃそう…か。
「ごめんな、ヒナタ。お前にネジの面影追っても、しょうがねぇのに……」
「そんな事ない。私の中にネジ兄さんを見てくれて……うれしいの」
ヒナタはふんわり笑って見せた。
ネジだって……ほんとはこんな風に笑えたんじゃねぇのかな。
あの仏頂面……、こんな風に笑わしてやりたかったな。
───あ、ヤベ、オレってばまた……
「ふふ、いいんだよナルト君。ネジ兄さんが……私とナルト君を繋げてくれた。だから今度は、私がナルト君とネジ兄さんを繋げたいの」
「オレと、ネジを……?」
ヒナタが真っ直ぐ、優しい瞳でオレを見つめてくる。
その瞳の中にも、ネジを見た気がした。
「ナルト君と私が本当の意味で繋がると……つまり、結婚すると必然的にナルト君は、ネジ兄さんの義弟になるんだよ」
「へ……? オレがネジの、おとうと……?? ってこたぁ、ネジはオレの、アニキになるってのかッ?!」
ヒナタの言葉に、思わずオレは声を大きくした。
「そう……、私達は確かな繋がりを持った“家族”になれるの。まだ、先の話になるかもしれないけど……私とナルト君が子供を授かれば、ネジ兄さんの血だって受け継いだ子が生まれるんだよ」
オレとヒナタが結婚すれば、ネジはオレのアニキになって、ネジがオレの家族になって、ネジの血を受け継いだ子供が生まれる……!?
オレはちょっとした興奮を覚えながら、ヒナタの言葉を自分の中で反芻した。
そうか……ネジはヒナタとオレの為に死んじまったけど、だからこそオレとヒナタで受け継いでやれるんだ。ネジの生きた証を───
そうしてオレとヒナタは結婚して、二人の子宝に恵まれた。
ネジの名に由来したボルトは、見た感じは確かにオレに似てっけど、性格はどっちかっつうと下忍の頃のぶっきらぼうなネジみてぇな気がする。
ネジが好きだった花の名に因んだヒマワリは、ヒナタによく似てすげぇ可愛い。
但し怒らすと、白眼になって強烈な柔拳放ってくるとこは、ネジみてぇに天才としか言いようがねぇってばよ……
ボルトとヒマワリの中に、確かにネジの血も受け継がれてる。
オレはそう思うだけで、ネジをとても近くに感じられる。
目に見えなくても、きっといつだって、近くで見守ってくれてるよな。
……ネジはずっと若いままで、オレの方が年齢的にかなり上になっても、ネジの義弟である事に変わりねぇから。
オレはお前と“家族”として繋がれて、誇りに思うってばよ。本当にありがとう、ネジ───
《終》
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