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歌集「春雪花」

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 雨そ降る

  落つるは涙か

   空ぞ泣く

 想ふも侘し

    梅見月かな



 春が近いのか…暖かくなり、二月の終わりに雪ではなく雨が降っている。

 春…彼がここから立ち去った春が、また寂しさを連れてくるのか…。

 この雨は空が泣いているのだろうか…。

 彼を想い見上げた空は、まるで止め処なく涙を流しているように見える…。



 花びらと

  思いて見なば

   白雪の

 淋しさつのる

    朝ぼらけかな



 外灯の灯りに、不意に舞った雪が花びらに見え…未だ冬であると覚らせた。

 昼の暖かさが嘘のように、真夜中より冷え込みが厳しくなり…朝方にはうっすらと雪が積もっていた。


 何もない時…彼のいない町…花びらのような白雪の舞う暁は、私へと淋しさを募らせた…。



 
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